星野リゾート全施設の宿泊予約センターが生成AI導入で顧客対応強化(カラクリ)

2024年8月6日16:41

カラクリは、国内外に72施設を運営する星野リゾート(長野県軽井沢町)が生成AI搭載のオペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を導入したと発表した。今回の導入により、宿泊予約センターにおける電子メール業務のプロセス改善や自動対応領域の拡大、新人の早期戦力化を実現したという。また同社ブランドの街ナカホテル「OMO(おも)」・温泉旅館「界」・みんなでルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」においては、生成AIによる問い合わせメールの返信代筆も実践し、実用化を目指している。

星野リゾート全施設の予約関連業務を行う宿泊予約センターでは、顧客満足度向上を目指し、電話対応の効率化やWeb予約ページへのAIチャットボット導入など、業務の生産性向上に注力してきたという。しかし、電子メール業務については属人的になりやすいという課題を抱えていた。長年にわたって蓄積された返信文のテンプレートは5,000を超える上、ブランドや施設、分野ごとに階層構造で管理されているため、新人オペレーターにとっては必要なテンプレートを見つけ出して返信文を完成させるのは容易ではなく、時間のかかる作業だったそうだ。

星野リゾートでは拠点拡大に伴い採用活動を強化しており、宿泊予約センターでも新人が増加することが予測された。そのため、経験に頼ることなく精度の高いメール業務を遂行できるよう環境の整備が中長期的に必要とされていた。将来的な業務改善に向けて生成AIの活用を模索していた中で、メール対応業務の属人性を解消できる点と生成AI活用に積極的な姿勢が決め手となり、 「KARAKURI assist」の導入を決定した。

星野リゾートの宿泊予約センターでは、「KARAKURIassist」を活用し、顧客メール対応業務においてテンプレート検索、生成AI機能によるメール返信文の自動生成、新人の文章校閲を行っている。

新人育成に関しては、導入により、これまで蓄積された5,000を超えるテンプレートの呼び出しが容易になり、2024年4月入社の社員が早い段階で業務デビューに成功した。すでにベテランを超える数の問い合わせメールに対応するなど、新人の早期戦力化を実現している。

また、「KARAKURI assist」は生成AIによるメール文章のドラフト作成機能が搭載されている。社内ナレッジをもとに生成AIが文面を作成するため、企業独自のルールや専門用語に対応した返信文の作成が可能だ。星野リゾートでは同機能を用いた専門チームを立ち上げた。同社のOMO・界・BEBブランドを選定し、食事の時間や施設の営業時間など普遍的な内容の返信文において80%の正当率を達成したら、次のブランドに広げていく計画だという。

この記事の著者

New Retail Navi編集委員

※流通・コマース関係の情報を中心に記事をご紹介しております。

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