2026年6月30日8:00
和田 文明
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プロフィール キャッシュレス、電子マネー関連のジャーナリスト/ライター、主に欧米、アジアのセキュリティを含むキャッシュレス情報、カスタマーロイヤルティプログラム情報を取材 |
“ステーブルコイン”(Stablecoin)と“CBDC”(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)、これらは一見似ているものの、発行主体や目的、そして“誰を信じるか”(信頼の基盤)が根本的に異なるものである。
ステーブルコイン(Stablecoin)とCBDC(Central Bank Digital Currency) 第1部
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Index(目次) (1)ステーブルコインとCBDCのキーワード (2)ステーブルコインとCBDCについて (3)デジタル通貨の分類について (4)世界の主なステーブルコイン、CBDC、トークン化預金 (5)欧米のステーブルコインの法規制について |
ステーブルコイン(Stablecoin)とCBDC(Central Bank Digital Currency) 第2部
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Index(目次) (1)PayPalのステーブルコイン“PYUSD” (2)PayPal のデジタル通貨決済ソリューション“Pay with Crypto” (3)PSPと暗号通貨決済 (4)デジタル通貨のハイブリットモデル (5)未来の財布 |
ステーブルコイン(民間発行のデジタル通貨)
暗号資産の一種で、民間発行のデジタル通貨であるステーブルコイン(Stablecoin)は、ビットコイン(Bit Coin)のような価格変動(ボラティリティ)を抑え、常に「1枚=1ドル」などの法定通貨と連動するように設計された暗号資産である。
ステーブルコイン(Stablecoin)には、最も一般的である「法定通貨担保型」(Fiat-backed)のほか、「仮想通貨担保型」(Crypto-backed)、「アルゴリズム型」(Algorithmic)の3つがある。(表)は、これらステーブルコイン(Stablecoin)の種類とメカニズムを示したものである。
(表)ステーブルコイン種類とメカニズム
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法定通貨担保型 Fiat-backed |
・発行会社が銀行口座に実際のドルや米国債を保管し、同額のトークンを発行 ・代表例:USDT (Tether), USDC (USD Coin) |
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仮想通貨担保型 Crypto-backed |
・イーサリアムなどを担保に、スマートコントラクトを通じて発行 ・過剰担保(1ドルの発行に1.5ドル分の担保など)で安定を図る ・代表例:DAI |
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アルゴリズム型 Algorithmic |
・担保を持たず、供給量をアルゴリズムで調整して価格を維持しようとするもので、2022年の暗号資産のTerra/Luna*崩壊以降、信頼性と規制のハードルが非常に高くなっている |
*Terra/Lunaは、かつて暗号資産市場で時価総額トップ10に入るほど巨大だったブロックチェーン・プロジェクトで、2022年5月に発生した歴史的な暴落事件(テラ・ショック)により、その仕組みは完全に崩壊し、現在のステーブルコインを理解する上では、失敗の教訓として知っておくべき重要な存在である。
CBDC(中央銀行発行のデジタル通貨)
CBDC(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)は、その名の通り中央銀行が直接発行するデジタル形式の法定通貨であるデジタルキャッシュ(現金)である。CBDCには、(表)のようにリテール型CBDC(一般利用者向け)とホールセール型CBDC(金融機関向け)がある。
(表) CBDC(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)
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リテール型 (一般利用者向け) |
・スマホアプリなどで日常の買い物に使うデジタルなお金(キャッシュ)である ・先行事例:中国のデジタル人民元(e-CNY)、バハマのサンド・ダラーなど |
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ホールセール型 (金融機関向け) |
・銀行間の大口決済や国際送金を効率化するために使われる銀行間のデジタル決済用通貨 |
(表)は、リテールCBDC(一般利用者向け)とホールセールCBDC(金融機関向け) 比較CBDC(中央銀行デジタル通貨)を比較したものである。
(表)リテールCBDC(一般利用者向け)とホールセールCBDC(金融機関向け) 比較
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比較項目 |
リテールCBDC (Retail) |
ホールセールCBDC (Wholesale) |
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主な利用者 |
一般市民、個人、事業会社 |
銀行、証券会社などの金融機関 |
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利用シーン |
買い物、個人間送金、公共料金支払 |
銀行間の資金決済、証券の売買決済 |
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主な目的 |
現金の代替、決済利便性の向上、金融包摂 |
決済の効率化、コスト削減、1日24時間年365決済 |
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導入のメリット |
銀行口座がない人もデジタル決済が可能になる |
複雑な決済プロセスを自動化(スマートコントラクト) |
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発行形態 |
中央銀行が直接、または民間経由で発行 |
中央銀行が限定的なネットワークで発行 |
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身近な例え |
デジタルの現金 |
銀行間のデジタル振替 |
〇リテールCBDC(一般利用者向け)
私たちが普段使っている現金(紙幣・硬貨)のデジタル版(デジタルキャッシュ)である。
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公共性 |
誰もがどこでも安全に使える支払い手段を目指す |
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補完関係 |
民間決済サービスと競合するのではなく、それらの土台となる「基盤」としての役割が期待される |
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課題 |
銀行から預金が流出してしまうリスクや、プライバシーの保護とマネーロンダリング対策の両立が議論されている |
〇ホールセールCBDC(金融機関向け)
主に銀行同士の巨大な資金移動をデジタル化するものである。
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効率化 |
現在の銀行間決済は時間がかかったり、夜間・休日に止まったりするが、CBDCを使えば即時(リアルタイム)で完了することができる |
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資産決済の革新 |
株式や債券などの「証券」と「お金」の受け渡しを、ブロックチェーン等の技術を使って同時に(一瞬で)終わらせることが可能 |
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実装の早さ |
一般市民が使うリテール版に比べ、対象が限定されているため、日本を含め多くの国で実験や実用化が先行して進んでいる |
ステーブルコイン vs CBDC の比較
こうした“CBDC”(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)と“ステーブルコイン”(Stablecoin)とは、デジタル決済において覇権を争う競合関係でもあり、補完関係でもあるとされている。(表)は、これらを“CBDC”と“ステーブルコイン”を「発行主体」、「信頼の根拠」、「プログラム性」、「主な目的」、「リスク」で比較・対象したものである。
(表)“CBDC”(中央銀行デジタル通貨) と“ステーブルコイン”(Stablecoin)
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項目 |
CBDC |
ステーブルコイン |
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発行主体 |
中央銀行(中国人民銀行、FRBなど) |
民間企業(Tether, Circleなど) |
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信頼の根拠 |
国家の信用 |
発行体の資産裏付け・監査 |
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プログラム性 |
慎重に設計(プライバシー保護が課題) |
非常に高い(DeFiなどで活用) |
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主な目的 |
・決済インフラの安定 ・金融包摂 ・通貨主権 |
・投資 ・24時間決済 ・エコシステム利用、など |
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リスク |
プライバシー侵害(国家による監視) |
発行体の破綻、規制による凍結 |
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