NFCタグの開発と携帯・スマートフォン搭載でリード(NXPセミコンダクターズ)

2012年1月18日8:00

NFCタグの開発と携帯・スマートフォン搭載でリード
世界での実績をベースに国内でTypeA/Bサービスを積極的に開拓へ

世界最大のチップベンダーであるNXPセミコンダクターズは、ローエンドのチップから決済などに利用できる高セキュリティ・高機能な製品まで幅広いチップを取り揃えている。すでに交通系は、世界130都市以上で採用されている。そのほか、2011年現在、累計35億枚以上を出荷している。同社では、スマートポスターなどに添付するNFCタグとしてNFCフォーラム準拠の「MIFARE ウルトラライト」(Type2)、「MIFARE DESFire」(Type4)、スマートフォンや携帯電話に搭載できる「PN544」を用意しており、NFCチップ市場をリードしている。

NXPセミコンダクターズ

世界のICカード用チップの7割のシェアを占める

ローコストなMIFARE ウルトラライトの出荷数が急伸

「世界のICカード用のチップのシェアとしては7割以上をキープしています。特に交通系のMIFARE DESFireが非常に伸びています。セキュリティの強化には以前から取り組んでおり、例えば金融、電子政府、交通系などのアプリケーションに求められるセキュリティレベルである『AES』には2009年から、いち早くサポートしています」(NXPセミコンダクターズジャパン アイデンティフィケーション事業部 マーケティングマネージャーの巴祥平氏)

NFCタグラインアップ

市場としては、特に3つの分野で成長が続いている。まず、「MIFARE クラシック」ベースの交通系インフラから、MIFARE DESFireを使用した高セキュリティのインフラへのマイグレーションが進んでいる。続いて、NFC対応のスマートフォンがリリースされる中、スマートポスターや各種NFCタグのアプリケーションが広がりを見せている。最後に、電機製品に組み込み、RFIDのような製造、出荷、修理などの製品ライフサイクルマネージメントなどを管理するセキュアタグ分野も成長分野となっている。

日本では、アミューズメント・アクセスコントロール・会員カードの分野で採用実績が増えている。また、最近ではNFCタグに関する問い合わせも多くなっているそうだ。すでにMIFAREでは、NFCフォーラム Type2 (MIFARE ウルトラライト)、Type4 (MIFARE DESFire)タグに準拠した製品があり、また携帯電話だけではなく、家電/PC周辺機器などにNFCデバイス、もしくはNFCタグが組み込まれて行き、機器間通信のインフラが広がっていくと予想している。

「海外だけではなく、国内でもMIFARE ウルトラライトの出荷数は伸びています。現時点でもローコストであり、NFCケータイの普及によりさらなる低価格化が期待できます。また、国際標準に準拠していることも差別化のポイントです」

有線インターフェースを搭載した「NTAG312W」もラインアップ

20機種以上の携帯端末で採用が進む「PN544」

有線I/F 付NFCタグ:NTAG203F(左)と有線I2C 付NFCタグ:NTAG312W(右)

NXPは、非常に安価で小型(2mmx3mmパッケージ)なNFCタグ Type2に準拠したチップに有線のインターフェースを搭載したチップ「NTAG312W」も新規にラインアップ。これにより、今まで実現できなかった、電源を必要としないNFC通信による無線電源スイッチが可能となった。同NFCタグを介してあらゆるNFCイニシエータから無線コマンドを受けて、タグが有線インターフェースに出力し、組み込まれたデバイスマイコンへ電源が必要なく信号送信、そしてデバイス電源、Bluetoothなどのペアリングする無線の活性化が可能だ。これにより、例えば電源の入っていないNFC搭載マウスにNFC搭載携帯電話をかざすだけで、電源が必要なくマウスのBluetoothペアリングが自動的に行えるという。今後は、相互通信を行うことができる汎用インターフェースを搭載した製品もリリースする予定だ。

NXPの携帯電話、スマートフォン用のNFCチップ「PN544」出荷状況としてはAndroid OSモデルを中心に、Samsung、Nokia、 Sony Ericsson、LG、ZTE、HTCなどで幅広く採用されている。

「現段階でも弊社のNFCチップが20機種以上の携帯端末で採用されており、ここ数年で数多くの弊社製品をご採用いただけるよう期待しております」(巴氏)

また、携帯電話やスマートフォン向け以外では、2011年9月に Windows8でのNFC対応において、Microsoft社と協業し、PN544ベースのドライバを開発した。これにより今後、Windows8タブレットやPCにも広がりを見せていくと予測している。またAndroid においても Android4.0で引き続きPN544ベースのドライバがOSに標準搭載され、Galaxy Nexusにも採用されたという。

世界各国のNFCビジネスの商用化に貢献

欧州の展示会で新たなコンセプトを提案

NFCに関しては世界各国で盛り上がっており、同社としてもビジネス上の手ごたえは感じているそうだ。まずヨーロッパではOrange、T-mobile、Telefonica/O2、 Vodafone、Turkcellなどがフランス、イギリス、トルコなどで商用化を開始し、2012年にはドイツ、スペインなどでさらなる広がりを見せると予想している。また、ヨーロッパ各国でのコンソーシアムが立ち上がっており、米国でもGoogle WalletをサポートしたSprintとISISを中心に話が進んでおり、中国、韓国でも動きがみられるという。

NXPセミコンダクターズジャパン アイデンティフィケーション事業部 マーケティングマネージャーの巴祥平氏

Android マーケット上でも日々NFC対応が進んでおり、現在すでに500以上のアプリケーションがアップロードされているのが見受けられ、非接触クレジット以外でも、スマートポスター、ゲーム、SNSなどに広がりを見せている。

NXPでは、まずは携帯電話へのNFCチップ搭載がカギとなり、その他の広がりで家電製品やヘルスケア製品、イベント、車載、スマートグリッド分野などへの応用に期待している。同社では、フランスで開催された世界最大のICカードのイベント「Cartes Identification 2011」において、オートバイの鍵がNFCケータイになるアプリケーションを展示。車載関連では、ドイツの自動車部品メーカーContinentalと共同で、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」において、スマートフォンが車の鍵となり、自動的に音楽の選曲やオーディオのストリーミングなどを行う、テクノロジコンセプトカーを公開した。また、Landis+Gyrと共同で、オランダのアムステルダムで開催された「Metering Europe 2011」 にNFC技術を組み込んだスマートメーターを出展している。さらに、オランダで開催された「STRPフェスティバル2011」では、美術作品に添付したNFCタグにNFC対応のスマートフォンをかざすことで、展示作品についての詳しい情報を得ることができるデモを実施した。

NFCフォーラム、EMV、GPなどの仕様、認定をサポート

セキュリティ認定を取得したソリューションを一気通貫で提供

今後のNXPの製品開発としては、まずはNFCとセキュアエレメントにおいて、各種仕様、認定をサポートすることと、引き続きスマートフォンで使用されているOS、プラットフォーム向けのリファレンスデザインに注力していきたいとしている。

NXPのNFCトータルソリューション

現状、NFCフォーラム wave1とwave2 対応、EMV対応、セキュアエレメントを含めたGlobalplatform(グローバル・プラットフォーム) 対応、そしてセキュアエレメント内のVISA/MasterCard のアプリケーション開発が必要となる。また、セキュアエレメントのセキュリティ認定も取得し、ハードウェア、ファームウェア、ミドルウェア、そしてセキュアエレメントのアプリケーションまでセキュリティ認定が取れたソリューションを提供していきたいとしている。巴氏は、「そこが一気通貫で提供できるのは、他のチップベンダーにはない弊社の強みである」と自信を見せる。同社では、無線性能とコストダウンにおいても積極的に取り組んでおり、NFC市場の普及に合った製品開発・製造を今後も行っていきたいとしている。

巴氏は最後に、「NFCケータイの普及により、TypeA/Bのサービスをどう広げるかが重要です。今後は、弊社のお客様に対し、アプリケーションレベルから話をしていきたいと考えています」と意気込みを語った。

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