化粧品開発を推進するAIモデルを構築へ(IBM/ロレアル)

2025年1月29日7:16

IBMとロレアルは、2025年1月16日、IBMの生成AI技術と専門知識を活用し、化粧品処方のデータに関する新たな知見を得ることで、消費エネルギーと材料の廃棄物を削減に向け、ロレアルにおけるサステナブルな原材料の使用を促進するための協業について発表した。この独自の取り組みでは、さまざまな化粧品カテゴリーと世界各地域においてロレアルの研究開発チームがより優れた成果をあげ、消費者の満足度を向上させるように設計されたカスタムAI基盤モデルを開発する予定だという。この化粧品処方向け基盤モデルは業界初となるものであり、美容と化学、テクノロジーが交差する分野におけるAI革新のあり方を大きく変えるものだとしている。

今回の協業は、化粧品科学におけるロレアルの専門知識と、科学的発見のためのIBMのAI技術を組み合わせ、科学と技術が環境にも配慮された革新的な解決策を導き出し、その優先順位付けができる未来の実現を目指すものだ。地球の天然資源を保護するためには、消費者向け製品の開発において、再生可能かつサステナブルな原材料を探求することが求められる。同取り組みは、2030年までに自社製品のほとんどの処方をバイオ由来の成分や循環型経済に基づいて調達するというロレアルが掲げる目標「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」の達成に貢献するという。

大量の処方データおよび成分データ・ポイントを活用してこのAIモデルを構築し、新製品の処方開発、既存化粧品の再処方、量産化プロセスの最適化など、ロレアルが行う複数の業務を加速させるそうだ。このツールは、今後数年間にわたり、世界中のロレアルの4,000人の研究者をより強力に支援するものとなるとしている。また、IBM Consultingは、ロレアルが目指す処方開発プロセスの再考と再設計を支援する。化粧品処方におけるサステナブルな成分の挙動を理解することで、ロレアルは、よりパーソナライズされたサステナブルな製品ラインを構築し、世界中の消費者のニーズにより幅広く応えることが可能になるという。

基盤モデルとは、特定の分類や説明が施されていない広範なデータを使って学習されたAIモデルの一種で、さまざまなタスクを実行したり、ある状況から得た情報を他の状況に適用することができる。過去数年間で、これらのモデルは自然言語処理(NLP)技術の分野を大きく進歩させたそうだ。IBMは、基盤モデルを言語以外の分野にも応用しており、化学、時系列データ、地理空間データなどの領域に拡張している。 IBMのAI技術は、ロレアルが新しい化粧品処方を開発するための創造性を強化し、美容業界を変革する可能性を持っているとした。ロレアルは、IBMの専門知識と技術を活用し、イノベーションとサステナビリティーが融合する未来を切り開き、日常的に使用する人々にとって独自性の高い製品を提供することを目指す。

この記事の著者

New Retail Navi編集委員

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