2021年12月2日9:00
ファーストキッチンは、ソフトバンクグループの日本コンピュータビジョン、プラネット、バリューデザインと共同で、顔認証決済サービスの実証実験を実施する。一般利用者の対象店舗は、ウェンディーズ・ファーストキッチン 赤坂見附店、ウェンディーズ・ファーストキッチン 渋谷センター街店、ファーストキッチン 自由が丘店の3店舗となり、2021年12月15日〜 2022年2月28日まで行われる予定だ。顔認証決済のサービス展開に先立ち、12月1日には概要および各社の事業戦略を紹介する記者説明会を開催した。
登録者には「顔登録者様専用VIPクーポン」も提供
5,000名の利用を目指す
「顔認証決済」は、事前にWebで顔登録をして、クレジットカードもしくは電子マネー「マイファーストカード」のいずれかの決済手段を選択してもらうことで、利用者は財布やモバイルを取り出さなくても顔認証で注文や会計が可能となる。実証実験の期間中は、通常会員よりもお得な「顔登録者様専用VIPクーポン」も用意。顔認証決済により、アプリ会員専用クーポンもクーポン番号を入力せずに利用可能だ。実証実験では5,000名の利用を目指す。
当日はまず、ファーストキッチン 代表取締役会長 アーネスト・M・比嘉 氏が挨拶した。外食産業でもDX(デジタルトランスフォーメーション)とおもてなしの組み合わせが求められている。個人店では常連客におもてなしをするサービスは可能だが、チェーン店は店舗数が多く、対応する店舗スタッフも時間によって変わる。そのため、顧客に応じたおもてなしが難しい部分がある。
今回の実験では、DXを生かしてそういった課題を改善することにつなげていく。顔認証で利用者が把握でき、ロイヤルカスタマーに対してVIPメニューを提供することが可能だ。なおかつ、キャッシュレス決済できる利便性もある。実証実験によりUI(ユーザーインターフェース)を検証しながら、顧客の反応を見て今後のサービスに生かす方針だ。利便性に加え、顧客分析により、ロイヤルカスタマーの育成や拡大につなげていくそうだ。
ウェンディーズ・ファーストキッチンは6年間で52店舗まで拡大。ファーストフードとして、女性の利用者が多いブランドでもある。現在は、ドライブスルーを2店舗展開しているが、来年はさらに強化するという。すでにセルフキオスクやモバイルオーダーも導入。セルフキオスク端末は都心を中心に利用率が高い。
「One to Oneマーケティング」強化
顔認証が広く利用されると期待
代表取締役社長 紫関 修氏は、今回の顔認証の実証実験により、「One to Oneマーケティング」の強化を目的として挙げる。これまで、アレルギー体質などで特定の素材を抜いて調理することは口頭でやり取りしていたが、顔認証の仕組みであれば対面での対応なく実現できる可能性があるとした。日本でいち早く対応することにより、世界のウェンディーズで実現させることも目指していきたいとした。
顔認証決済の仕組みは、米国でID認証サービスを提供するPopIDの決済システム「PopPay」の技術が用いられている。日本コンピュータビジョン 代表取締役社長 アンドリュー・シュワベッカー氏によると、米国での利用者はスピードと利便性から顔認証を評価しているとした。すでに航空やオフィスなどで導入。顔認証システムは2,000人まで対応できる。今後、広く利用されることを期待しており、決済や会員カードを連携させることで、どこでも使えるウォレットとして利用してもらいたいとした。
プラネットは、今回の実験でセルフオーダーキオスクに接続されたカメラ搭載タブレットを提供している。プラネット代表取締役社長 塩田 晃弘氏は、ファーストフードの利用者は現金顧客も多いため、キャッシュレス決済に加え、現金に対応したキオスク端末は強みとなるとした。また、多言語対応も実施。それに加え、顧客のインサイトを把握して、より利便性の高い、快適で価値のある体験を実現していきたいとした。
バリューデザインがハウス電子マネー「マイファーストカード」提供
モバイルオーダーの利用も可能に
バリューデザインは、キャッシュレス決済、販促DXに関するサービスを提供しており、827社、9万152店舗で導入され、8,000億円の売り上げを誇る。
ファーストキッチンには、2019年5月から、ファーストキッチン、ウェンディーズ・ファーストキッチンで使えるハウス電子マネー「マイファーストカード」のサービス導入を支援した。2019年6月にはWebチャージがスタート。また、LINE Pay、楽天ペイ(アプリ決済)、PayPayといったコード決済サービスの導入も支援した。2020年10月からスマホアプリも開始しており、モバイルオーダーも可能となった。今回の顔認証決済の実験では「マイファーストカード」に紐づけてサービスが利用可能だ。
バリューデザイン 常務取締役 林 秀治氏によると、決済手数料を安価に抑えることができるハウス電子マネー(サーバ管理型のプリペイドカード)の比率を高めたい企業が増えているという。ハウス電子マネーは導入した店舗のみで利用可能で、1%を切るコストで導入可能だ。また、顧客が事前に金額をチャージして利用するため、キャッシュフローの改善につながるのもメリットとして挙げられる。さらに、販促・DX支援として、デジタルギフト、決済データや顧客データの分析サービスも提供可能であるとした。
なお、今回の実証実験には、SBペイメントサービスもクレジットカードの決済処理で協力している。
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