2021年3月26日8:00
PARCOカードもしくはセゾンカードの登録で利用が可能に
パルコでは2015年からスマホアプリ「POCKET PARCO」を運用しており、現在のダウンロード数は150万超。同社では2019年10月、このアプリにQRコード決済「ポケパル払い」の機能を追加した。開始当初は「POCKET PARCO」から新規発行した同社のハウスクレジットカード、PARCOカードのみでサービス利用が可能だったが、2020年9月からは既存のPARCOカード、およびセゾンカードの登録による利用が可能になったため、利用者数がさらに拡大している。
決済頻度が高い「ポケパル払い」
顧客ランクに応じたポイント機能も追加
パルコでは2015年より、スマホアプリ「POCKET PARCO」を運用している。ファッションやアートなどに関する情報や各種優待・特典の提供のほか、オンラインストアや、パルコ店内を歩くとコインが貯まる機能など多彩なコンテンツを展開。ダウンロード数は150万を超えるなど、パルコのCRM戦略にとって欠かせないアプリとなっている。
同社は2019年10月に行った「POCKET PARCO」のメジャーアップデートの際に、QRコード決済「ポケパル払い」とポイントサービス「PARCOポイント」の機能を追加した。
「ポケパル払い」は当初、「POCKET PARCO」から新規に発行したPARCOカードのみを対象にスタート。約1年後の2020年9月からは、すでに発行済みのPARCOカード、さらにはセゾンカードの登録による利用が可能となり、一気に利用者の裾野が広がった。利用者数は非公表だが、すでに数十万人が登録を済ませていると見られる。うち9割がPARCOカードの保有者だ。
利用者は決済時に、クレジットカードを紐づけた「POCKET PARCO」のマイページを開き、「ポケパル払い」を選択、表示されたQRコードをレジで提示し、係員が読み取れば支払いが完了する。「決済速度はクレジットカードに比べても明らかに速く、利用者に好評です。決済単価はクレジットカード利用者とほぼ同じですが、『ポケパル払い』利用者のほうが決済頻度が高いので、売上への貢献度は大きいといえます」と、パルコ CRM推進部 部長 北山隆造氏は「ポケパル払い」導入の成果に自信を見せる。
「PARCOポイント」は、PARCOカード保有者、もしくはセゾンカード保有者で「ポケパル払い」利用の場合が対象で、決済額110円(税込)ごとに、カード年間利用額によって決まる4つのランクに応じて2~7ポイントが付与される仕組みである。
QRコード決済比率は急拡大
店頭でアプリ利用を呼びかけ
パルコはクレディセゾンと共同でハウスカードのPARCOカードを発行しているが、情報の蓄積・管理はクレディセゾンが担っており、「必ずしもわれわれが望むタイミング、望む形態でデータを分析・活用できる体制にはない。われわれが主体となった決済手段を持つ必要性については、以前から検討課題に上がっており、アプリで自社決済をするという構想は、3年ほど前からありました」と、北山氏は「ポケパル払い」スタートの背景を振り返る。
「ポケパル払い」では、クレジットカード決済プラットフォームとしてNTTデータの「CAFIS」を利用、電子商取引決済機能を「CAFIS Pitt」「CAFIS BlueGate」で実現することによって、サービス提供を可能としている。
PARCOカード、セゾンカードの発行・管理はクレディセゾンの役割であり、今後も強固なパートナーシップのもとに取り組みを推進していくことに変わりはないが、「『ポケパル払い』はあくまで独立したパルコの仕組み。パルコファンのデータを直接収集、分析して、そのニーズに応えられるよう新事業開発、サービス開発に活かしていきたい」と北山氏は意気込みを語る。
パルコ店頭では、d払い、楽天ペイ(アプリ決済)、PayPayでの決済も可能。QRコード決済の比率は近年大きく伸長し、キャッシュレス決済の中の10%以上、現金決済を含めても5%以上を占める。パルコ店頭では2020年秋以降、3つの手段が相次いで5~10%還元の大型キャンペーンを展開し、集客に貢献したが、その際に同社では、QRコード決済利用者に対し「ポケパル払い」が可能な「POCKET PARCO」を案内、次回以降の利用を促した。その結果、「POCKET PARCO」のダウンロード数の拡大につなげることができたという。
ダウンロードからさらにアプリの活発な利用につなげていくため、紐づけることのできるクレジットカードの種類を、PARCOカード、セゾンカード以外に広げていくことも検討していく。