2025年2月13日8:00
韓国のスマートカードメーカーであるKONAインターナショナル(KONA I)の日本法人であるKONAジャパン合同会社は、メタルカードのプロモーションを加速させる。メタルカードの主戦場である高級ブランド向けの需要への供給を強化する一方で、次世代の富裕層を形成するミレニアム世代を抱えるフィンテック企業にも照準を合わせ、日系印刷会社と緊密に連携し新たな顧客の開拓にも力を入れる方針だ。
デジタル決済が普及する日本市場で
物理カードの役割も変貌
KONAジャパン合同会社代表・カントリーマネジャーの笹井幸一郎氏は「KONA Iは、メタルカードのトップサプライヤーです。2017年からメタルカードの拡販に取り組み、市場の認知も高まっており、日本でも多く採用していただいています。メタルカードは、超富裕層向けのカードとして知られていますが、富裕層のすそ野は広がっており、メタルカードを持ちたいと考えている人も増えています」と話す。
笹井氏は、メタルカードのグローバルな市場動向について「高級志向とエクスクルーシブな体験を求める顧客層に対して、技術革新や規制緩和などによりカード会社の開発競争を促し、市場は成長しています」と話す。マクロ環境については、高所得層の増加やステータスシンボルへの需要が拡大する一方で、環境意識の高まりによってリサイクル素材を使うなどの新しい傾向も出てきている。
また、ミクロ環境については、カード会社が競争に勝ち抜くための戦略としてメタルカードの導入が進み、付加価値サービスの拡充や独自デザインの開発競争が激化している。日本でも広がりつつある国際ブランドカードの非接触決済機能の搭載や生体認証技術の統合などセキュリティと利便性の向上が進んでいる。
そして、顧客層は、主にミレニアル世代や富裕層をターゲットとし、エクスクルーシブな体験や特典を重視する傾向がある。メタルカードの今後の展望としては、デジタル決済の普及に伴い、物理カードの役割が大きく変化しており、高級感とブランド価値を維持する手段へと変貌を遂げている。
意匠性高いメタルカードに脚光、
強力なIPを持つ提携先の開拓が鍵
笹井氏は「デザイン性の高いメタルカードが話題を集めています。特に高級車や航空会社、アニメーションのキャラクターなど強力なIP(知的財産)との相性がよく、海外でもそのようなIPを使用したメタルカードが多数発行されています。今後、様々なIPをベースにしたより魅力的なメタルカードが市場に投入されるでしょう。結果、カード会社様の間で提携先様獲得のツールとしての認知も進むと思います。そういった市場環境を勘案すると、メタルカードの成長の余地はまだあると見ています」と市場動向を注視している。
カード基材は、フルメタル(接触/デュアル)とハーフメタル(デュアル)があり、タッチ決済が増える中で、表面がSUS(ステンレス鋼)で、裏面がプラスチックのハーフメタルを求める傾向が強い。プラスチックを採用することで、従来の裏面への磁気テープやサインパネル、各種印字が可能になるからだ。一方で、重厚感のあるフルメタルでも、安定的にタッチ決済ができる技術の搭載が進んでいる。
加工方法にはNC加工やレーザー加工、メッシュパターンなどを形成可能なエッチング加工などがある。塗装加工は、任意の デザインを自由にカラー印刷できるデジタルを使う方法や、メッキ、蒸着加工、スプレー加工、立体加工などがある。KONA-M(韓国・忠清北道)などの自社工場は、メタル・電子カード生産能力世界トップクラスである。日系の印刷会社との連携を基本としており、日系印刷会社が要求する非常に厳しい品質水準もクリアしている。また、デザインの立案から最終的な納品までのサービス体制を構築し、日本市場において業界トップクラスの一気通貫サポートを実現している。また、主要な国際ブランドの認定済製品をラインナップとして保有し、カード会社の幅広いニーズに応える。
笹井氏は「従来から日系印刷会社様と連携し日韓で製品のつくり込みを行っており、品質面では自信を持っています。また、メタルカードに関連する材料は日本製も多く、日本の材料メーカーの探索・発掘をサポートも行っています。加えて、決済端末メーカー様に対しても、カード会社様の意見もお聞きしながら、メタルカードを使った決済が正常に完了し優れたユーザー体験を実現出来るように、静電気対策などについても協力しています」と話す。
自己表現の手段として、
メタルカードに関心寄せるミレニアム層
顧客へのアプローチは画一的なデジタル技術だけでは難しい。メタルカードの主流である高級ブランドに対しては、伝統的な富裕層をターゲットにしており、伝統的なサービスとデジタルの融合を好む。これに対し、新たに開拓を進めるフィンテック企業は、若年層と新富裕層がターゲットになり、デジタル機能を重視している。
価格戦略については、高級ブランドは比較的高めの年会費を設定し、フィンテックはサブスクリプション型のプランを導入するなどして、比較的低コストの会費で金属カードを提供するのが基本的な戦略だ。ブランドイメージについては、フィンテックは革新性と利便性を想起し、国際的な利用を重視するグローバル志向が強いのが特徴だ。
笹井氏は「海外ではすでにフィンテック企業でのメタルカード採用が始まっていますが、日本ではこれからで、伸びる可能性は十分にあると考えています。フィンテック企業のコア層のミレニアム世代は、自己表現の手段としてメタルカードを意識していて、いわゆるSNS映えを意識し、エクスクルーシブな経験を求めています。カード会社様は、メタルカードの将来の顧客を開拓し、ミレニアム世代のすそ野を拡大するためにも、新しい顧客層として注目していると見ています」と述べる。
今後、KONAジャパンは、メタルカードの富裕層への浸透を進める一方で、エグゼクティブビジネスパーソンらで形成する中間層のさらなる上位会員へのランクアップに対するモチベーション向上を促すような魅力的な素材や意匠性の高いメタルカードのラインアップを揃える。そして、将来の富裕層を形成するポテンシャルを持つミレニアム世代へアピールするような、自己表現の手段として選ばれるようなメタルカードの開発に取り組む方針だ。
笹井氏は「メタルカードの立ち上げには構想立案から最短でも1年程度の時間がかかるので、まずはイメージ感をつかんでいただくためにサンプル作成をお勧めしています。サンプルが手元にあると質感が分かるため、カードのデザインだけでなく、付随するサービス内容の検討が進みやすい印象です。フィードバックを頂きながら、色やデザインに時間をかけ、お客様に満足していただけるモノづくりをしていきたいです」と意気込みを見せた。
お問い合わせ先
KONAジャパン合同会社
代表 笹井 幸一郎
E-mail: koichiro.sasai@konai.com
Tel: 050-3718-6323