2020年9月28日8:08
大丸松坂屋、PARCO、GINZA SIXなど多数の商業施設を擁するJ.フロント リテイリンググループは、グループの強みを最大限に生かすことを目指し新たなポイントプログラム、「QIRA(キラ)ポイント」を構築。2021年1月に予定されている大丸松坂屋カードのリニューアルと同時に、運用を開始する。今回は、JFRカード 代表取締役 二之部 守氏に「QIRAポイント」で目指す世界について、説明してもらった。
これまでのポイントに加えて「QIRAポイント」を付与
利便性とお得感が増す新・大丸松坂屋カード
J.フロント リテイリンググループ(JFRグループ)の中で金融事業を担うJFRカードは、「グループの中で成長事業として位置づけられています」と二之部氏は話す。同社では、グループの強みを最大限に生かすことを目的に、新たなポイントプログラム、「QIRA(キラ)ポイント」を構築。大丸松坂屋カードのリニューアルに合わせ、2021年1月から運用を開始する予定だ。同グループには各ブランドごと、あるいは地域ごとにポイントプログラムが存在し、運営主体もばらばら。これらをつなぎ合わせて顧客情報を一元管理し、顧客の利便性の向上、売上の向上につなげるのが「QIRAポイント」のミッションである。
「QIRAポイント」は、大丸・松坂屋でのクレジット利用でこれまで付与されていた大丸松坂屋ポイントにプラスして付与。特選商品やセール品など大丸松坂屋ポイント付与対象外商品であっても、「QIRAポイント」は付与される。また大丸・松坂屋以外に、Visa/Mastercard加盟店でのクレジット利用でも「QIRAポイント」が付く。貯まった「QIRA ポイント」は大丸、松坂屋のポイントや各種商品券、T ポイントや楽天ポイントなど他社ポイントと交換して利用することもできる。
決済手段にインセンティブが付いていることは、いまやお客様にとって当たり前のことになっている。故に、JFRカードでは、「ポイントプログラムこそ顧客戦略の“コア”」(二之部氏)とわきまえて強化に取り組んだという。
2021年1月から順次、新機能を搭載
狙いは稼働率向上と若年層の取り込み
「QIRAポイント」は2021年1月にリニューアルされる大丸松坂屋カードに搭載され、運用が開始される。大丸松坂屋カードの発行枚数は現在約180万枚、口座でカウントすると約160万口座。カードそのものは更新時期に順次切り替えとなるが、特別な手続きをしなくとも「QIRAポイント」の付与は2021年1月から自動的に実行される。また、1月以降発行されるVisaカードには、コンタクトレスペイメントの「Visaタッチ決済」機能も付加される予定だ。
JFRグループが「QIRAポイント」機能搭載の新カードに望んでいることの1つは、既存会員の稼働率アップだ。これまでのポイントに加えて、汎用性のある「QIRAポイント」が貯まる・使えるとなれば、利用がより活発化すると期待できる。
もう1つは、新規顧客の開拓。既存の大丸松坂屋カード会員の中心年代層は50~60代だが、「楽天ポイント」「Tポイント」などとも交換が可能な「QIRAポイント」を展開することによって、これまでなかなか接触機会を持てなかった30~40代等の顧客にも積極的にアピールし、取り込みを図れると期待している。
地域を活性化する“アーバンドミナント戦略”のコアに
「QIRAポイント」を中心とするフィンテック政策を位置付け
JFRグループでは大丸・松坂屋、パルコなどグループ店舗を核に、その周辺のエリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する“アーバンドミナント戦略”を推進している。グループ店舗の売上のみならず、地域の賑わいを創出し、地域とともに中長期的な企業価値の向上を実現しようとするものだ。「QIRAポイント」はその中心的な政策と位置付けられている。
現在“アーバンドミナント戦略”を推進している地域は、東京・御徒町、大阪・心斎橋、京都・烏丸、神戸・元町、名古屋・栄の5つのエリア。いずれも大丸、松坂屋、パルコといったJFRグループの主要店舗が立地するエリアだ。同グループではここで「QIRAポイント」を積極的に展開することで、顧客の回遊性を高めようと考えている。
JFRカードではVisa、Mastercardのライセンスを取得し、アクワイアラ(加盟店契約会社)として加盟店開拓を行っていく。その意図はあくまでも、同グループ店舗出店エリア内の経済活性化。オフライン・オンラインにかかわらず、商圏の拡大を目論んでいるわけではない。二之部氏は「地場のスーパーやレストラン、商店街などを巻き込んでQIRAポイント加盟店を増やし、エリア内での顧客の回遊を促進して、地域活性化に貢献したいと考えています」と意気込む。
新ポイントプログラム「QIRAポイント」は、JFRグループが持てる強みを遺憾なく発揮できるプラットフォームづくりを模索する。グループ内に蓄積された顧客データをマージパージし、リテール及び金融サービスに反映させる仕組みの構築にも着手しているという。