2026年6月4日8:00
GMOあおぞらネット銀行は、2026年5月27日、AIを中核とした「AI銀行」へ進化を遂げ、世界初の次世代テックバンクとなることを見据えた戦略を公表した。同社は第二創業の公約を5年で達成し、2025年度は最終利益黒字化を実現。今後5年間で粗利益、法人口座数、BaaS契約数を倍増させることを目指すという。

スモール&スタートアップ向けに強み
テックファーストで成長加速へ
GMOあおぞらネット銀行は、テクノロジーと人の力を融合し、法人から選ばれる銀行を目指している。GMOあおぞらネット銀行 代表取締役社長 水町哲氏は「金融のあり方そのものをAIで変革したいと考えています」と語る。
同社は2018年7月に事業を開始。5年前の2021年7月に事業戦略転換の記者説明会を開催し、法人向けの戦略強化を発表した。当時もスタートアップ企業、銀行API活用企業などは高い評価を受けていた。また、当時の外部環境の変化として、新型コロナウィルス感染拡大によりDX化が加速していた。
当時の戦略説明会では、「①スモール&スタートアップ企業向け銀行No.1」「②組込型金融サービスNo.1」「③テックファーストな銀行No.1」を掲げ、 2021年を「第二創業期」と位置づけてビジネスを展開すると発表していた。
その結果、2021年からCAGRが+65%となり、2025年度は最終黒字化を達成した。また、法人口座数25万件、預金残高1.3兆円を突破している。さらに、法人の利便性向上に向けたサービスを続々と展開している。
例えば、ネット銀行初のサービスとして、2023年2月に日本政策金融公庫の融資金返済口座振替対応、2023年4月にPay-easyダイレクト納付対応、2024年10月に労働保険料の口座振替に対応している。5つの価値(安心・早さ・安さ・便利さ・新体験)と、口座数×利用率×預金量の継続的な積上げが、第二創業発表以降の安定的で盤石な成長を支えているそうだ。
同社のBaaSサービスである「BaaS byGMOあおぞら」のサービス契約数は2026年4月末現在1,141件となっている(API接続サービスを含む)。
岡三証券にはパッケージ型、フリー、弥生、ラクスルバンク、Habittoには組み込み型、DCJPYとIIJにはデジタル通貨、トークン型預金、01銀行には銀行BaaSを提供している。
開発内製化を強力に推進
「カード払い」機能やCMSなど追加へ
同社では、テックファーストな銀行№1を目指しているが、社内エンジニア比率50%に向けて、開発内製化を強力に推進している。2024年12月からは、社員約400名体制で「AI銀行化」構想を推進している。社内業務を最大1,100体のAIエージェントに置き換えることで、400名の社員で4万人規模の業務処理能力を実現し、お客さまへの全く新しい金融体験の提供(FDE化)を加速している。
市場からの評価として、東京商工リサーチによると、法人メインバンク増加率ランキングで2年連続の№1となった。
すでに2026年第一四半期には、口座開設審査へのAI導入、振込手数料値下げなどを行っている。振込手数料の値下げに関しては、常に業界の動向をウォッチしており、最安値で提供できるようにしているそうだ。
また、請求書管理・支払サービスに「カード払い」機能の追加を予定している。第二四半期には、給与振込サービス、キャッシュマネジメントサービス(CMS)、新ビジネスローンサービス、インターネットバンキングから利用可能なファクタリングサービス、請求書発行・入金管理サービスの開始を予定している。CMSサービスはこの中でも早期に提供できる可能性があるとした。キャッシュマネジメントシステムは大企業さん向けに高コストで提供されるケースが多かったが、小規模事業者でも利用できるようにする。なお、CMSの顧客のフロント画面は非エンジニアが入って開発したという。
GMOあおぞらネット銀行では、2026年からの中長期戦略の1つとして、代表取締役会長 金子 岳人氏は「01 お客さまのためのAI銀行」「02 銀行そのものをAI変革」「03 AIのためのAI銀行」の実現に向けて、3つのAIエージェント化を掲げる。この3領域同時にAIエージェント化することを宣言し、取り組みを推進する商業銀行は世界初だとした。
「AI銀行by GMOあおぞら」が目指す世界観は?
究極のパーソナライズドバンクに
「AI銀行by GMOあおぞら」が目指す世界観として、圧倒的な軽量化高速化モデルへ進化、究極のパーソナライズドサービス、Agentic API銀行サービス、全取引処理の完全自動化&24時間365日、AI駆動型システム開発、24時間365日AIエージェント監視を実現させる。また、目指す世界として、AI時代の新しい顧客と取引拡大、AI垂直進化を完璧に取り込む、全領域100倍の生産性向上、未来型経営管理への刷新、全員AI人財化し未来型企業へ進化、圧倒的テックブランドの確立、を挙げた。
次の5年の「第二成長」として、トップライン(業務粗利益)300億円、法人口座数が50万口座、BaaS契約が2,000件、ROE20%以上を目指す。
具体的な戦略については、CTOオフィスグループ グループ長 矢上 聡洋氏が紹介した。「1. お客さまのためのAI銀行」では、“あなたのビジネスに、最良の相棒”をキャッチコピーに、利用者ごとに専属のAIエージェントが伴走する、究極のパーソナライズド・バンキングを実現させるという。業界、企業規模、利用したい機能、好みのテイストなどをAIがヒアリングし、その結果に基づき、インターネットバンキングのトップ画面のデザインまでを自動生成し、利用者一人ひとりに最適化された銀行体験を提供する。2026年11月から提供開始予定であり、その後も継続的に進化させていく。

約4万名規模に相当する業務遂行力の組織に
AIエージェントが銀行APIを駆動
「2. 銀行そのものをAI変革」では、2028年度までに内部業務そのものをAIエージェント前提で再構築する「AI Transformation(以下AX)」を完了し、現在の2,800業務を1,100AIエージェントに置き換える。当社専用の「AIエージェント」の構築・管理には、Gemini Enterprise Agent Platformを利用する。今後も現役職員約400名は変わらず、人員換算で約4万名規模に相当する業務遂行力を持つ組織へと進化させる。
この2,800業務は、すでに全社・全業務の棚卸しにAIを活用し、約2カ月で洗い出し、業務を可視化しました。現在AIエージェントの開発と最適化を進めている。
AXの推進により、最終的にはAIがAIを監視する組織を再設計し、24時間365日・完全即時オンライン処理、リアルタイム経営、「人が創造しAIが実行する」体制を実現するそうだ。
「3.AIのためのAI銀行」では、APIファーストを掲げる。「人にもAIにも選ばれる銀行でなければ生き残れない」という強い危機感を持っている。そのため、サービス契約数累計1,100件超のBaaS実績に裏打ちされた高品質かつ豊富なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)群に加え、AIエージェントが自律的に最適な金融機能を選択・実行する「Agentic API」を2027年3月までに構築する。
公開MCP(Model Context Protocol)にも対応し、AIシステムが直接アクセスしやすい環境を整備し、エンジニア以外も自然言語で、金融機能を組み込むことができる開発環境の提供を目指す。




























