2011年7月21日11:15
7,200万人の会員基盤を有する「NTT IDログインサービス」
「NTTネット決済」では多彩な決済手段をワンインターフェースで提供
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、NTTドコモ、NTTレゾナントは、2010年5月14日から、各社の顧客が利用するID認証により、NTTグループおよび外部提携企業のWebサイトへのシングルサインオンができる「NTT IDログインサービス」を行っている。また、2010年12月からは、「NTT IDログインサービス」を活用した決済連携サービス「NTTネット決済」の提供を開始した。7,200万人の利用者が共通して利用できる共通IDの狙いについて話を聞いた。
NTTコミュニケーションズ
OCN 、docomo 、gooのIDで
NTTグループサイトなどにシングルサインオン
「NTT IDログインサービス」は、NTT Comの「OCN ID」、NTTドコモの「docomo ID」、NTTレゾナントの「gooID」のいずれかの認証IDで一度ログインすると、再びログインせずに利用することが可能だ。
「7,200万人の会員基盤を有しているのが特徴であり、docomo IDの場合は携帯電話の番号、OCN IDやgoo IDの場合はメールアドレスでログインが可能です。現状はグループ内で浸透に力を入れていますが、今後は外部サイトでの利用を促進していきたいです」(NTT Com OCNサービス部 サービス開発グループ 担当課長 大田 史氏)
他社が提供する共通IDとの差別化のポイントとしては、3つのID形態を自由に利用できる点だ。しかも、OCN IDであればメールアドレス、docomo IDであれば携帯電話番号でログインできるなど、顧客が好きなID形態を自由に選択できる。
「例えば、Open ID的に複数のサイトでIDを利用する場合、数カ月に1度しか利用しないサイトもありますが、NTTIDログインサービスであれば、ユーザーの方が普段からよくお使いになる携帯番号やメールアドレスを利用するため、認証IDを忘れにくいというメリットがあります」(NTT Com OCNサービス部 サービス開発グループ 津田勇気氏)
まだ、導入から1年あまりのため、具体的な検証はこれからだが、例えばOCNやgooのログインIDはメールアドレスのため、多くのユーザーが数日に1回は利用しているそうだ。
外部サイトとの連携もスタートしており、例えばセブンネットショッピングのWebサイトでは、NTT IDログインサービスを使ってログインできるという。
クレジットカード情報を安全に保管
簡便な決済により利用者の購入前の離脱を低減
同社では、2010年12月から、NTT IDログインサービスを活用した決済連携サービス「NTTネット決済」の提供も開始している。同サービスについては、決済代行事業者のJ-Paymentと提携し、スタートした。
NTTネット決済では、ユーザーのクレジットカード番号などの情報を預かるサービスを提供し、利用者は認証IDのみで決済が行えるのが特徴となっている。ECサイトを運営する企業にとっては、自社サイトにNTTネット決済を導入することで、NTTグループの複数の決済サービスを利用可能だ。
支払い方法はNTT Comが提供する「OCNペイオン」(NTT Com請求書払い)、インターネット上のプリペイド型電子マネー「ちょコム」、NTTドコモが提供するクレジットサービス「iD」、「ドコモケータイ払い」(ドコモ請求書払い)に加え、各種クレジットカードも支払い方法として選択できる。
「他社の場合、ユーザーが登録する決済手段は、クレジットカードのみとなることが多いですが、ちょコム、iD、ドコモケータイ払いなど、複数の決済手段が利用できます。そのため、若年層や学生など、クレジットカードを利用できない層にもアプローチが可能です。また、docomo IDが利用できるため、モバイルユーザーも多く取り込める期待があります」 (大田氏)
NTT Comでは今後も決済手段は顧客の要望に沿う形で拡充していきたいと考えている。
NTTネット決済では、加盟店側でクレジットカード番号などの個人情報を保管する必要がない。また、加盟店にとってはNTTブランドの決済を採用することにより、安心感を得ることができる。さらに、利用者は普段利用するIDの入力のみで決済が行えるため、クレジットカード番号などの入力が不要となり、購入前の離脱を低減できるという。
現在の導入先としては、J-Paymentに決済代行を委託する「勝間和代オフィシャルサイト」「まったく新しいゴルフ理論」「高田ハープサロン」「PHOちょ+」などとなっており、徐々に利用可能サイトも増えているそうだ。
決済代行事業者の提携先を拡大へ
今夏以降はNTT Comが決済代行サービスを提供
「まずは決済代行事業者のJ-Paymentと提携し、同社の加盟店に対して営業を行っていますが、今後は決済代行事業者の提携先を拡大するとともに、今年の夏以降は弊社自身が決済代行サービスを提供する予定です」(大田氏)
現状は助走段階のため、NTT Com自身、外部提携先の積極的な開拓は行っていないが、同社が決済サービスを提供する今夏以降は、「大規模加盟店を中心に多くの外部提携先を獲得していきたい」と大田氏は意気込みを見せる。なお、NTTIDログインサービスに関してAPIを公開している。
今後は、NTTIDログインサービスのオープンな仕組みを国や地方自治体などで利用してもらうことも視野に入れる。
「現在、国民IDカードの議論も進められていますが、官のIDを押しつけても国民としては受け入れられない可能性もありますので、民間でよく利用されているID番号を使うことも必要であると思います。NTT IDログインサービス自体、そういった世の中の流れにも合わせていきたいと考えています」(大田氏)
NTT Comでは、オープンなIDの活用が国内で広まれば、NTT IDログインサービスを展開するスピードは加速すると考えている。