2024年9月6日16:02
デジタルガレージ(DG)は、同社が提供するSaaS「パンゲアデリバリー」について、小売事業者の業務運用効率の改善を実現する大幅な機能拡張を実施し、国内初の小売事業者向けクイックコマース対応のリテールテックサービスとして展開を強化すると発表した。
また、DGはサッポロドラッグストアー(以下、サツドラ)との実証実験を経て、サツドラの104店舗において「パンゲアデリバリー」の本格導入が決定したという。
近年、消費者の生活様式の変化を背景に、ネットスーパーやドライブスルー、BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)など、実店舗においてもさまざまなチャネルを活用したオンライン販売事業が拡大している。特に、クイックコマース(即時配達)では顕著であり、そのグローバル市場規模は年間平均成長率25.1%で成長を続け、2028年には約2,550億ドルに拡大する見通しだという。
クイックコマースの導入により、事業者が売上拡大や、多様な販売チャネルを通じた消費者接点を獲得できる一方で、サービスごとに異なる端末やオペレーションに起因する、業務管理・運用の負荷増大が課題となっている。特に、小売事業者においては、さまざまなSKU(Stock Keeping Unit)、高頻度な商品入れ替え、広い店舗面積等がハードルとなり、クイックコマースの本格的な導入は遅れている状況だという。
このような業務課題の解決に向け、DGは複数のオンライン注文サービスを一元管理できるSaaS「パンゲアデリバリー」を、飲食事業者に加え、小売事業者へ向けても展開すべく、機能開発や外部事業者とのシステム連携を拡充してきた。
「パンゲアデリバリー」では、これまでのオンライン注文管理の一元化に加え、小売事業者特有のさまざまなSKUへの対応やデータ処理能力の向上などの機能を実装した。また、POSシステムに留まらず、小売事業者の多様な課題を解決するリテールテック事業者とのシステム連携など、スタートアップ企業を含む外部企業とのオープンイノベーションを加速している。
また、今回のサツドラ店舗での本格導入については、ROMSが提供する「ピッキングシステム」と連携した。これにより、複数のデリバリーサービスの注文やステータス管理に留まらず、店舗内のピッキング業務まで、一元管理・運用が可能となり、小売事業者が抱えるクイックコマースサービス導入課題の包括的な解決を実現するそうだ。
サツドラ店舗との実証実験により検出された業務課題と、パンゲアデリバリーが提供するソリューションとして、複数のオンラインサービスの一括管理・運用ではオンラインサービスごとに管理端末が分かれ操作手順や運用ルールが異なるため、注文管理が煩雑になる。
また、オンラインサービスを横断した受注の優先順位が判別しにくく、ミスや見逃しにつながってしまうという。これを1つのタブレットで、すべてのオンラインサービスの一元管理・運用を可能とすることで、店内オペレーションの効率化と人為的ミスの大幅な削減を実現するという。
また、ピッキング業務(注文内容に基づいて商品を探し、集める作業)の効率化では、店内で取り扱う商品のパッケージが似通っている場合も多く、商品のピッキング時にミスが多発する。また、商品の棚割りを考慮せずにピッキングを進めると、店舗スタッフの動線に無駄が生じ、ピッキング業務に時間がかかってしまうという。これを商品の棚割りを考慮した最適なピッキングルートの提示によりピッキング業務を効率化。また、スマートフォンで商品バーコードを読み取ることにより、人為的ミスを排除し、正確な商品のピッキングが可能だ。
店内商品欠品情報の自動反映では、店内に陳列されている商品は、実店舗に来店した消費者が購入することで在庫切れとなる場合もあるが、オンラインサービスへの情報連携については、個別に棚卸をする必要があり、業務負荷が大きい。これをピッキング時に欠品状態を即時に把握し、クイックコマースのお客様に通知するとともに、全てのオンラインサービスの商品リストから自動的に削除する。
DGは今後、「パンゲアデリバリー」において、ピッキングルートのナビゲーションやPOSおよび在庫連携、AIによる需要予測等の提供により、飲食・小売事業者のクイックコマースの業務効率改善・売上拡大に寄与するサービスを拡充していく。また、飲食・小売事業者が自社ブランドのもとで店外オンライン販売事業を可能にする、新規サービスの開発準備を進めており、決済サービスも併せて提供することにより、グループ戦略である「DG FinTech Shift」のさらなる加速と、日本におけるクイックコマースの発展につなげるそうだ。