2024年5月28日15:41
大和証券は、相場操縦等の不公正取引を監視するコンプライアンス業務において、このほどAIを活用した審査を開始した。
投資家層の拡大、HFT(高速、高頻度で自動売買を繰り返す取引)の拡大をはじめとする市場の複雑化・高度化により、証券会社には、自社で起こりうる不公正取引のリスク状況に応じた売買審査が求められている。
このため、日本電気(NEC)の「AI不正・リスク検知サービス for 証券」および大和総研が開発したAI不公正取引検知モデルを導入することにより、不公正取引の審査態勢の強化を図った。
「AI不正・リスク検知サービスfor証券」は、証券業界向けに、不公正取引の審査業務を支援するクラウドサービスとして2020年より提供開始した。分析結果の根拠を可視化できる説明可能AIである「異種混合学習技術」を活用し、全ての取引データを対象に不公正取引の可能性を高精度にスコアリングするとともに、その判定理由も出力する。
これにより、審査担当者はより複雑かつ高度な不正手口の調査・分析に取り組むことが可能だ。大和証券では2023年3月に同サービスを導入し、売買審査業務に活用している。
大和総研では、証券システムを通して培った知見・ノウハウを基に、2023年3月に新たな売買審査システムを開発し、大和証券での利用を開始している。今回、売買審査システムの一機能として、機械学習モデルと複数の深層学習モデルを組み合わせた構成を採用したAIを開発した。大和証券の審査実例データをもとに、その審査ノウハウを反映させた独自のデータオーグメンテーション(データ拡張)技術を適用し、モデルとしての検知能力の網羅性・安定性向上に継続的に取り組んでいる。大和証券では2024年4月より当モデルの利用を開始しているそうだ。
この記事の著者
Finance News Navi編集部
金融分野(銀行、投資、証券、保険)のテクノロジー、マーケティング、最新動向の啓蒙ポータルサイト