2024年5月2日10:47
アイティフォーは、2024年3月でブロックチェーンを活用した電子終活ノートの検証作業を終了した。同検証作業は、熊本県の公募型企画コンペにて採択された「Digital Safe(デジタル金庫)」の提案に基づいたものだ。検証の結果、終活ノートという堅牢性・真正性が求められるサービスに対してブロックチェーンが有効であることや、紙の終活ノートに比べアプリでは情報の保管や共有を容易かつ安全に行うことが可能であることを実証できたという。また、電子終活ノートへの記録を通して、終活に対する意識が高まる結果となったそうだ。
参加者のスマートフォンに「電子終活ノート」アプリをインストールし、逝去時などの模擬シナリオに沿って動作させる。一連の動作によって、終活ノートのペーパーレス化、記録された情報の確実な伝達、ブロックチェーン技術による記録された情報の改ざん検知などについて検証した。同検証には128名が参加者し、「電子終活ノート」アプリを実際に使用しながら各プロセスにおけるアンケートに回答したという。
具体的には、記録した電子終活ノートのデータに対し、ハッシュ関数を用いて「検証情報」を作成し、ブロックチェーン上に記録した。検証情報はブロックチェーン上に記録されることで、耐改ざん性と透明性を有する。電子終活ノートのデータに対する改ざん検知が可能となったことで、堅牢性の向上と真正性の担保をアプリ上で実現する結果となったそうだ。
また、電子終活ノートアプリの操作方法とデータの入力に関して「簡単、まあまあ簡単」と答えた参加者が77.4%と大半を占め、デジタル化をすることで終活ノートの作成が簡略化された。さらに、「スマートフォン上で終活ノートを作成することに利便性を感じる」と答えた人は64.2%だった。回答理由としては、デジタルデータ(動画、写真、音声など)を保存し伝えられるという点、紙に比べてデータの修正が容易な点などが挙げられた。しかし、スマートフォンでの入力がしづらいという意見も一定数見られた。
「本実証事業を通じて、資産や相続に対する関心が高まったか?」の問いに対し、「高まった」と回答した方は74.5%と、同アプリを通じて多くの方が終活に対する意識を高めるきっかけとなったとしている。
この記事の著者
Finance News Navi編集部
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