2023年12月15日9:25
東京海上日動火災保険(東京海上日動)は、三菱UFJ銀行と共同で、日本のGX促進を支援するソリューションの第二弾として、東京海上日動が提供するシステムと両社による支援を組み合わせた新たなサービス(TCFD情報開示支援システムサービス)の提供を開始した。
東京海上日動と三菱UFJ銀行は、2022年3月31日より気候変動分野における提携を開始し、サービスの第一弾として、2022年11月より両社合同組織である「GX推進アドバイザリータスクフォース」による、上場企業を対象とする気候変動関連情報開示支援コンサルティングを提供してきた。
直近では、2023年6月のISSB(国際サステナビリティ基準審議会)による「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項」、「気候関連開示」の公表を受けて、各国でのサステナビリティ情報の開示基準策定の動きが加速する中、企業が気候変動によるリスクを把握し、自社の事業特性に応じた対策を自律的に策定、情報開示していくニーズが高まっているという。それらのニーズに応えるべく、第二弾として「TCFD情報開示支援システムサービス」の提供を開始した。
同サービスは、「東京海上日動が提供するシステムによる気候変動リスクの定量評価」と、「定量評価に基づく両社による各種アドバイスや関連ソリューション紹介」の2つのサービスで構成されている。
同サービスでは利用者自身でシステムを利用し、企業にとってTCFD情報開示で特に重要である気候変動リスク(移行リスク・物理的リスク)を把握・定量評価することで、気候変動リスクによる将来の財務インパクトを可視化できるという。東京海上日動と三菱UFJ銀行は、リスク評価結果に基づいたアドバイス等を通じて、財務インパクトを極小化する打ち手の策定、実行を支援していく。
また、利用者自身でシステムの試算条件等を柔軟に変更できるため、TCFD情報開示の対応に加え、気候変動に対する自社の中長期的な事業戦略の策定やリスクマネジメントの検討にも活用可能だ。
移行リスクの定量評価では、2℃上昇シナリオ・4℃上昇シナリオにおける、炭素税やエネルギー価格等の変化によって生じる将来の財務インパクトを算出できる。国際的に広く認知・使用されている国際エネルギー機関(IEA)等のパラメータを内蔵しており、パラメータが更新された場合にはシステムをアップデートすることで、最新情報を反映したリスクの定量評価を可能としている。
物理的リスクの定量評価では、2℃上昇シナリオ・4℃上昇シナリオにおける、河川氾濫と高潮による将来の財務インパクト、拠点ごとのハザードグレードの算出が可能だ。東京海上ディーアール株式会社監修のもと、国際的に用いられている Aqueduct Floodsをベースに、世界中の拠点のハザードグレードを算出する。さらに、2023 年 12 月にシステムのアップデートを予定しており、国内拠点では、日本で一般的に用いられている国土交通省の国土数値情報洪水浸水想定区域データをもとに、「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」を踏まえた将来気候下の浸水深予測に基づく財務インパクトの算出が可能となる。
この記事の著者
Finance News Navi編集部
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