2025年6月27日8:00
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2025年6月24日、「Click to Pay(クリック決済)」のもたらすイノベーションについて紹介する記者説明会を開催した。年々拡大を見せるeコマース市場が抱える課題の1つである「カゴ落ち問題」。EC事業者の販売機会損失、不正利用に対してどのようにクリック決済が変化をもたらすことができるかについて紹介した。
非対面でも対面のタッチ決済のような体験を
eコマースの「かご落ち」の課題を解決
Visaは2030年に向けて、シームレスな決済を提供していきたいと考えている。利用者のニーズに寄り添った形で決済体験として、特にユーザー体験はすべてのソリューションにおいて非常に重要視している。その1つがタッチ決済であり、利用率は50%を超えたという。
一方で、eコマースにおいてはカード番号や有効期限などの入力、EMV 3-Dセキュアへの対応などで「かご落ち」が発生している。急いでいる際にカードを財布から取り出して番号を確認して決済する体験は、「必ずしもVisaがベストな決済体験を提供するものではないというふうに思っております」とビザ・ワールドワイド・ジャパン ソリューション営業本部 テクニカル・イネーブルメント部 部長 田中 俊一氏は説明する。加盟店においては、売り上げの機会損失に加え、高い不正発生率につながっている。カード会社にとっては、カードの承認率も下がるなど、悪循環となっている。それを大きく改善できるのが「クリック決済」だという。
田中氏は「eコマースの環境においてもタッチ決済で実現したような、簡単で、スマートで、安全な取引をご提供したいと思っています」と話す。ソリューション営業本部 テクニカル・イネーブルメント部 シニアマネージャーの村城 智香子氏も「ユーザー体験を向上させていくというところの大きな柱」だとした。
1秒で支払いが可能に?
「EMVCo」の仕様に準拠
クリック決済は、eコマースにおいてカード番号の手入力をなくすソリューションであり、「シンプルに言うと、たったの1秒で済んでしまう」と村木氏は説明する。Visaではグローバルで同決済に注力しており、、ヨーロッパ、中東、北米、南米など各マーケットで導入を進めている。特に先行しているのがEUの地域だ。
クリック決済の特徴は3つある。1つ目は、前述のようにカード番号を決済のタイミングでは入力しないことだ。利用者のカード番号などはVisaの「Click to Payサーバ」に保管される。保管方法はカード発行会社から送られる形、消費者が同社のサーバに登録する形がある。消費者がクリック決済に対応している加盟店で買い物をする際、Visaのサーバーにはカード情報が登録されているので、買い物しようとしたら自身が登録したカードの中から決済したいカードを選んで支払いができる。
クリック決済はVisaだけではなく、「EMVCo」の仕様に準拠しており、国内でもクリック決済を準備していると思われる。加盟店にとっては複数ブランドで共通のUX(ユーザーエクスペリエンス)が提供できる点は大きい。
2つ目は、トークンを用いてセキュアな取引ができる点だ。カードの券面に書いている16桁のカード番号が昨今盗まれて悪用される取引が増えている。トークン決済では、VisaのVTS(Visa Token Service)の仕組みを用い、16桁のカードの番号を、別の番号に置き換えて支払うことができる。そのため、カード番号が漏洩するリスクを下げ、セキュアな取引が可能だ。
特徴の3点目は、PCやスマートフォンなどでデバイスに依存しない形で使用できる。
コンバージョンレートを最大化
「Visa Payment Passkey」対応、国内展望は?
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