2024年1月9日8:25
Adyen(アディエン)はグローバルな決済サービスプロバイダとして、対面・非対面決済を1つのプラットフォームで提供している。今回はAdyen アジア太平洋地域社長のWarren Hayashi(ウォーレン ハヤシ)氏にグローバルの決済動向に加え、汎用端末を活用した「Tap to Pay」や本人認証サービス「EMV 3Dセキュア(EMV 3DS)」、ネットワークトークンの状況、決済データの利活用などについて話を聞いた。同社では中小企業向けのプラットフォーム事業「Adyen for Platforms(アディエンフォープラットフォーム)」を提供するとともに、「Adyen for Capital(アディエンフォーキャピタル)」でキャッシュフロー改善もサポートするという。
オンラインの成長や実店舗のデジタル化が進む
規制強化の中でのCX体験が求められる
グローバルな決済の動向として、新型コロナウィルスによるパンデミックを経て、人々の行動が変わってきたという。デジタル化はコロナ禍、コロナ後も進行しているが、まだ道半ばであるとした。飲食、ショッピング、宿泊などで人々の日常が戻り、消費行動も活発化している。Adyenでは、買い物客(ショッパー)の理解を促進させる取り組みを行っている。例えば、昨日来店した顧客がオンラインで購買しているのか、また、リアル・ネット双方で購入しているか、日本で購入した人が旅行をして海外で買い物をしているかどうかといったことだ。Adyenでは、グローバルで提供しているサービスを国内でも展開しているため、ショッパーの理解を促進させ、ひいてはCX(カスタマーエクスペリエンス)向上につなげていくことが関心事項となっている。
日本はインバウンド決済への関心が高い。インバウンド顧客は自身の国で日本よりもデジタル化が進んだ状態で買い物をするケースも多く、日本でも同様のCXを求めている。逆に日本人が海外に訪れた際も同様で、デジタル化の経験はボーダレスとなっているそうだ。
2つ目のトレンドとして、オンラインは今後、実店舗の成長を上回るという。全体的なEC市場のサイズを見ると、2023年時点で、米国ドルで6兆$、2024年は20%増が見込まれている。オフラインで展開している企業は、オンラインを伸ばして相乗効果を得るとともに、従来型のリアル店舗のデジタル化を促進させることが求められる。
一方で、規制が厳しさを増している。規制があるからこそ消費者は保護され、トランザクションも安全に行われるなどプラスになる面もあり、Adyenではコンプライアンスを担保しながら、最高のCXを提供できると考えている。Adyenがサービスを提供する国では各国のライセンスを取得しており、規制当局と密接にディスカッションしている。グローバルでの経験と各国の規制に関する理解があるからこそ加盟店にコンサルティングなどのアドバイスができるとした。ハヤシ氏は「トレンドの把握や経験、スケールメリットがあるからこそ、いろいろなことが助言できます」と述べる。
SaaSプレイヤーと連携し「Adyen for Platforms」展開
SMBに個別業界に特化したサービスと決済を提供
Adyenでは、新たな展開として中小企業向けのプラットフォーム事業「Adyen for Platforms」を展開している。同サービスのグローバルマーチャントにはORACLE、Revel、WIX、Lightspeedなどが名を連ねる。
従来のAdyenのビジネスは大手加盟店が中心だったが、中小企業向けにサービスを展開するプラットフォーマーとの関係を深めている。SaaSのプレイヤーは数多く存在し、ソフトウェア会社が飲食、アパレル、エンターテイメントなど、業界向けの個別のサービスを提供している。Adyenでは同社のペイメントソリューションをSaaSのプレイヤーに提供し、各社からSMB(中堅・中小企業)に対してサービスを提供する流れだ。
例えば、レストランに特化したTabSquare(タブスクエア)、オーストラリアで遊園地などに向けてソリューションを提供するROLLER(ローラ)などがサービスを提供している。現在、グローバルでパートナーシップを進めているが、日本でも同サービスを提供していきたいとした。
日本の加盟店の25%がコスト削減・効率性追求へ
COTSの決済はTap to Payを提供
日本の流通への調査では、日本の加盟店の25%がコスト削減し、効率性を追求していると回答している。そのコストはトランザクションに加え、オペレーションにかかわる人的コスト、店舗にレジを複数台設置し、人が対応するコストなども含まれる。そのため、自動化やテクノロジを活用してオペレーションコストを削減し、新しい売り上げの源泉となるように努めている。
ペイメントの世界では日本も早く進化を遂げてきたが、世界各地でも5年前と比べて様変わりしたという。端末自体もフォーマットやユースケースが変わってきている。例えば、5年前の端末は耐久性を重視し、大容量のバッテリーで大きなサイズも多かった。近年ではCXやカスタマージャーニーが変化し、小型の端末を従業員が携帯して、顧客の面前で決済するケースも増えてきた。同社でも日本のOn Tokyoなどに顧客の面前で決済できる端末を提供するなど、店舗形態に合わせてさまざまな端末を用意してきた。
自身が保有するスマートフォンやタブレットを決済端末として利用する「Tap to Phone」や「Tap on Phone」といったCOTSについては、次のトレンドとなる。利用者が保有するスマートデバイスを利用することで、決済に加え、さまざまな機能を統合することも可能だ。Adyenでは、AndroidとiOSに対応した「Tap to Pay」をローンチしており、欧州や米国などでサービスを提供している。例えば、iOSに関してはシンガポールといったアジアやオーストラリアでも導入している。シンガポールの動物園であるマンダイ・ワイルドライフ・リザーブでは、COTSを使ったサービスを提供しており、利用者が端末を携帯することでCXが様変わりしたという。なお、AdyenではPCI CPoC(Contactless Payments on COTS)に準拠しているが、今後MPoC(Mobile Payments on COTS)での認証にも対応していくそうだ。
本人認証は真正な取引を阻害しない点が重要に
ネットワークトークンは一気通貫の提供が強み
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