2024年6月3日19:36
イーデザイン損害保険(イーデザイン損保)と、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の2社は、2024年1月~3月にかけ、カスタマーセンターへの問い合わせが多い自動車保険の車両入替業務をユースケースとして、生成AIを搭載したアバター(以下、バーチャルコンシェルジュ)の精度の検証を実施した。
イーデザイン損保のWebサイトにおける各種手続きは、利用者に不便をかけることなく自身で手続きを完結できるようデザインしている。しかし、利用者の中にはPCやスマホ操作に不慣れな人、手続き中に不明な点が生じる人もいるなど、カスタマーセンターには一定数の問い合わせがあるという。そこで、両社は生成AIを活用した顧客接点の高度化に関する実証実験を行った。
同検証では、車両入替手続きに関する対話のやりとりやFAQを生成AIに組み込み、カスタマーセンターでの応対を想定した対話モデルを構築した。この際、通常の車両入替手続きに加え、主な運転者が変更となるなどのイレギュラーなケースを含む5種類のシナリオを組み込んだうえで、対話の精度、応答速度などにつき評価を実施した。結果、将来的には顧客接点として商用化が可能な水準と評価し、実用化を目指して検討を進めるとの結論に至った。
検証では、De-Identification Ltd.の最先端動画生成AI(Creative Reality Studio)を活用して、実在の社員を基にしたバーチャルコンシェルジュを生成し、外観や動作などの評価を行った。その結果、人間としての自然な動作、応答速度などに課題は残るものの、実務における顧客接点として活用できる可能性があるとの結論に至った。
また、悪意のある問いかけ、ハルシネーションの発生などを想定した対話を複数の生成AIに投入し、生成AI側に実装されたフィルター機能の確認を実施した。実用化に向けては一定の効果は確認できたというが、ルールベース(あらかじめ定められた内容を回答)との融合などさらなる検討が必要であるそうだ。
イーデザイン損保は同実証実験の結果を踏まえ、引き続き最新技術を活用した顧客体験のさらなる向上を目指す。NTT Comは同実証実験の成果をもとにNTTグループが推進するNTT版大規模言語モデル「tsuzumi」の活用も視野に入れながら、金融業界の顧客接点の強化を目指し、バーチャルコンシェルジュの高度化を目指す。
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Finance News Navi編集部
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