2012年3月5日17:41
日本電気(NEC)は、薄くて曲げられるなどの特長を有する二次電池「有機ラジカル電池」において、ICカード(規格厚0.76mm)に内蔵可能な厚さ0.3mmの超薄型電池を開発したと発表した。
今回、印刷技術を用いて回路基板と電池を一体化することで、従来比1/2以下となる厚さ0.3mmを実現した。これにより、大きな電力を必要とする画面表示機能や、通信機能、高度な暗号化処理機能をICカードに搭載することが可能となるなど、幅広い用途への適用を実現したという。
具体的には、電池を包み込む外装材として、回路基板にも利用可能な厚さ0.05mmのポリマーフィルムを使用。印刷技術により負極を回路基板上に直接形成するとともに、負極の上にセパレータ(絶縁体)、ラジカルポリマー正極などを積層して作製することで、厚さ0.3mmを実現した。なお、従来の電池では、外装材として利用していたアルミラミネートの厚みだけで0.2mmを要していたという。
また、回路基板上には小型電子部品も実装可能であり、電池に加えてアンテナ、ICを実装した回路基板を用いることで、電池を内蔵した規格サイズのICカードが実現可能だ。
さらに、3cm角、厚さ0.3mm、電池容量3mAhの試作品において、体積あたりの出力密度5kW/Lの高出力性を確認。試作品を利用することで、1回の充電により表示画面の更新2,000回、連続フラッシュ発光360回、位置情報送信35回などが可能である。
また、充放電サイクル試験では、携帯電話用リチウムイオン電池と同等の性能である、500回の充放電で初期容量比75%の容量の維持を確認し、高い実用性を実証しているという。