国内で年々拡大するクレジット、 デビット、プリペイドの状況は? 新型コロナウィルス感染対策として 「非対面」「非接触」に注目

コロナ禍の巣ごもり消費でEC決済が急伸
QRコード決済とECサービスの親和性も

インターネット決済市場も注目の分野だ。EC分野での物販、動画やオンラインゲームといったコンテンツ販売は、巣ごもり消費で決済額が伸びている。

支払い手段として定着しているクレジットカードに加え、「後払い」決済の導入企業が増加している。後払いは、利用者が実際に商品を受け取ってから支払いが可能な点、事業者が立替払いを行うためEC加盟店への入金が保証される点が特徴となり、市場が拡大している。クレジットカードを持たない、持てない若年層、20~30代の女性などが数多く利用しており、近年はEC大手モールや旅行業、家電など、これまで後払いがそれほど導入されていなかった分野でも広がりを見せている。

ネットプロテクションズは、消費者が実際に体験した「あと」で自ら「値決め」を行うことを可能にする「あと値決め」、Paidyは同社のサービス「Paidyプラス」において、日本で初めて分割手数料が恒常的にかからない3回払いの新サービス「3回あと払い」を提供するなど、独自の展開を見せている。

Paidy は、日本初・分割手数料なしの「3 回あと払い」サービスを提供(出典:Paidy)

楽天、ヤフー、Amazon(アマゾン)、リクルートといったモールを展開する事業者では、ID決済を展開。数千万人のユーザーを有しているモールも多く、その会員をそのまま送客可能だ。さらに、クレジットカード番号等を入力する必要なく、IDとパスワードのみで支払いが行える点も特徴となっている。また、大手キャリアが展開するキャリア決済は、デジタルコンテンツに加え、若年層を中心に物販での利用も伸長している。

前述のPayPay、メルペイはQRコード決済のイメージが強いがインターネット分野との親和性が高く、ネット決済での利用も進んでいる。例えば、PayPayは「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」などのECモールをはじめ、通販サイト、コンテンツ販売などへの導入が加速している。

今後は、飲食店における事前注文・支払いサービスの伸びに加え、動画を利用したライブコマースもさらに成長すると思われる。さらに、百貨店やショッピングセンター、アパレルでは、電話やテレビ電話、Web会議システムを使って顧客応対を行うなど、コロナ禍で従来と異なるさまざまな接客が行われている。

加えて、アパレル、雑貨商品を店舗で選んでECサイトで注文するといったような、リアルとECサービスの連携も注目される。

実行計画で加盟店のIC化や非保持化が進む
3-Dセキュア2.0の浸透に期待

セキュリティ分野では、クレジット取引セキュリティ対策協議会(協議会)が国際水準のクレジットカード取引のセキュリティ環境を整備するため、クレジットカード会社や加盟店をはじめとする各主体が講ずべき措置を取りまとめた「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」(以下、実行計画)を策定した。2020年3月には、「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を公表。同ガイドラインは、割賦販売法で定められるセキュリティ対策にかかる措置の実務上の指針として位置付けられ、同ガイドラインに掲げる措置または同等以上の措置を講じている場合には、同法で定める必要かつ適切な措置が講じられていると認められるものだ。

実行計画のクレジットカード情報保護対策では、2018年3月末までに、カード情報の漏えい頻度が高い非対面(EC)加盟店について、原則として非保持化を推進し、仮に保持する場合はPCI DSS準拠を求めた。また、対面加盟店に関しては2020年3月までを期限とした。さらに、カード情報を保持する必要性のあるカード会社(イシュア・アクワイアラ)および PSP(決済代行事業者等)については PCI DSS 準拠を求めている。クレジットカードの偽造防止対策に関しては、2020年3月までにクレジットカードおよび加盟店の決済端末のIC対応100%実現という明確な目標があった。結果、改正割賦販売法の実務上の指針である実行計画によって、加盟店のクレジットカード情報の非保持化や決済端末のIC化は大きく進み、国内のセキュリティ対策は前進している。

その一方で、ECなどの非対面取引における不正利用対策は、多面的・重層的な不正対策を行うように働きかけているが、不正利用が顕在化している状況だ。不正利用対策では、本人認証、券面認証、属性・行動分析(不正検知システム)、配送先情報といった方策が示されている。

2021年は、3-Dセキュア2.0の動きに注目したい。3-Dセキュア2.0は、EMVCoで規定されたオンライン本人認証技術で、Webに加えてスマートフォンなどのデバイスの認証をサポートしている。また、カード利用者の決済情報等をベースに、95%の取引は追加認証なしに認証が完了し、5%程の高リスクと判断される取引にのみ、ワンタイムパスワード、生体認証等の追加認証を行う。従来の3-Dセキュアでは、入力の手間によるかご落ちの懸念があったが、既存の3-Dセキュアの課題を大幅に改善するという。

NTT データは、クレジットカード加盟店に対し、GPayments と連携して、本人認証「EMV 3-D Secure」のシステム対応を簡素化するAPI サービス「CAFIS 3DSConnector」の提供を開始(出典:NTT データ)

MaaSで予約・発券・決済の一連をスムーズに
QRコードや電子マネー活用のケースも

移動分野でのMaaS(Mobility as a Service)も注目だ。国内でもさまざまなMaaSサービスの実証実験が行われているが、予約・発券・決済をWebブラウザやアプリを利用して行ってもらうことで、地域での移動や支払いをスムーズにすることが可能となる。地域の乗合タクシー、路線バスといった移動サービスと既存公共交通の連携に加え、観光施設の予約、地域でのショッピングといった多様なサービスの提供によって地域のスマート化を図ることが可能だ。

東急、JR 東日本、伊豆急行は、伊豆半島で2019 年4 月から実施している観光型MaaS「Izuko」の実証実験「Phase3」を2020 年11月16 日~ 2021 年3 月31 日まで行っている。Phase 3では、熱海駅・来宮駅・伊東駅において、JR 東日本で初めてQR コードでの改札入出場ができる仕組みを導入

交通分野は、前述のように「EMVコンタクトレス(タッチ決済)」の推進において注目の分野となる。また、上田バスや北海道拓殖バスのようにQRコード決済を活用するケースも出てきている。さらに、イオン北海道では、2019年2月からは全国で初めて、多区間運賃路線で「WAON」決済サービスを始め、くしろバス、阿寒バス、十勝バス、北紋バスでも利用可能だ。

みちのりホールディングスの茨城交通は、2020 年7 月29 日から、高速バス「勝田・東海―東京線」でバス車内における「Visa のタッチ決済」、およびQR 決済を導入している

動きが激しいポイント市場
注目浴びるマルチポイントの効果

ポイントサービスでは、大手共通ポイントの「Tポイント」、「Ponta」、「楽天ポイント」、「dポイント」、「WAON POINT」の動きが注目される。NTTドコモは「dポイント」をフリマアプリ「メルカリ」で貯めたり、使ったりできるようにした。また、「Pontaポイント」は、KDDIのユーザーが利用できるようになり、1億人規模の顧客基盤が形成されているそうだ。

フットボールクラブ水戸ホーリーホックとT ポイント・ジャパンは、2020年8 月2 日から、貯めたT ポイントが自動的にクラブチームの応援につながる「水戸ホーリーホックデザインの応援型T カード」を発行

近年では、流通企業が自社ポイントを共通ポイントに切り替えるケースも出ている。また、1企業が複数のポイントサービスを導入するマルチポイント化が進んでいる。実際、短期的には利用者が増え、効果が上がっている例もある。一方で、複数の共通ポイントを導入することで、中長期的には原資負担が重荷になるケースも想定される。また、同じ業態で同様の共通ポイントを導入したことで、差別化が図りにくくなっているとの声もある。そのため、中長期的な効果はもちろん、経費や収支のバランスも踏まえたうえでの導入が求められる。

主要な共通ポイントサービス

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