2025年5月30日8:00
ドコモの金融強化の4つの狙い、住信SBIネット銀行はBaaS強化で高ROE実現へ
日本電信電話(NTT)とSBIホールディングスは、資本業務提携契約を締結した。また、住信SBIネット銀行はNTTドコモ(ドコモ)の連結子会社となる予定だ。2025年5月29日には協業に関する記者説明会を開催。住信SBIネット銀行の子会社化でドコモは“銀行”というパーツを手に入れることができ、貯金、決済、保険、融資、ポイントなど、トータルな金融サービスを展開することが可能となる。また、住信SBIネット銀行はBaaS(Banking as a Service)事業であるNEOBANKを展開しているが、導入企業の独自経済圏を維持した展開を目指すという。
NTTはSBIに約1,100億円を出資
銀行・証券領域で提携強化
まずは、NTT 代表取締役社長 島田 明氏が今回の資本業務提携の目的について説明した。NTTは2023年に中期経営戦略を発表し、新たな価値の創造とサステナブル社会を支えるNTTへ、顧客体験の高度化、従業員体験の高度化を掲げている。その中でパーソナルビジネスの強化、社会・産業のDX/データ利活用の強化、顧客体験(CX)を重視した強化は、今回のSBIホールディングスとの資本提携、住信SBIネット銀行のドコモへの参画により一段と加速できると期待した。
SBIホールディングスは金融などで豊富な実績を有する。同社グループとの資本業務提携により、デジタル技術と金融サービスを融合させ、金融領域を中心にさまざまな領域で革新的なサービスを市場に提供するという。また、社会の発展を目指すパートナーとして、両グループのアセットを活用した幅広い領域における協業関係を構築させる。さらに、社会課題の解決、および顧客利便性向上に貢献し、持続可能な社会の構築につなげることにより、両グループがともに成長することを目指す。
その目的の実現に向けて、まずSBIホールディングスによる第三者割当増資をNTTが引き受け、NTTは約1,100億円を出資し、両グループの資本業務提携の礎とする。そのうえで幅広い領域での協業関係を構築させる。
協業に関しては、①銀行・証券領域における提携関係の維持、強化、②資産運用・セキュリティトークン・保険分野における新たなサービス創造、③金融サービス事業におけるシステムの高度化、④その他分野における両グループのアセットを活用した連携、という4つを挙げ「大きな期待を持っている」と島田氏は話す。同資本業務提携の一環として、ドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社する。また、両グループは新しい協力関係が未来に向けたさまざまな挑戦の基礎になるとした。
SBIはオープン・アライアンスを強調
新たな銀証連携サービスとは?
SBIホールディングス 代表取締役会長兼社長 北尾 吉孝氏は、今回の連携が同グループのオープン・アライアンスの一環であることを強調した。
住信SBIネット銀行は2025年10月にSBIホールディングスと住友信託銀行が共同で設立したネット銀行だ。SBIグループの企業生態系で生み出されたシナジーにより急成長を実現。2007年に開業し、2009年1月に初の単月黒字化を達成。2014年~24年度の年平均成長率(CAGR)は14.0%となるそうだ。
とりわけSBI証券とネット銀行との結びつきは意識的に強化した。SBI証券は1999年に事業を立ち上げ、2007年に一定の顧客を確保していたが、その顧客をネット銀行に取り込むため、SBIハイブリッド預金(証券取引の売買代金自動入出金サービス)によりシームレスに移行させることが可能となった。
今回、ドコモから関心を持ってもらったが、同社では住信SBIネット銀行の生みの親として、住信SBIネット銀行がNTTグループ傘下企業となることで同行の高成長を持続させる責務があるという。
創業以来、証券とネット銀行が一体化しながら銀行を育ててきて、株式公開に至った。また、三井住友信託銀行などのパートナーの意見などを聞き、NTTからの意向に沿えるかを判断したという。
ドコモの住信SBIネット銀行の買収に鑑み、SBIホールディングスは住信SBIネット銀行に対する全持分の34.19%を売却する。北尾氏は、SBIネット銀行が今後も健全に成長し続けるためには、SBIグループとの継続的な連携が不可欠だとした。これまで同社ではSBIネット銀行を継続的にサポートしてきたが、それを継続することがSBIグループの役職員などに報いることになるとともに、業績の継続的な向上を促すことが売主として飼い主に関する責務だとしている。これを確実にするために、SBIホーディングスに対してNTTが2,700万株となる8.19%出資。両グループの経営資源を有機的に結合し、Win-Winなシナジー効果の創出を目指す。同様な関係はSMBCグループとも結んでいたが、第三者割当も同じ比率となった。もう1つの問題として、ドコモではすでにマネックス証券とのかかわりがあったが、住信SBIネット銀行を通じた銀行サービスと証券サービスとの連携については、SBI証券と、ドコモの連結子会社となるマネックス証券を公平かつ公正に扱い、顧客中心主義に基づき顧客の利便性を損なわないようにしたという。
今回の提携により、SBI証券、住信SBIネット銀行、およびドコモ間で新たな銀証連携サービスを開始する。
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