2025年9月22日9:00
クレジットカード「Nudge」を運営するナッジは、2025年9月17日、サービス開始4周年を記念したメディア説明会を開催した。同社では、ペットやイベントなどの写真で世界に1枚のカードが作れる「カスタムクレカ機能」、カードごとに設定された特別な体験「新・リアルタイム決済通知機能」、円建てステーブルコイン「JPYC」でのVisa加盟店利用などの新サービスを紹介した。

クレカ×スタートアップで独自の存在
Z世代の利用が7割
ナッジは、クレジットカード「Nudge(ナッジ)」を開発・運営している。支払いを任意のタイミング・金額で行える「いつでも好きなだけ返済」や、スマホアプリを基盤とした直感的なカード機能、「推し活」と掛け合わせた独自サービス設計により、Z世代を中心に利用が伸びているという。
同社は2020年の創業から1年半でサービスをローンチしたが、オープンイノベーションの積極活用により事業を展開している。これまでの累計調達資金は50億円。ミッションは「ひとりひとりのアクションで未来の金融体験を創る」だ。
日本のキャッシュレス派42.8%の普及率となっているが、まだまだ現金派の利用者も多い。鍵となるのは「若年層」であり、特に10~20代だという。特にキャッシュレスの主力(約80%)であるクレジットカードの若年層利用率が低いそうだ。クレジットカードのイシュア(カード発行会社)は大手が中心で、少額包括信用購入あっせん業者の登録など、アイデアやスピードで戦うスタートアップにとっては、参入障壁が高くナッジが唯一の企業となっているそうだ。
従来は20歳以上しか申込みができなかったが、2022年4月の成人年齢の引き下げにより、18歳(高校生含む)からクレジットカードの申し込みが可能になった。ナッジのユーザーは2024年8月時点で約7割がZ世代となっている。2025年8月時点での数字では取扱高ベースで20代が50%となり、10代を合わせて7割を占めている。
マイクロサービスアーキテクチャ―を採用
月の複数回の返済も3割を超える
Nudgeのシステムは、柔軟な設計思想で作られている。金融機関のシステムはウォーターホール型の開発が一般的だというが、基幹システムの運用コストがかさむ。ナッジは、スクラッチからクラウドサービス、マイクロサービスアーキテクチャーを採用しており、新規開発や改修の高速性やコスト面での優位性があるそうだ。また、AmazonのAWS(Amazon Web Services)やGoogleのGoogle Cloudといった複数のクラウドを併用することで、安定性・安全性とデータ分析(民主化)を両立しているという。
ナッジカードはスマホアプリを中心としたサービス設計を行っている。アプリから申し込むことができ、一般的な「口座自動引き落とし」だけでなく、自分に合った金額を、自由なタイミングで返済可能だ。また、決済金額はリアルタイムでアプリに通知・反映される。盗難、紛失、再発行など手続きはすべてアプリで行う。
同社のアンケートによると、Z世代は口座引き落としに縛られず、「いつでも好きなだけ返済」を好む人も多い。アルバイトや隙間バイトなどでお金が入った際に支払う習慣がある。月に2回以上の返済をする人も3割を超えており、利用の都度返済をする人もいる。
カードのマーケティングでは、SNSでのInstagram、最近ではTikTokなどを使ったプロモーションを実施している。Chat GPTなど、若年層向けカードであるナッジをAIで調べて知ることも増えているそうだ。
ナッジは1枚から発行できるのも特徴で、アーティスト、スポーツチーム、社会貢献など、ファンのニーズに合わせて発行が可能だ。沖田氏は「結果としてそれが推し活に使われていきます」と話す。ユーザーはカードを利用すると、好きなアーティストなどに貢献でき、そのお返しとして特典が手にできる。これまで提携パートナは170を超え、プロパーカードを含めるとカードデザインは300種類以上となっている。沖田氏は「作る動機になるのはデザイン。グッズ感覚で、1人で複数枚を持っている方も多くいらっしゃいます」と説明する。単純な推し活専用カードではなく、メインカードとしてキャッシュレスを推進していきたいそうだ。
なお、割賦販売法に基づく「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得しており、10万円超の与信も可能になっている。
自分だけのオリジナルデザインカードを作成可能
決済するたびに推しから声が届く
業界動向として、メガバンク系を中心にポイント還元の過当競争の中、デザインやIP連動型カードは、流通系・信販系を中心に拡大傾向だ。推し活カードは「業界全体のトレンドになりつつあります」と沖田氏は話す。
ナッジの他社との差別化として、カスタムクレカが挙げられる。これは、ユーザーがアップロード(もしくは肖像権を担保するため、ナッジで指定した)画像をカスタマイズし、自分だけのオリジナルデザインカードを作成できるものだ。
決済すると利用通知が届くことも強みだが、決済するたびに推しからの声が届く機能を提供している。これにより、日常に推しと触れ合う機会を作り、決済する楽しみを提供している。
NFTを活用したWeb3領域にもチャレンジしている。Nudgeアプリ内にウォレットをつくり、NFTの受け取りや他ユーザーへの転送が行える。クラブオーナーは、ユーザーへ唯一無二のデジタルデータを提供したり、企画に利用可能だ。
例えば、十六銀行が岐阜県多治見市と連携して展開する「やくもメンバーカード」では、プラネットが運営する「やくならマグカップも」クラブを開設。カード会員の利用額に応じたオリジナルのクラブ特典が受け取れるほか、スタンプラリーを実施し、地域店舗でQRコードを読み取るとランダムで描き下ろしNFTデータが貰えるなど、多治見市周辺地域の推し活消費の活性化につなげているそうだ。
「JPYC」での返済受付開始、Z世代獲得の秘訣
TISと協業深堀、SNSなどの声を受けた対策は?
現在、ステーブルコインやデジタル通貨に注目が集まっているが、JPYCが提供する日本円建ステーブルコイン「JPYC」での返済受付も開始する予定だ。
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。