ステーブルコインが変える決済の未来とVisaのデジタル戦略は?

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2026年3月11日8:30

カード決済、オンチェーンファイナンス、クロスボーダー送金などで展開強化

近年、ステーブルコインへの注目が高まる中、デジタル通貨を取り巻く環境変化や最新動向を背景に、オンライン、クロスボーダー、法人取引等において、決済のあり方も変化している。ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)では、ステーブルコインが決済インフラに与える影響を踏まえ、こうした変化が今後どのように進化していくのかについて、メディア向けにラウンドテーブルを開催した。ステーブルコインを単なる新たな決済手段としてではなく、安全性・信頼性・スケーラビリティを重視した決済インフラの一要素としてどのように位置づけているのか、Visaが重視する観点も併せて紹介した。

Visa アジア太平洋地域デジタル通貨責任者 ニシント・サンガヴィ氏

暗号資産とステーブルコインの違い パブリックブロックチェーン上で発行

当日はVisa アジア太平洋地域デジタル通貨責任者 ニシント・サンガヴィ氏が登壇し、Visaのデジタル通貨戦略について説明した。

サンガヴィ氏は、暗号通貨とステーブルコインの違いから紹介した。暗号通貨はビットコインが最初の通貨として始まった。その後、イーサリアムやアルトコイン、その他さまざまなサービスが登場した。しかし、暗号通貨は本質的に投機的なものであり、内在的な価値を持たないため、その価値は常に変動している。一方、ステーブルコインは法定通貨に対して1対1で連動している。例えば、米ドルを基準としたステーブルコインであれば、1つのステーブルコインが1米ドルに対応しているか、同じ技術やブロックチェーンを使用している。ステーブルコインの例としては、Circle、USDCなどがある。PayPalには、イーサリアム上で発行されるPYUSDがある。

パブリックブロックチェーンとコアバンキングレジャーの違いとして、どちらも台帳だが、コアバンキングの元帳は、銀行のエコシステム内に存在するプライベートな元帳となる。ここで利用者の銀行口座の詳細を見ることができる。これはクローズドループであり、外部の誰も見ることはできない。パブリックブロックチェーンは、誰でも参加でき、ほぼインターネットにアクセスできれば、パブリックレジャー上の取引を閲覧できるとした。

ステーブルコインの2種類のウォレット 供給量は2030年に3.7兆円の予測も

オープンならではの利点もあるが、ステーブルコインのウォレットを見ると、利用可能なウォレットには「カストディ型ウォレット」と「セルフカストディ型ウォレット」の2種類ある。カストディ型ウォレットは、秘密鍵は消費者に変わり第三者が管理している。ウォレットのパスワードは、取引所やFinTech(フィンテック)などのカストディプロバイダーによって管理されており、顧客自身が管理しているわけではない。取引が完了すると、そのすべてのリスクはカストディアルの管理者自身が負う。

一方、セルフカストディ型ウォレットでは、秘密鍵は利用者自身がデバイス内に保存して管理する。大手の取引所としてはCoinbaseやCrypto.com、Krakenなどがある。それらはすべてカストディアル機関にしたがっており、自己管理型ウォレット、つまり非カストディアル型のものだ。ここでユーザーは自分のステーブルコインの鍵を管理する権限を持つ。これらの秘密鍵をユーザーが紛失すると、ウォレット、アクセスを失うことになる。そのため、そのプライベートキーを安全かつ確実に管理することが求められる。もちろん、それはユーザーに多くのコントロールを提供するが、中央の仲介者も銀行も取引所も必要ない。すべて自分たちで行うことができる。

サンガヴィ氏は「何か問題が起きたときに助けてくれる人がいないということでもあります」と話す。現在、市場にはMetaのようなウォレットが利用可能だ。これらはすべて自己管理型のモデルだ。

ステーブルコインはここ8〜9年ほど存在している。2020年の時点でステーブルコインの時価総額は約200億ドルだったが、2025年には約2,700億ドルに達した。2020年から2025年にかけての暗号通貨市場での多くの暴落や問題があったにもかかわらず、ステーブルコインの成長は着実に続いている。2025年は、ヨーロッパで規制が緩和され、アメリカでGenius法が施行された年だ。それが、ステーブルコインがエコシステムへと進化する転換点となった。市場の期待として、今後もステーブルコインが成長率を維持し、2030年末までに3兆ドルから4兆ドルに達するとした。これらの予測は、米国・財務長官のスコット・ベッセント氏やいくつかの大手グローバル銀行から直接出されたものだという。

APACで規制枠組みが進む デジタル通貨取引のホットスポットに

アジア太平洋地域を見ると、ステーブルコインの採用においてリーダーとなっている。シンガポール、日本、香港市場では、ステーブルコインに対する規制枠組みを早期に導入したことで、アジアおよびグローバルでのゴールドスタンダードを確立したと評されている。

「デジタル通貨の取引の約30%がアジア太平洋地域で始まり、または終わっている。アジアはすべてのデジタル通貨取引において大きなホットスポットであり、この分野はステーブルコインの成長率と同じペースで成長し続けると予想しています」(サンガヴィ氏)

シンガポールのような規制が明確な市場は数年前から存在しているが、香港もこの典型的な法律を通過させており、いくつかの法案が期待されている。しかし、この市場を大きく動かしたのは、2024年末から2025年初めにかけてのヨーロッパの規制緩和と、昨年5月頃のアメリカのGenius 法だった。これにより、多くの他の規制当局にも大きな圧力がかかっている。現在、他の市場でも規制の追随と更新が進んでいるのが見受けられる。韓国や台湾、さらにはアジアやベトナムの他の市場でも新たな規制が予想されている。日本もここ数年で多くのステーブルコインの規制の最前線に立っている。

ステーブルコイン市場は独自の決済用途を持つようになった。ドルは価値の保存手段としてのもう一つの用途であり、これは主に高いインフレ率の市場で見られる。例えば、ラテンアメリカやアフリカの高インフレまたはハイパーインフレの市場だ。多くの消費者は現地通貨よりも米ドルを保有することを好む。そこで、ステーブルコインはデジタルドルとして米ドルを簡単に保有できる方法を提供している。

人々はステーブルコインを保有し始め、それを友人や家族に送金できることに気づき、これが最初にB2B送金の始まりとなった。取引所を利用する人々だ。時間が経つにつれて、多くのFinTech企業が市場に参入し、ユーザー体験全体を非常に簡易にする役割を果たした。

さまざま活用でエコシステム形成が進行 B2B決済はVisaの注目分野

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