2021年8月30日8:00
企画乗車券「みさきまぐろきっぷ」でNFC認証やレコメンド機能搭載
京浜急行電鉄と京浜急行バス、NTTドコモは、2021年6月22日から約1カ月間、神奈川県の横須賀・三浦エリアを訪れる観光客らを対象に次世代移動サービス「MaaS（マース）」の実証実験を行った。デジタル化された京急電鉄の企画乗車券「みさきまぐろきっぷ」によるキャッシュレス決済、経路検索、観光施設の混雑情報の配信機能などを備えたスマートフォン向けアプリを提供し、三浦半島の周遊性向上について検証した。（ライター・南文枝）
記事のポイント！
①NTTドコモとMaaS実験を実施
②MaaSアプリによって三浦半島観光の集客力/周遊性を高める
③駅改札や全店舗にNFCプレートを設置
④レコメンド機能で長めの回遊を促す
⑤みさきまぐろきっぷの販売総数の約3割に
⑥レコメンド機能、NFC認証の成果は？
⑦京急としてのデジタル化を見据える
三浦半島での滞在時間が短いことも課題に
MaaSアプリで集客力や周遊性の向上へ
MaaSは公共交通やカーシェア、タクシーといったさまざまな移動手段を統合した移動の仕組みだ。国が「日本版MaaS」を推進・支援していることもあり、近年、国内各地で実証実験が行われている。今回、京急電鉄などが取り組んだのは、旅行客の移動ニーズに対応して、複数の移動サービスや観光を組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行えるようにする観光型MaaSの実証実験だ。
京急電鉄によると、三浦半島は風光明媚で海産物などが魅力だが、近年、観光客数は横ばいだという。同社は、品川～三崎口駅間などの京急線往復乗車券や京急バスフリー乗車券、対象施設での食事券や土産等引換券などをセットにした企画乗車券「みさきまぐろきっぷ」を販売しているが、利用者の三浦半島での滞在時間が短いことも課題となっている。
また、同社は2019年、横須賀市やNTTドコモと連携協定を締結し、スマートモビリティを活用したまちづくりを進めている。こうした背景から、スマートフォン向けMaaSアプリによって三浦半島観光の利便性を上げ、集客力や周遊性の向上を図れないかと、グループ会社の京浜急行バス、NTTドコモと実証実験に取り組むこととした。
NFC認証でスムーズな旅を実現
レコメンド機能で行動変容効果も
実験では、iOS対応スマートフォン向けMaaSアプリ「みうらよこすかMaaS」を提供し、アプリ内で京急線の品川～三崎口駅間の「デジタルみさきまぐろきっぷ」（大人3,570円、小児2,580円、いずれも税込）を販売。切符の購入者がアプリを利用して、横須賀・三浦エリアで混雑・密を避けた旅行ができるようにした。Android対応は、該当するスマートフォンの機種が多岐にわたるため、今回は見送った。
具体的には、京急線の品川～三崎口駅間の全駅や食事券・土産等引換券を使える全店舗にNFCプレートを設置。スマートフォンのアプリでNFCタグを読み込み、非接触で駅の改札を通り、食事や土産等の引き換えができるようにした。アプリには、利用者のシームレスな移動をサポートするため経路検索機能を搭載。シェアサイクルやカーシェアサービスのサイトにも移動できるようにした。
