2023年12月14日14:45
デジタルガレージ(DG)の子会社で、フィンテック分野におけるブロックチェーン金融サービス事業を展開するCrypto Garageは、ファンベースカンパニーが2023年10月に岩手県紫波町と実施した、紫波町ファンコミュニティとの共創と、新たな財源確保を目的とした「ファン向けデジタル会員権」の実証及び体験会を、技術的な側面から支援したと発表した。
紫波町では、2020年度より「ファンベース」の考え方を導入し、紫波町ファンの声をまちづくりに反映するための仕組み構築に取り組んでいる。2022年度の紫波町のファンミーティングで寄せられた町民の人々の声を反映し、「東根山の日」(2023年度)の制定や、地域イベント「AZUMANE WEEK」を企画するなど、ファンとの共創活動を行ってきたそうだ。
今回、このような共創活動の加速を目的としてCrypto Garageは、ファンコミュニティ設計・運営支援を行うファンベースカンパニーと共に、紫波町ファンの人々の熱量をさらに高めるための「ファン向けデジタル会員権」を企画したという。両社は、ファンベースカンパニーが実施したファン分析を基にデジタル会員権および会員権特典を設計するなど、ファンが継続して参加したくなる仕組みを通じて、紫波町のさらなる価値向上を目指した。
10月29日に会員体験イベントを開催。ブロックチェーン技術を活用したトークン発行等を検証した。会員体験イベントでは、紫波町産の米を生かした産品づくり体験、東根山の森林ツアー体験などとなった。
これまでのファン分析結果に基づき、特典設計や体験イベントの企画・運営支援等をファンベースカンパニーが担い、同プロジェクトを推進し、同施策を支える仕組みとして、ブロックチェーン上の秘密鍵の管理を実施するキーマネジメントサービスである「mahola wallet」、およびブロックチェーン・バックエンドサービスである「mahola api」をCrypto Garageが提供し、プロジェクトを支援した。
体験会では、2023年8月開催の第2回紫波町ファンミーティングで生まれたアイデアを具現化する形で、産品を開発するイベントや紫波町独自の自然の魅力を発掘するイベント等を開催した。イベントの事後アンケートでは、参加者全員が「紫波町に関わっていきたい気持ちが高まった」と回答しており、参加者の会員権体験に対する満足度や、まちづくりへの参加意欲の高まりが確認できたという。また、今回の実証実験では、会員同士の交流やイベントへの積極的な参加など、共創に寄与する行動に対して、会員権上にトークンを付与 / 蓄積する仕組みとその体験を提供した。同トークンについて、参加者全員が「まちづくりへの貢献や行動が貯まる機能が特に良かった」と回答しており、トークン発行で共創活動の満足度が高まることが確認されたそうだ。
今回の実証実験では、会員権体験によってファンの満足度や活動意欲が高まることが検証できたことに加え、「紫波町のお菓子をつくる工房をつくりたい」「紫波町の産品でファンをもてなすバーベキューを開催したい」等、新たな共創プロジェクト案も創出され、改めてファンとの共創の可能性も顕在化した。今後は、今回の実証実験で得た知見を活かし、「ファン向けデジタル会員権」の機能を改良していくことで、ファンと地域の共創活動の加速に加え、会員権の有料化による地域価値向上のための新たな財源確保を実現していきたいとした。
この記事の著者
Finance News Navi編集部
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