2019年7月3日8:00
韓国に本拠地を置くフィンテック企業、KONAインターナショナルの得意分野の1つが、決済シーンや各種IDカードの本人確認に活用が広がっている指紋認証だ。同社は指紋センサーカードの開発から製造までを自社内で完結できる、世界で唯一のベンダーを自負している。韓国・金浦工場に年間800万枚を製造可能な生産体制を整え、カスタマイズにもきめ細かく対応している。現在、日本市場から多く聞かれている要望が、社員証への指紋認証の導入だ。同社はこれを、指紋センサーカードのサプライヤーとして、また、インレイメーカーとして、積極的にサポートしていく考えだ。(提供 KONAインターナショナル)
年間800万枚の指紋センサーカードの製造が可能
Visaのアメリカでの実証実験にも参加
韓国の大手フィンテック企業、KONAインターナショナルは、電子部品を内蔵したタイプのカード、いわゆる電子カードの分野でも定評がある。ワンタイムパスワードを発行するタイプのカードや、CVV(セキュリティコード)がダイナミックに変わるクレジットカード、また、これにBluetooth Low Energyを搭載した仮想通貨決済用のカードなど、最先端技術を駆使したさまざまなカードを開発・製造。同社が韓国内に保有する2カ所の製造拠点のうち、金浦空港近くにある金浦工場では、これら電子カードを年間800万枚製造することが可能な生産ラインを整えている。
この電子カードのラインナップの1つが、指紋センサーカード。同社は指紋センサーカードの開発から製造までを自社内で行える、世界で唯一のベンダーである。カードのサプライヤーと、インレイメーカー、2つの立ち位置から世界各地で指紋認証技術の導入・活用をサポート。昨年はアメリカで実施されたVisaの実証実験にもサプライヤーとして参加した。
KONAインターナショナル 日本事務所 カントリーマネージャーの笹井幸一郎氏は、「指紋認証は技術としてはすでに完成しており、本人確認の手段として今後非常に有望です」と述べる。KONAインターナショナルでは、利用シーンや目的に沿うようにこの技術をほかの技術と組み合わせ、カスタマイズした製品として提供することが可能だ。笹井氏は、「アプリ開発の段階からお手伝いし、しっかり成果につなげていきます」と自信を見せる。
高いセキュリティと利便性を同時に実現
社員証などIDカードへの活用が加速
指紋センサーカードでは、指紋情報はカード内に保存される。カードをかざすと指紋認証が行われ、その結果、NFCの処理を行うためのユニークIDが発行される仕組みにより、高度なセキュリティを保っている。一度カードをかざすだけで指紋認証ができるという点で、ユーザーの利便性も高い。さらに端末設置側も、システム変更の必要がなく、既存のNFCのリーダライタがあれば新たに生体認証のスキャナを設置する必要もないため、オペレーションとコストの両面でメリットがある。
幅広いシーンに活用が広がることが期待される指紋認証だが、決済に関しては、現在、国際ブランドクレジットカード各社が非接触取引におけるCVM(本人確認手段)として規格を検討している最中で、本格的な導入までにはやや時間がかかりそうだ。「指紋認証は非接触取引における上限(日本では1万円程度)を事実上撤廃出来るセキュアで利便性の高い手法です。今年の夏以降、日本でも実証実験を行うところが増えるのではないかと見ています。その際にはわれわれもぜひ、参加させていただきたいと考えています」(笹井氏)。
一方、今、日本市場からの引き合いが多いのが、社員証への活用だ。同社は国内印刷会社などと協業しながら、個々の企業が求める厳しいセキュリティ基準をクリアする社員証を提供していく意向である。
コストもよりリーズナブルに。小ロットから導入が可能
近い将来にはFIDO2のパスワードレス認証にも対応予定
指紋認証というと、以前はセンサーの精度が低かったり、バッテリーを内蔵するとカードに厚みが出たりといった欠点があったが、技術革新の結果、非常に使いやすい環境が整い、同時にコストも下がってきている。100枚単位での受注にも応じる。
指紋認証を行うに当たっては、指紋の登録が必要であるが、このオペレーションには大きく2つの方法がある。ひとつは、加盟店の店頭や、社員証の場合であれば企業の総務部内などに端末を設置し、ユーザーがその場所に出向いて登録を行う方法。もう1つは、カードといっしょにパソコンに装着できる小型のリーダライタを送付して、ユーザー自身がパソコンから登録する方法。同社ではこのリーダライタの製造も自社で行っており、1台当たり500円以下で提供が可能だ。2要素認証のアプリケーションの場合、NFCリーダーと生体認証スキャナーを併用したPCログインのシステムと比較し、コストパフォーマンスは高い。
同社は、グローバルな非営利団体FIDO(Fast Identity Online)アライアンスが定めたセキュリティ基準「FIDO2」の認定を取得している。次の展開として、同社では、「FIDO2」対応による、指紋を用いたパスワードレス認証の実現を目指している。スポンサーメンバーとしても活動し標準化に貢献する。
指紋認証を搭載したカードの普及に向け、同社の存在感はますます高まることになりそうだ。
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