2025年4月11日18:37
松屋が運営する(東京都中央区)百貨店の松屋銀座は、キュリネスが開発した「IVIP-Commi(アイビップ-コミー)」を導入し、中華圏の富裕層観光客に特化したエンゲージメントサービスを2025年3月より開始した。

コロナ時期を乗り越え、2023年以降は来客数・売上高ともに好調を維持している松屋銀座の好調の要因はインバウンド需要であり、海外からの観光客が売上伸長を牽引しているという。特に中国でも富裕層と呼ばれる層が多く来日し、購入単価を底上げしている。
コロナ禍以降は一気に回復したインバウンド市場であるが、課題も見えてきたそうだ。1人あたりの消費額が高く、売上拡大に多大な貢献をしてくれる中華圏富裕層とのエンゲージメント不足だとした。
中華圏観光客からの人気が高い松屋銀座では、訪日客の中で、高額購入者であるVIP層の多くが中国人でありながら、利用者を顧客化する方法が見いだせず、機会損失を痛感していたという。。
今回、キュリネスの新サービスであるIVIP-Commiを導入し、中華圏富裕層顧客の管理と、離日後もリピート促進に向けたプッシュ型コミュニケーションを実施、“高付加価値のサイクル化”を目指すという。
多くの中華圏インバウンドを受入れる松屋銀座に対して、中華圏富裕層顧客のCRM基盤を構築し、情報発信に加え来店頻度・取引額などを可視化するそうだ。来店したVIP顧客がIVIP- Commiにユーザー登録をすることで、ペルソナ情報を収集し、ターゲット層を絞った上で最適なプロモーションが可能だという。具体的には、収集した情報にタグ付けし、ターゲットへの一斉送信や、モーメンツ発信(画像・映像を交えた投稿機能)ができるだけでなく、1対1の個別チャットにより離日後であっても濃厚なコミュニケーションを継続できるそうだ。
これは、中国人スマホユーザーの97%が利用しているWechatをユーザーインターフェースにしているためで、VIP顧客が使い慣れた環境でオープンなコミュニケーションを取ることが可能となる。
今後はさらなるエンゲージメント構築のため、日立ソリューションズ・クリエイトが開発する「CRM基盤」の提供を受け、「IVIP-Card(アイビップ-カード)」としてIVIP-Commiにアドオンする予定だ。IVIP-Cardは、IVIP-Commiで収集した顧客情報を、会員管理やポイント管理などに拡張するサービスで、全国の百貨店に展開していく予定だという。
また、生成AIを活用し嗜好性や購入傾向などを詳細に自動分析。精度の高いレコメンドや、よりキメの細かなエンゲージメントをAIが実現。顧客の囲い込みだけでなく、業務効率化にもさらなる貢献を目指す。