国境を越えた顧客獲得が、企業が激動の時代を生き抜くカギとなる(ペイパル)

2022年10月27日8:00

 

ペイパル グロースマーケット担当シニアバイスプレジデント
サンバ・ナタラージャン(Samba Natarajan)

アジア、南米、中東、アフリカの主要成長市場におけるエンタープライズセールスおよび市場開発チームを率い、世界で最も急速に成長しているデジタル経済圏にてペイパルのビジネス拡大を担う。

企業には、どうしてもコントロールできないことがあります。インフレをコントロールすることはできませんし、中央銀行のインフレ対策に介入することもできません。また、企業の経費を増加させ、顧客の予算を圧迫する、コスト上昇を抑えることもできません。さらには、グローバルサプライチェーンの混乱に対してもほとんどなす術がありません。仮に入手困難な重要な部品を購入するために新しいサプライヤーを見つけることができても、入手に遅れが生じる可能性は十分にあり得るのです。

このような中でも、企業は越境EC(eコマース)へと構造的に転換すること、そしてそれがもたらす越境ビジネスのチャンスをうまく取り込むことで、困難な時代に対する防衛策を打つことができるのです。現在では世界中に販路を拡大できるのに、一つの市場に限定してビジネスを展開する必要はないのです。

ペイパル グロースマーケット担当シニアバイスプレジデント サンバ・ナタラージャン(Samba Natarajan)氏

激動の時代、備えあれば憂いなし

主要な国際機関によれば、今後1年の間に、世界の成長がさらに抑制される可能性が高いという見通しが示されています(※1)。IMFは、世界の実質GDP成長率は2022年に3.2%に減速し、金融引き締めの影響を受けてさらに縮小すると予測しています(※2)。アジアにおけるインフレ率は欧米に比べてやや低く抑えられていますが(※3)、その多くの市場は、中央銀行にインフレ対策を促すほど厳しい状況にあります。

インフレ率の上昇や成長率の鈍化、サプライチェーンの停滞が折り重なる現在のビジネス環境において、多くの企業は存続を脅かされています。

しかし、悪いニュースばかりではありません。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によってもたらされた2年間の入国規制を経て、多くの国が国境を再び開放し、リベンジ旅行でビーチやショッピングモールに観光客が押し寄せるようになりました。さらに重要なことは、コロナ禍によってeコマースのブームが起こったことです。人々がオンラインストアや国境を越えたショッピングをより快適に楽しむようになっており、今後もこのブームは続くと予想されます。このeコマースへの大きなシフトにより、これまで以上に海外市場へのアクセスが容易になり、企業にとって新たなビジネスチャンスとなっています。

[1]世界銀行「世界経済見通し」レポート、「住宅価格と金利により引き続き2023年は景気後退の可能性が示唆」(Fannie Mae)。IMF「世界経済見通し」レポート、「戦争により世界経済の回復が後退」(2022年4月)
2IMF「世界経済見通し」、「重苦しく不透明感が増す」(2022年7月)
3「アジアの中央銀行は世界的な利上げラッシュの中で追従を余儀なくされている」(ロイター)

救世主となる越境EC

多くのビジネスにとって、今後はデジタルとグローバルがさらに重要となります。オンライン化による越境ECは容易になっただけでなく、あらゆる業種のビジネスにとって急成長している市場でもあります。

統計によると、世界中のオンライン小売業者の売上高は2025年には50%成長し、7.4兆米ドルという驚異的な規模に達すると予想されています(※4)。ペイパルの「2022年ペイパル海外通販レポート」によると、アジアで調査したすべての市場において、eコマースは2桁の成長を遂げています。唯一の例外は中国ですが、同国のeコマース市場規模はすでにその後を追う10市場の合計よりも大きく(※5)、ライブコマースのようなショッピング・イノベーションに関しては、世界の他の地域を大きく引き離しています。

アジア全域において見られる傾向として、消費者は海外からの購入にこれまで以上に積極的になっています。実際に、「2022年ペイパル海外通販レポート」で調査した、オンラインで買い物をした消費者の42%が、2020年と比較して、越境ECによる買い物に慣れてきたと回答しています(※6)。日本でも、越境ECの利用率が前年比約10%増(※7)になるなど、海外から品物を購入する傾向が強まっています。

また、アジア地域の消費者は、自宅からだけでなく、外出先でもモバイル機器から快適に買い物ができるようになってきています。ノートパソコンやデスクトップパソコンは、急速にスマートデバイスに取って代わられつつあります。中国では、驚くべきことに調査の回答者の96%がスマートフォンで買い物をすると回答しています(※8)。その割合は香港では85%(※9)、シンガポールでは84%(※10)となっています。従来型のショッピング体験が人気の日本でさえ、77%がスマートフォンで買い物をしています(※11)。ここから読み取れるメッセージは、アジアで成功を収めたいなら、モバイル体験を最も重視する必要があるということです。オフラインとオンラインのモバイル体験をどのように結びつければ、パーソナライズされた円滑なショッピング体験を実現できるのか、企業はこの点について考える必要があります。

ソーシャルメディアも、越境ECにおけるマーケティングチャネルとして同様に重要です。たとえば、香港では、越境ECを利用する買い物客の47%が主にFacebookやInstagramなどのソーシャルメディア経由で海外サイトを見つけ、購買につながっています(※12)。これらのチャネルをどのように活用し、どのようなインフルエンサーマーケティング戦略を採用するかによって、企業の収益に大きな違いが生まれてきます。

興味深いことに、ペイパルが調査したすべてのアジア市場において、消費者は、シンガポール、香港、日本、中国など、近隣のアジア市場から品物を購入する傾向が高いことがわかりました。その理由はとてもシンプルで、消費者はよりお得なショッピングができると考えているからです。調査対象とした消費者の61%が、より安い価格のためなら配送に時間がかかっても我慢すると答えており、価格は商品の配送時間よりも優先される傾向にあります(※13)。

しかし、価格だけではありません。消費者の間では、購入の際に、社会的責任を意識する傾向が顕著になってきています。香港を含む中国では、買い物客の間で、企業の価値感に対する意識が高まっており、誠実な対応をしている企業には、追加で料金を支払うことを厭わない傾向が見られます(※14)。

4「2022年ペイパル海外通販レポート」p5
5「中国におけるデジタルイノベーションの将来」p6(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
6「2022年ペイパル海外通販レポート」p6
7「2022年ペイパル海外通販レポート」P64、「2021年ペイパル海外通販レポート」P60
8「2022年ペイパル海外通販レポート」p34、9同p40、10同p76、11同p64、12同p40、13同p6、14同p35、p41

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