投資を始める人が増えてきている昨今、FXに興味を持ったものの、どのような投資なのか分からない人も多いでしょう。
FX(Foreign Exchange)とは、日本語で「外国為替証拠金取引」といい、簡単にいうと通貨の両替で儲ける投資方法です。
この記事では、FXの仕組みや基本用語、投資方法としての魅力を、FXを知らない人にも分かりやすく解説します。
FXを始めるのにおすすめの口座も紹介するので、これからFXに挑戦してみようと思う人はぜひチェックしてください。
FXとは通貨の両替で稼ぐ投資手法
FXとは、二国間の通貨の両替によって稼ぐ投資手法です。
ある通貨が割安のときに買い、割高になったタイミングで売る、またはその逆をして利ざやを稼ぎます。
昨今は円安が続いていますが「1ドル100円のときにドルを買っていれば、今ごろかなり儲かっていただろうな」と、一度は考えたことがありませんか?
これがまさにFXで稼ぐ方法です。
為替のレートは毎秒絶えず動いており、秒単位で小さな値動きを取りにいく人から、数ヶ月単位の大きな値動きを狙う人まで、トレードスタイルは人それぞれです。
FXはいわば「通貨の転売」のため、「買い」と「売り」をセットで行って初めて取引が完了します。
ただし実際に現金のやり取りをするのではなく、売買の差額だけを精算する差金決済によって取引を行うため、外貨預金のように外貨を手にすることはありません。
FXはギャンブル?毎回勝つのは不可能だが期待値はプラスにできる
FXに限らず、すべての投資活動はギャンブル性を持っています。
投資で必ず稼げる保証はなく、損失が発生するリスクは常に存在するためです。
ただし公営ギャンブルやカジノなどの娯楽としてのギャンブルと、FXを含む投資との違いは、期待値をプラスにできるかどうかにあります。
期待値とは、1回の勝負で見込まれる利益です。
期待値がプラスであれば、勝負をすればするほど利益が得られ、逆も然りです。
娯楽としてのギャンブルは、運否天賦により勝敗が決まるだけでなく、胴元が必ず勝つ仕組みになっています。
例えば競馬の還元率は75%前後であり、これは1万円を賭けたら平均して7,500円返ってくるという意味です。
つまり期待値はマイナスであり、長期的にはプレイヤーは必ず負けます。
一方FXでは、勉強と分析、適切な手法選びによって運の要素を軽減し、期待値をプラスに持っていくことが可能です。
それでも損失の発生、FXでいう「負けトレード」をゼロにはできません。
プロのトレーダーであっても百戦百勝はあり得ず、負けトレードは必ずあります。
FXで稼ぐためには、損失は避けられない事実を受け入れ、負けトレードも含めてトータルの収支をプラスにする心がけが重要です。
FXでは売買できる通貨は口座会社による
FXで売買できる通貨は、口座を提供する会社によります。
国内のFX口座であれば、以下のように日本円と外貨のペアが多く取り扱われています。
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- ポンド/円
- 豪ドル/円
他にも、ユーロ米ドル、ポンド米ドルなど外貨同士の売買も可能です。
なお日本円と外貨のペアを「クロス円」、米ドルとのペアを「ドルストレート」といいます。
口座によっては、スイスフランや香港ドル、カナダドルなど日本人にとってあまり馴染みのない通貨ペアを提供しているケースもあります。
FXで知っておきたい専門用語
FXを始める上で知っておきたい専門用語を解説します。
FXの専門用語は多数ありますが、中でも以下の3つは最初に知っておきたい用語です。
- ロング/ショートポジション
- レバレッジ
- pip(s)
上記の3つはFXで稼ぐ仕組みに関わる用語なので、しっかりと押さえましょう。
ロング/ショートポジション
ポジションとは、未決済の状態にある注文です。
ある通貨を買って、まだ売っていない状態をロングポジション、その逆をショートポジションと呼びます。
単に「ロング」「ショート」と呼ぶ場合もあります。
書籍やYouTubeでは「ロング(ショート)ポジションを持つ」「ロング(ショート)で入る」などと使われるので、この表現には慣れておきましょう。
レバレッジ
レバレッジとは、資金を借りて元手以上の金額で取引ができる仕組みです。
国内のFX業者では、最大25倍までのレバレッジをかけられます。
例えば、元手が4万円でも、25倍のレバレッジをかけると100万円分の資金で取引が可能です。
レバレッジを使うと、かけた倍数分利益が倍増するため、効率よく資金を増やせます。
一方、損失も同じだけ増えるので、レバレッジを使う際は資金管理がより一層重要です。
レバレッジは諸刃の剣ですが、上手に使いこなせれば少額からFXを始める人にとって強い味方になります。
pip(s)
pip(percentage in point)は「ピップ」といい、通貨ペアの値動きの幅を表す共通単位です。
通常は複数形のpips(ピップス)を使います。
各国の通貨の単位は異なるため、例えば「ユーロ/ドルが50セント動いた」といっても、円換算でどれくらい変動したかは直感的に分かりづらいものです。
そこで共通単位であるpipsを使えば「○○pips動いた」といったときに、通貨ペアを問わず変動幅がすぐに把握できます。
FXでは複数の通貨ペアを取引するケースが多いため、通貨ペアごとの損益を算出し、パフォーマンスを比較するときにもpipsで計算すると便利です。
1pipがいくらかは、通貨ペアごとに異なります。
クロス円(日本円のペア)は1pip=1銭(0.01円)、つまり10pipsで10銭、100pipsで1円です。
レートを見るときは、小数点第2位が1pipと覚えましょう。
ドルストレート(米ドルのペア)は1pip=0.01セント、レートでは小数点第4位が1pipです。
pipsは日々の値動きや損益を把握する上で重要な単位なので、FXを行う上では必須の知識です。
FXの2つの稼ぎ方
FXには、売買による差額で稼ぐ方法と、スワップポイントで稼ぐ方法の2つがあります。
それぞれの稼ぎ方を詳しく解説します。
売買の差額で稼ぐ
通貨の売買差額で利ざやを稼ぐ方法は、FXでの代表的な稼ぎ方です。
例えば1ドル=100円のときに100万円分のドルを買い、120円になったときに売却すると、20万円の利益になります。
これは買いから入る方法ですが、FXでは「高く売って安く買い戻す」、つまり売りから入ることでも稼げます。
例えば1ドル=150円のとき、これから円高になりそうと見込まれるため、150万円分のドルを売ったとしましょう。
その後、期待通りドルが130円まで下がったときに円を買い戻せば、20万円の利益を上げられます。
このような売買差額を「為替差益/為替差損」と呼びます。
売買差額によって発生した利益は為替差益、損失は為替差損です。
為替とは、ネットバンキングによる銀行振込のように、現金を介さないお金のやり取りを意味します。
FXも為替であるため、本来は現金として持っていない「外貨の売り」からも取引を始められるのです。
なおFXで稼いだ利益は、所得税の課税対象です。
スワップポイントで稼ぐ
スワップポイントで稼ぐ方法は、外貨預金の金利で儲けるのと似ています。
スワップポイントとは、2国間の金利差によって発生する資金の受け払いです。
なぜ金利の調整が発生するかというと、FXは証拠金をもとに資金を借り入れて売買を行う仕組みだからです。
例えば日本円を売ってドルを買う場合、実際に自分が持っている日本円を差し出しているのではなく、証拠金を担保に日本円を借りてドルを買っています。
借りたお金に対しては金利を支払う必要がある一方、買った通貨に対しては金利を受け取る権利があります。
支払う金利と受け取る金利の差額を精算するものが、スワップポイントです。
つまり日本円のような低金利通貨を売り、米ドルやポンドなどの高金利通貨を買うと、スワップポイントによって利益を得られます。
逆に高金利通貨を売り、低金利通貨を買うと、スワップポイント分の損失が発生します。
高金利通貨の代表例は、トルコリラやロシアルーブル、ブラジルレアルなどです。
スワップポイントで稼ぐ方法は一見堅実そうに見えますが、高金利通貨はレートが不安定な傾向で、為替差損がスワップポイントを上回る可能性があります。
例えばトルコリラの政策金利は42.5%(2025年3月時点)とかなり高いですが、レートはここ10年一貫して下落しています。
スワップポイントで稼ごうとする場合は、為替差損が発生しても損益をプラスにできる見込みかどうかを判断するのが重要です。
スワップポイントは、毎日のニューヨーク市場のクローズ時(日本時間で午前7時前後・サマータイム中は午前6時前後)に授受が行われます。
そのためその時間までにポジションを手仕舞う場合は発生しません。
ただし具体的な時刻はFX業者によって異なります。
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FXのメリットや魅力は?少額から始められるのが大きな強み
数ある投資方法の中でも、FXの魅力は以下の点にあります。
- 平日は24時間取引ができる
- レバレッジを使えば少ない元手で大きな利益を狙える
- 買いからでも売りからでも利益を狙える
特に株式投資と異なり、少額から始められるため、大きな元手を用意できない人でもチャレンジしやすいのがFXの強みです。
以下では、それぞれのポイントを詳しく解説します。
平日は24時間取引ができる
FXは平日であれば24時間取引ができるため、自分の生活スタイルに合わせて取引しやすいです。
為替取引は世界中で行われているため、日本の祝日でも市場が開いています。
17:00前後からはヨーロッパのトレーダーたちが参入(ロンドン市場)し、21:00すぎごろからはアメリカのトレーダーが取引を始める(ニューヨーク市場)ため、値動きが活発になります。
平日の日中に働いている会社員の場合、帰宅する時間はちょうどFXのゴールデンタイムと重なるため、会社員とFXは相性がよいのです。
株式投資では、東京証券取引所が開いている平日の9:00~11:30、12:30~15:30までしか取引できないため、会社員にはあまり向いていません。
ライフスタイルに合わせて取り組みやすいFXは、副業としてもおすすめです。
レバレッジを使えば少ない元手で大きな利益を狙える
FXの大きな魅力の一つに、レバレッジがあります。
レバレッジの存在により、トレーダーは少額からでも取引を始められるだけでなく、効率よく資金を増やせます。
例えば1ドル=100円のときに、1万ドルを買いたい場合、レバレッジをかけなければ100万円の元手が必要です。
その後1ドル=110円になったときに決済をすれば、10万円の利益です。
しかし米ドル/円が10円変動するには、短くても数週間、長くて数ヶ月かかる場合もあります。
100万円もの元手を用意したのに、10万円を稼ぐのに数ヶ月かかるのは、FXに魅力を感じている人にとっては物足りないと思うはずです。
しかしレバレッジを使えば、少ない元手で効率よく資金を増やせます。
上記と同様に、1ドル=100円のときに10万円の利益を上げる場合で考えてみましょう。
25倍のレバレッジをかけると、40万円の元手を用意すれば、1ドル=101円になるだけで10万円の利益が得られます。
1円の変動は、1日でも十分あり得る水準です。
2025年3月現在は1ドル=150円前後を推移していますが、その場合は60万円の元手があれば1円の値動きで10万円を稼げます。
このように、レバレッジを有効活用すると、元手が少ない人でも効率よく資金を大きくできます。
ただしレバレッジをかけると、損失も同じ割合で大きく膨らむ点は注意が必要です。
そのため損失が膨らむ前に損切りをする、取引金額やレバレッジを調整して資金量に見合ったトレードをする心がけが重要です。
買いからでも売りからでも利益を狙える
FXでは、通貨の価格が上がっているときでも下がっているときでも利益を狙えます。
為替相場は企業の国際的な取引に大きく影響し、ひいては国民の生活にも影響を与えるものです。
そのため上げ一辺倒や下げ一辺倒にならないよう、金利の操作やときには市場介入によって国家レベルでレートをコントロールしています。
よって長期的に見ると、為替相場は上昇と下落を繰り返すのです。
FXは買いからでも売りからでも取引ができるため、取引のチャンスは多く存在します。
株式投資でも売りから入る「空売り」ができますが、意図的な下落を防ぐためにいくつかの規制が設けられています。
しかしFXではそのような規制はなく、自由に売買が可能なため、投資戦略の自由度が高いのも魅力の一つです。
FXを始める上で知っておきたい注意点やリスク
FXには時間や投資戦略の自由度、少額から始められるメリットがありますが、以下の注意点もあります。
- 取引にはスプレッドや手数料がかかる
- レバレッジ取引で損失が膨らむと追証や強制ロスカットが発生する
FXでも他の投資方法と同じように、業者に支払うコストがかかります。
加えて、レバレッジを使っているときは、損失が膨らみすぎたときに発生する追証(おいしょう)や強制ロスカットにも気を付けなければなりません。
それぞれの注意点を、以下で詳しく見ていきましょう。
取引にはスプレッドや手数料がかかる
FXは株式や投資信託などと同様、サービスを提供している業者で口座を開かないと取引ができません。
FX業者に支払うコストは、取引手数料とスプレッドの2種類があります。
スプレッドとは、買値と売値の差額です。
以下はSBI FXトレードの為替レート画面ですが、買値と売値がわずかに異なっているのに気づくでしょう。
これは買った瞬間に売ると、上記のスクショでは0.18pipsの損失が発生するということです。
つまりスプレッドは実質的な手数料であり、「取引手数料無料」を謳っている業者は代わりにスプレッドを設定しています。
取引手数料やスプレッドは毎回の取引で発生するため、むやみやたらに取引をしていると手数料がかさみ、長期的には利益を圧迫してしまいます。
FX業者を選ぶ際は、手数料やスプレッドが安いところを選ぶのはもちろん、手数料分を考慮した投資戦略を立てるのが重要です。
レバレッジ取引で損失が膨らむと追証や強制ロスカットが発生する
レバレッジ取引をするときは、追証と強制ロスカットに注意しなければなりません。
追証とは「追加証拠金」の略で、証拠金維持率がFX業者の定める水準を下回った際に、追加で入金が必要な証拠金です。
証拠金維持率とは、取引に必要な証拠金に対して、純資産(有効証拠金)がどれくらい余裕があるかを表す割合で、以下の式で算出します。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
多くのFX業者では、証拠金維持率が100%を下回ると、証拠金を維持するために追加入金(追証)の催促が行われます。
追証を期限内に入金が行われなかったときに発生するのが、強制ロスカットです。
強制ロスカットとは、FX業者の定める水準に損失が膨らんだときに、FX業者が強制的にポジションを決済する仕組みです。
レバレッジは資金を借り入れて行う取引のため、損失が自分の手持ちの資金を上回る可能性があります。
強制ロスカットは、投資家が元手以上の損失を被らないようにするためのセーフティーネットでもあります。
しかし自分の意思とは無関係に決済が行われ、その時点で損失が確定するため、FXをする上では避けるべきものです。
FX初心者はまず入門書で勉強をしよう
ここまでの内容を見て、FXにチャレンジしてみたいと思ったものの、何から始めたらよいか分からない人もいるはずです。
これからFXを始める初心者は、まず入門書でFXの仕組みや基本的なチャート分析の方法などを勉強しましょう。
昨今は「マンガでわかる」といった、初心者にも分かりやすく書かれた入門書が多く販売されています。
数ある入門書の中でも、特に分かりやすくておすすめなのは以下の3冊です。
- 一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った「FX」入門 改訂版
- 世界一やさしい FXチャートの教科書1年生
- マンガでまるっとわかる! FXの教科書
それぞれの書籍のおすすめポイントを詳しく解説します。
一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った「FX」入門 改訂版
ザイFX! 編集部×羊飼い『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った「FX」入門 改訂版』
画像出典元:Amazon
FX界の人気ブロガー「羊飼い」氏と、FXの有名サイト「ザイFX」がコラボレーションして書き上げた入門書です。
オールカラーと豊富な図解で初心者でも読みやすいだけでなく、入門書ながらも本格的な情報もしっかりと凝縮されています。
FX業者の選び方や基本的な用語の解説、プロトレーダーの投資方法も収録されており、読み応えのある一冊です。
チャート分析の基本的な方法だけでなく、経済指標の解説もされており、初心者に必要な情報が詰まっています。
世界一やさしい FXチャートの教科書1年生
鈴木拓也『世界一やさしい FXチャートの教科書1年生』
画像出典元:Amazon
元大手メガバンクの為替ディーラーが書き下ろした、基本的なチャート分析の方法を一から分かりやすく解説してくれる本です。
エントリーや利確のタイミングをクイズ形式で紹介しており、知識のアウトプットもできるため、高い学習効果が見込めます。
主要なインジケーターやラインの引き方、鉄板のチャートパターンなどが網羅されているので、専門書を手に取る前の事前知識を身に付けるのにもおすすめです。
チャート分析はFXでは必須のスキルのため、初心者はぜひ手に取りたい一冊です。
マンガでまるっとわかる! FXの教科書
横尾寧子『マンガでまるっとわかる! FXの教科書』
画像出典元:Amazon
「FXには興味があるけど、難しそう」と思っている人でも分かりやすいよう、マンガ形式でストーリーを追いながら知識を身に付けられます。
マンガの入門書ながら、FXの仕組みや取引方法といった基礎知識から、チャート分析やよくある失敗例までの実践的な知識まで幅広くカバー。
より詳しい解説本を手に取る前の、FXのイロハを学びたい人におすすめです。
とにかく分かりやすい本を探している人は、手に取ってみましょう。
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FXで退場しないためにやるべきこと
FXで継続して利益を上げられる人は一握りといわれており、大きな損失を被りFXを辞めてしまうことを俗に「退場する」といいます。
ここからは、FXで退場しないためにやるべき5つのことを解説します。
- メンタル管理を勉強する
- 必ず損切りをする
- レバレッジを正しく使いこなす
- 聖杯探しをしない
- 初心者のうちは経済指標発表前後の取引を避ける
どれもFX市場で生き残るために重要なポイントなので、しっかりと把握しておきましょう。
メンタル管理を勉強する
FXに限らず、投資で成功を収めるにはメンタル管理が重要です。
メンタル管理とは、人間の本能を抑え、理性的に行動することを意味します。
メンタルが重要な理由は、FX(投資)は人間が本能的に行動すると必ず負けるようにできているためです。
代表的な心理学の理論に「プロスペクト理論」があります。
プロスペクト理論とは、一言でいうと「人間は損をするのが嫌い」という理論です。
例えば、10万円もらったときよりも、10万円を失ったときの方が、感情を大きく揺さぶられる人の方が多いでしょう。
実際に、お金を得たときの喜びと、同じ金額を失ったときの悲しみを比較すると、後者の方が前者の約2.25倍大きいことが実験によって分かっています。
加えて、人間は利益が出ているときは安定志向、損失が発生しているときはリスク志向になりやすい傾向も明らかになっています。
FXで勝てない人がしてしまう以下の行動は、上記のプロスペクト理論で説明が可能です。
- 含み益が発生したときは、小さな利益ですぐに決済する
- 含み損が発生したときは、損切りをせずに値上がりに期待する
含み益があるときは安定志向になり、含み損があるときはリスク選好的になるよい例です。
小さな利益で決済するのは、利益を目減りさせたくないため。
損切りができないのは、損失を現実のものにしたくないからであり、どちらも損失を嫌う人間の性質から来る行動です。
本来、FXで稼ぐには利益をできるだけ伸ばし、損失は小さくするべきです。
しかし実際に相場を目の前にすると、上記の行動を取ってしまう人は多くいます。
プロスペクト理論は一例に過ぎず、他にも人間が投資で非合理的な行動を取ってしまう理由を裏付ける研究や理論が、心理学や行動経済学などの分野で多く発表されています。
このような心理的傾向を知らず、自分の思うがままに取引を行うと、勝つどころかいつか破産してしまうことは、想像に難くありません。
FX市場で生き残るには、まずは人間の本能にはどのような落とし穴があるのかを知り、本能を抑えるメンタル管理術を身に付ける必要があるのです。
必ず損切りをする
損切りとは、含み損が発生しているときに、自ら決済して損失を確定させることです。
FXから退場しないためには、損切りを必ずできるようにならなければなりません。
FXから退場してしまう人のほとんどが、損切りができずに含み損が膨らみ、強制ロスカットによって資金を失ってしまうためです。
損切りをするべき状況の例として「エントリーの根拠が崩れたとき」が挙げられます。
ポジションを保有するのは、チャート分析により「今後価格が上昇/下落するだろう」と見込みが立てられたときです。
しかし価格が自分の予想に反して、エントリー前に立てたシナリオ通りに進まないと判断したときは、これ以上ポジションを保有する意味はないため、損切りするべきです。
損切りの考え方はトレーダーによって異なり、正解はありません。
しかしFXで生き残っているトレーダーは、おしなべて損切りを行っています。
どんなに勝っているトレーダーでも、1回の損切りができずに退場してしまう人もいます。
損切りはプロスペクト理論における人間の本能に反する行為なので、初めのうちは大きな抵抗を感じるでしょう。
しかしFXは本能に従っていては勝てません。
損切りをするのは、メンタル管理の一環でもあります。
レバレッジを正しく使いこなす
レバレッジは追証や強制ロスカットなどの、負の側面が注目されがちですが、正しく活用すれば大きな武器になります。
レバレッジを上手に使いこなすコツは、1回のトレードでリスクにさらす金額を限定することです。
例えば、20万円の元手でFXを始めたとします。
このとき、何も20万円全額に対して25倍のフルレバレッジをかける必要はありません。
仮に1回のトレードで許容する損失を20%と決めたら、4万円に対して25倍のレバレッジ、つまり100万円分の資金でトレードを行うのです。
そうすれば、もし強制ロスカットにあったとしても失うのは4万円であり、資金の80%は守られます。
許容できる損失額を決めておけば、1回のトレードで張れる金額が分かります。
その金額に対しては、フルレバレッジをかけて積極的に勝負をするのが、損失を限定させながらレバレッジの利点を大いに活用するポイントです。
聖杯探しをしない
聖杯とは必勝法を指す言葉ですが、投資の世界に必勝法はないため、聖杯探しをしても意味はありません。
例えば自分が「上がる」と思ってポジションを持っても、次の瞬間に売る人が大量に現れたら負けトレードになります。
市場参加者が大量にいる中、この後誰がどのくらい売買しようとしているのかを正確に把握するのは物理的に不可能です。
そのため自分が買った瞬間に大量の売りが入る可能性は常に存在し、それゆえ必勝法も存在しません。
FXでなかなか利益を上げられない人の中には、気づかぬうちに「勝てる」手法を探し続ける人が多くいます。
FXで継続して利益を上げるためには、自分なりのトレードスタイルを確立し、必勝法ではなく「期待値の高い」手法を繰り返し運用するのが重要です。
聖杯探しをしている人は、一つの手法を試しては「これは勝てない」と、次の手法を探す傾向があり、それではトレードスタイルを確立できません。
聖杯探しは、勝ちトレーダーから遠ざかる行動である旨を心に留めておきましょう。
初心者のうちは経済指標発表前後の取引を避ける
安定して収益を上げられるまでは、経済指標発表前後の取引は避けましょう。
経済指標とは、世界各国が定期的に発表している、自国の経済状況を表すデータです。
経済指標は莫大な資金量を持つ大口投資家を含め、世界中のトレーダーが注目しています。
そのため特に指標発表直後は相場が大きく乱高下し、チャート分析が役に立たないこともよくあります。
経済指標発表後の相場はランダム性が高いため、このときにトレードをするのは丁半博打と同じです。
相場に特に大きな影響を与える代表的な経済指標は、毎月第一金曜日に発表される、アメリカの雇用統計です。
ただしすべての経済指標が、相場に大きな影響を与えるわけではありません。
いつ・どの経済指標が発表されるかは、インターネットで「経済指標カレンダー」と調べれば、多くのサイトがヒットします。
どのサイトでも、各国の経済指標発表の日時や予想値、重要度(相場への影響度)を5段階で評価した情報などが掲載されています。
うっかり重要な指標発表に巻き込まれないよう、経済指標カレンダーはトレード前にチェックする習慣を付けましょう。
保有しているポジションは、指標発表前には手仕舞うのも重要です。
FX初心者のよくある質問に回答
FX初心者が疑問に思いやすい、以下の質問に回答します。
- FXはいくらから始められる?
- FX口座の開設に必要な書類は?
- FXで利益を出したら確定申告は必要?
- FXで口座凍結される可能性はある?
少額で始められるといっても、実際にいくらから取引ができるのか、税金周りについて疑問に思う人は多くいます。
以下で詳しく解説するので、FXを始める前に疑問を解消しておきましょう。
FXはいくらから始められる?
FX業者によっては、数円単位から取引を始められます。
例えばSBI FXトレードでは、1注文当たりの最小数量は1通貨となっており、例えば米ドルなら1ドルから売買が可能です。
1ドル=150円としたら150円から、25倍のレバレッジをかけたら6円から取引ができます。
数円や数百円の元手では大きくは稼げませんが、自分のお金を使って取引をする経験を積めるのは大きなポイントです。
多くのFX業者ではデモ口座を使った取引ができますが、実際に自分のお金をかけて行う取引とは緊張感が異なるものです。
まずは小さな金額で取引経験を積み、コツをつかんだら徐々に金額を大きくしていきましょう。
FX口座の開設に必要な書類は?
FX口座の開設に必要な書類は、本人確認書類とマイナンバーカードです。
昨今は写真を使った本人確認(eKYC)も普及しており、スマホで顔認証をすればマイナンバーカードの提出のみで手続きを進められるケースもあります。
eKYCを使えば、最短当日で口座開設が可能な業者もあるので、すぐに取引を始めたい人におすすめです。
通知カードしか持っていない場合は、通知カードと運転免許証や住民基本台帳カードなど2点の書類提出が必要です。
FXで利益を出したら確定申告は必要?
FXでの利益は雑所得に分類され、年間20万円を超えると確定申告が必要です。
ただし副業をしている人で、FX以外の雑所得がある人は、合計の雑所得が20万円を超えているかどうかで判断基準です。
課税関係は、国内の業者か海外の業者どちらを使っているかによって変わります。
国内業者で得た利益は、雑所得の中の「先物取引に係る雑所得等」に分類され、一律20.315%の申告分離課税にて所得税が課せられます。
申告分離課税とは、他の所得と合算せず、その所得のみで税額を計算して納付する課税方法です。
つまり国内のFX業者で得た利益は、その金額の多寡によらず、常に20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)の税金が課せられます。
一方海外の業者で得た利益は、同じ雑所得に分類されますが、申告分離課税ではなく総合課税で税額を計算します。
総合課税とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税額を計算する方法で、所得税の原則的な課税方法です。
総合課税では5%~45%(+住民税10%)の超過累進税率が採用されており、利益が大きいほど税額も高くなります。
※復興特別所得税(所得税額の2.1%)も併せて納付が必要
参照:所得税の税率|国税庁
税制上の観点では、FXの利益を含めた合計の課税所得が330万円以上になる人は、国内業者が向いています。
FXでいくら稼げるかは1年が終わってみないと分かりませんが、すでに給与所得などで330万円近くの課税所得になっている人は、国内業者を使う方が税制上有利になりやすいです。
FXで口座凍結される可能性はある?
FXの口座が凍結されるケースはありますが、常識の範囲内で取引を行っている分には心配はありません。
口座が凍結されるケースは、主にFX業者に不利益となる行動を取った場合です。
例えばDMM FXでは、以下の行為を禁止しており、禁止事項に抵触すると口座が凍結される恐れがあります。
(2) 過度な投機的取引を行う行為。
(中略)
(8) 短時間での注文を繰り返し行う行為。
(9) 取引とは関係がないと思われる入出金を繰り返し行う行為。
引用:店頭デリバティブ取引(DMM CFD-Index DMM CFD-Commodity)約款新旧対照表
このうち注意が必要なのが、(8)の「短時間での注文を繰り返し行う行為」です。
短時間での売買は、スキャルピングや短期自動売買ツールでの取引を指します。
スキャルピングとは、数秒から数十秒の非常に短時間で決済をし、小さな値幅を取りにいくトレードスタイルです。
スキャルピング自体は立派なトレードスタイルであり、スキャルピングで継続して利益を得ているトレーダーも存在します。
しかし短時間に大量の注文を送るとサーバーに負荷がかかる点から、一部の業者からは敬遠される場合があります。
スキャルピングをしたい人は、事前にFX業者の利用規約で禁止されていないかを確認しておきましょう。
FXを始めるのにおすすめの口座4選
これからFXを始めようと思っている人に向けて、国内でおすすめのFX業者を4社紹介します。
- GMOクリック証券
- DMM FX
- 外為どっとコム
- SBI FXトレード
スプレッドの狭さやプラットフォームの使いやすさなど、それぞれのニーズに応える業者を厳選しました。
以下で、各社の特徴を詳しく見ていきましょう。
GMOクリック証券は総合的なサービス力が高い
公式サイト | https://www.click-sec.com/corp/guide/fxneo/ |
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取扱通貨ペア | 24種類 |
最小取引額 | 1万通貨単位 |
GMOクリック証券は、スプレッドや各種手数料、サポート体制など総合的なサービス力が高いです。
最小スプレッドは米ドル/円の0.2銭、入出金にかかる手数料が無料など、低コストで取引ができます。
取引プラットフォームはスマホ・パソコン用だけでなく、Apple Watch向けにも用意してあり、移動や休憩時間中でも取引タイミングを逃しません。
口座開設や取引で困ったときは、月曜~金曜の8:00~17:00でスタッフによるサポートが受けられるのもうれしいポイントです。
GMOクリック証券は、サービスの手厚いFX業者を探している人におすすめです。
DMM FXはスマホでもパソコンでも取引しやすいプラットフォームが魅力
公式サイト | https://fx.dmm.com/ |
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取扱通貨ペア | 21種類 |
最小取引額 | 1万通貨単位 |
DMM FXは取引プラットフォームが充実しており、操作性を重視する人におすすめです。
パソコン向けの「DMM FX PLUS」は、画面のレイアウト変更も自由に設定でき、主要なテクニカル指標も備えているので高度なチャート分析もできます。
チャートから注文も出せるため、ここぞと思ったタイミングで売買が可能です。
スマホ用のアプリでは、入出金からマーケット情報の把握、取引まで一気通貫で操作でき、パソコンと遜色ない操作性を誇ります。
縦・横それぞれのレイアウトに対応しており、便利なアラート機能により通知が来るまでは他の作業に集中できます。
スプレッドも米ドル/円が0.2銭と低水準のため、本格的にトレーダーを目指したい人は口座を開設しましょう。
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外為どっとコムはセミナーや動画でFXの勉強がしやすい
公式サイト | https://www.gaitame.com/ |
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取扱通貨ペア | 30種類 |
最小取引額 | 1,000通貨単位 |
外為どっとコムはサイト内のコラムや公式YouTubeチャンネル、プロトレーダーによるセミナーなど、初心者でも効率的にFXを勉強できる環境を整えています。
平日は毎日テクニカル分析とトレード方針についてのライブ配信を行っており、プロのトレーダーが相場をどのように分析しているのかをリアルタイムで学べます。
スプレッドは米ドル/円で0.2銭、入出金手数料は無料で低コストなうえ、スマホ用の取引ツールも用意。
豊富なノウハウを学び、スキルを上達させたい人におすすめです。
SBI FXトレードはスプレッドの狭さと少額からの始めやすさが魅力
公式サイト | https://www.sbifxt.co.jp/ |
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取扱通貨ペア | 34種類 |
最小取引額 | 1通貨単位 |
SBI FXトレードは米ドル/円のスプレッドが0.18と最小水準、取引通貨単位が1通貨からと、取引のしやすさがピカイチです。
レバレッジを使えば数円から取引を始められ、実際のお金を使ってFXを練習したいものの、いきなり大きなお金をかけるのには抵抗があると感じる人にぴったりです。
取扱通貨ペアも34種類(2025年3月時点)と業界トップクラスで、選択肢が多いのも魅力の一つ。
取引プラットフォームはパソコン用とスマホ用どちらもリリースされているので、使い慣れたデバイスで取引ができます。
可能な限り小さな金額から始めたい人は、SBI FXトレードがうってつけです。
FXは始めやすいからこそ勉強や自己規律が重要
稼ぐ仕組みはいたってシンプルで、少ない元手から始めやすいにもかかわらず、狙える利益は青天井と夢があるFX。
しかし、遅かれ早かれ多くのトレーダーが退場し、継続して利益を上げ続けるのが困難なのもまた事実です。
心理学や行動経済学上、人間の本能は投資においては足かせとなります。
FX市場で生き残るには、本能に抗い続け、常に合理的な判断を下し続ける精神力が必要不可欠です。
これからFXを始めるなら、まずはしっかりと知識を身に付け、余剰資金で少しずつ運用しながら実力を磨きましょう。