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パスキー使用の生体認証ウォレット開発支援ASPサービス「PassWallet」開発(一般社団法人JCBI)

2024年10月11日8:37

一般社団法人ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ(一般社団法人JCBI)は、パスキーを使ってユーザーが生体認証(顔、指紋)するだけで利用できるウォレット機能を企業が自社サービスに追加することを支援するASPサービス「PassWallet(パスウォレット)」の無償提供を2024年10月9日より開始した。

すべてのブロックチェーンプラットフォームで利用可能な企業向け無償サービス(一般社団法人JCBI)

ブロックチェーンを活用したサービスのマスアダプテーションのためには、NFTや暗号資産などの移転等に利用する秘密鍵の管理に関する課題を解決することが求められる。しかしながら、秘密鍵は複雑で長い文字列であるため、一般ユーザーが自己管理することは、管理の負担や秘密鍵を紛失した場合のリスクがあるため困難だという。一方で、ユーザーに代わって、ブロックチェーンサービスを提供する事業者がユーザーの秘密鍵を管理してユーザーの負担やリスクを低減しようとすると、ウォレット機能を開発するためにかかるコストに加えて、資金決済に関する法律(資金決済法)上のカストディ規制対象となる可能性も生じ、該当した場合にはその遵守のための体制構築などに相当程度のコストを要することから、必ずしも容易に実現できる解決手段とはなっていないそうだ。

そこで、一般社団法人JCBIは、秘密鍵の管理に関して、ユーザーおよび事業者の双方にとって、負担が小さく、かつ、安全性の高いウォレット機能を開発するための支援サービスとして「PassWallet」を開発し、無償で提供する。

事業者はPassWalletを導入することで、ユーザーが秘密鍵を意識せずに、パスキーを使って生体認証(顔、指紋)するだけでウォレットの作成と秘密鍵の生成ができるウォレット機能を開発できる。なお、開発したウォレットが利用できる対象ブロックチェーンは、現在はEthereum、Sanpō Blockchain、Avalanche、Solana、Polygon等のEVM互換のブロックチェーン全般としているが、今後、それ以外の全てのブロックチェーンにも順次対応していく予定だ。

また、一般社団法人JCBIは経済産業省へのグレーゾーン解消制度の申請を通じて、事業者がPassWalletを利用したブロックチェーンサービスを提供することは、資金決済に関する法律(資金決済法)第2条第15項第4号に規定する「他人のために暗号資産の管理をすること」には該当しない、との回答を金融庁より得て、PassWalletを利用する事業者がカストディ規制対象とならないことについて確認を取っているそうだ。

さらに、サービス利用約款に同意して、サービス利用申込書を一般社団法人JCBIに提出し、審査を経て承認を得た後、無料で利用できる。なお、利用に際して、一般社団法人JCBIが事前に、PassWalletサーバーに対して事業者のIPアドレスからの接続許可を設定するそうだ。
PassWalletを導入した事業者のサービスであれば、ユーザーは保有しているNFTや暗号資産を、パスキーを使って生体認証(顔、指紋)するだけで、複数のサービスを横断して利用できる。これにより、NFTを配布、販売するサービスから、NFTを利用できるサービスへの送客ビジネスや、有料利用サービスでのレベニューシェアビジネス等の協業が利用企業間で可能となる。さらに、一般社団法人JCBIは同サービスを業界の公共財として提供し続けていくために、PassWalletに係る仕組みについて特許出願を行い、2024年9月26日に特許庁より査定(特許番号:7555553)を受け、特許を取得した。また、グローバルにおいても広くサービス展開していくべく、あわせて2024年10月1日付で、PCT国際出願(出願番号:PCT/JP2024/034783)の手続きを完了し、国際特許の取得も予定している。

この記事の著者

ペイメントナビ編集部

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