2026年10月1日8:30(JST)
【日本】カードを発行するのは楽天カードで、与信モデルと専用アプリ、運営基盤を提供するのはみずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のUPSIDERだ。10月1日に発行が始まる中小企業向け法人カード「楽天ビジネスカードプラチナ」は、この役割分担で作られた。個人向けでは3,431万枚を発行する楽天カードだが、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史氏は「法人への与信のノウハウは我々にはない」と話す。(金融・Fintechジャーナリスト 斎藤健二)

最大10億円、年会費無料、還元1%
楽天グループ、みずほFG、楽天カード、UPSIDERの4社は9月30日に共同で記者会見を開いた。楽天カードは新カードをコスト削減と経理業務の効率化で中小企業を支援する商品と位置づける。そのため年会費は無料とし、申し込みはオンラインで完結させ、決算書も原則として求めない。一方で利用限度額は最大10億円と大きく設定した。国際ブランドはVisaで、利用額の1%を楽天ポイントで還元する。経理面では、アプリから領収書をアップロードすると利用明細と自動でひも付けられ、freee会計やマネーフォワード クラウド会計などに連携される。
楽天カードの法人向けカードはこれで3種類になる。個人事業主向けの「楽天ビジネスカード」は楽天プレミアムカードの付帯カードで、楽天カード 代表取締役社長 中村 晃一氏によれば、個人事業主の与信枠の中で事業用の口座を分けるものだ。これに対して今回のカードは「企業として与信をする」。大企業向けには、同じ10月1日から「楽天コーポレートカード」の提供を始める。


収益の狙いについて、中村氏は個人カードのグレード戦略を引き合いに出した。一般カードからゴールド、ブラックへとグレードが上がるほど、1人当たりの利用額は増える。法人は個人よりもトランザクションが多いと見込まれ、1枚あたりの単価がさらに上がる。その取扱高から得る手数料収益の増加に期待しているという。
イシュアは楽天カード、仕組みはUPSIDER
このカードのイシュア(発行会社)は楽天カードである。一方で、与信の仕組みや最大10億円の限度額、年会費無料、還元率1%といった仕様は、UPSIDERが自社ブランドで提供してきた法人カード「UPSIDER」と基本的に同じだ。UPSIDERのカードの仕組みをプラットフォームとして使い、楽天カードがイシュアとして発行する形をとった。還元は楽天ポイントになる。券面には楽天とUPSIDERのロゴが並び、みずほフィナンシャルグループ 執行役社長 木原 正裕氏はこのカードを「Powered by UPSIDER」と表現した。

三木谷氏は、UPSIDERのAI技術と楽天が持つデータを掛け合わせることで、法人への与信を楽天の強みに変えられると期待を示した。
UPSIDER 代表取締役社長 宮城 徹氏によれば、これまでの法人カードの与信は代表者個人の保証に頼るか、過去3期分の決算書で審査するかのどちらかで、いずれも足元の業績を見ていなかった。これに対してUPSIDERは、銀行APIで日々の入出金データを取り込んで独自のモデルで審査し、最短当日、決算書なしで最大10億円の枠を出してきた。

宮城氏は今回の自社の役割を、楽天カードの裏側に入り「与信や運用、機能の面で支援する」ものだと説明した。従来のカード発行プラットフォームは決済処理(プロセッシング)の提供が中心で、アプリや与信審査、カスタマーサポートまで丸ごと提供するものは「これまで世の中になかった」という。イシュアが楽天カードである以上、貸し倒れのリスクは楽天カード側が負うとみられる。ただしリスクや手数料の分担の詳細は、会見では明らかにされなかった。
90万社と法人決済市場 楽天とみずほの提携の中で
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