2023年11月17日7:00
Amazon.com, Inc.の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は、AWS を推奨クラウドプロバイダーとする三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)が推進するクラウドファースト戦略を加速するため連携を強化すると発表した。MUFG は、AWS の生成系 AI や機械学習(ML)を含む最新のクラウドテクノロジーを活用することで、同社の顧客により良いサービスの提供を目指す。MUFG はクラウドファースト戦略の推進により、より優れたデータドリブンの意思決定、プロセスの自動化を加速させることに加え、資産運用、バンキング、ファンド調達などの分野において急速に変化する顧客のニーズにも一層迅速な対応が可能となるとしている。
MUFG は、AWS のサービスを活用してグループの IT インフラコストを20% 削減する一方、クラウドがもたらす俊敏性の利点を生かしてより短期間でパーソナライズされた新しいソリューション開発を実現しているという。AWSクラウドの活用によりMUFGは、顧客に対して、より迅速な金融処理、タイムリーな洞察、および長期的で安全な金融デジタルサービスへのセキュアなアクセスを提供することができるそうだ。その取り組みの1つとして、株式や投資信託、クラウドファンディング、保険、ポイント運用など、 MUFG だけでなくパートナー企業が提供する商品・サービスも含めたラインナップから、個人顧客が自分に最適な金融サービスを選んで組み合わせ、単一のモバイルアプリで金融ポートフォリオを構築できる資産運用プラットフォーム「Money Canvas」を開発している。同プラットフォームは 2021年12月にリリースされ、現在すでに250 万人を超える顧客が利用している。
MUFG は、Amazon や主要な AI スタートアップ企業が提供する基盤モデル (FM) を API を通じて利用できるようにするフルマネージド型サービス Amazon Bedrockや、機械学習のハブとして、基盤モデル、組み込みアルゴリズム、および事前構築済みの機械学習ソリューション Amazon SageMaker JumpStartを活用して、社内文書の要約やドラフト作成、各種問い合わせ応答の自動化といったユースケースの検証を行っている。こうした取り組みにより、カスタマーサービス、財務、人事、営業など、あらゆる事業部門における生産性の向上を目指している。
また MUFGは、機械学習モデルの構築、トレーニング、デプロイを行うフルマネージド型サービス Amazon SageMaker を活用し、業務センターにおける業務を自動化することで、30% の業務量削減を実現しているという。さらに、MUFG の市場部門では、データから新しい洞察を得て、これまでとは次元の異なるスケールで、ビジネスを加速させる、あるいは業務を効率化させるためにデータ分析・AI のプロフェッショナル集団の組成とその能力を最大限発揮するための自由な分析環境を構築した。Amazon SageMaker を中心としたマネージド型サービスをフル活用することでスモールスタートを可能にし、短期間で、トレーディングポートフォリオの最適化、見込み取引顧客の抽出、契約文書の分析作業の一部自動化を社員による内製開発で実現している。
生成系 AI、特に大規模言語モデルの活用においてMUFGは、AWS の計算資源を活用し、OSSで商用利用可能な複数のモデルに対して、精度やコストパフォーマンスの測定を行っており、今後さまざまな企業から発表されることが見込まれる多種多様な基盤モデルを、その特性に応じて用途ごとに柔軟に使い分けられるための知見の蓄積とプラットフォームの整備を進めていくことを検討している。市場部門では、今後も AWS のサービスを活用して、100 を超える潜在的なユースケースに対して順次 PoC・実装を進めていく予定だという。
MUFG は、従業員エンゲージメントの向上に向けて、パルスサーベイのプラットフォームを構築し、サーベイの配信・回答データの集計と回答結果の配信を実施している。クラウドベースのビジネスインテリジェンス(BI)サービスである Amazon QuickSightを利用したことで、従来の方法よりも回答の集計から結果の還元までのリードタイムは4分の1に短縮され、運用にかかる費用を約70%削減することができたそうだ。約 3,000 名のマネージャーが従業員の状態をタイムリーに把握している。
この記事の著者
Finance News Navi編集部
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