AIカメラの活用により店内のサイネージ広告の価値を可視化へ(Idein/ヒマラヤ)

2023年9月28日12:00

エッジAIプラットフォーム「Actcast」を運営するIdein(イデイン)は、スポーツ用品小売業を展開するヒマラヤ(岐阜県岐阜市)と共同で、ヒマラヤゴルフ本店にてサイネージ効果測定と来店客層分析に関する実証実験を実施している。

ヒマラヤでは、店内複数箇所にデジタルサイネージを設置し、販促活動を行ってきたが、効果測定のためのデータを取得できていなかった。また、来店客層に関するデータも取得できておらず、客層に合わせた販促施策の実施が課題となっていた。

AIカメラを活用したソリューションは各社から提供されているが、Ideinの強みである汎用デバイスを使った低コストなAIカメラであることや無料の試用期間が提供されていて試すことができたこと、また実際に店舗に設置した結果、取得した年齢・性別の推定結果が納得できるものであったことなどが評価され、同実証実験の実施に至った。

ヒマラヤゴルフ本店のデジタルサイネージ上に設置されたAIカメラ(Idein/ヒマラヤ)

同実証実験では、AIカメラにより、各デジタルサイネージの視聴時間および視聴率データを取得・分析することで、販促物としての価値を明らかにする。また、来店客の属性情報や店内の各通路の集客力を可視化することで、来店客層や通路ごとに最適な販促施策の立案に役立てるそうだ。

今回の実証実験では延べ1万6,000人以上の来店者データを分析した結果、来店客の男女比は3:1で、男性は30代・40代を中心とした層が多く来店しているのに対し、女性は母数こそ少ないものの20代を含む幅広い年代が万遍無く来店している傾向にあった。

店内に設置されたデジタルサイネージの視聴率は、男性が圧倒的に多いものがあった反面、特定のサイネージは女性が比較的多く視聴しているものもあり、設置場所とコンテンツに一定の相関関係が見て取れたそうだ。

来店客層に対してデジタルサイネージ視聴率における男女差が少ないことから、女性客はデジタルサイネージコンテンツへの関心が高いとしている。アパレル棚付近に設置されたAIカメラは女性客のフレームイン時間も長かったため、女性向けアパレル関連のデジタルサイネージ展開が有効であると推測される。

同実証実験においてデジタルサイネージの広告枠としての価値を定量的に捉えることが可能になるため、ヒマラヤは来店客やメーカーに対し、リテールメディアを活用した集客や顧客の行動変容など、新たな価値提供が可能になる。

今後は全国の複数店舗へAIカメラの導入を進め、デジタルサイネージによる店舗のリテールメディア化を通じて顧客体験の向上を目指す。

なお、店頭に設置しているAIカメラは、IdeinのエッジAIプラットフォーム「Actcast」と連携しているため、さまざまな店舗に設置したAIカメラとデータを一元管理することができる。そのため、ヒマラヤのような全国に展開する店舗でもデータを元にした全社横断の効果的なマーケティング施策を検討・実施することが可能だ。

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