2011年11月24日8:00
PCI DSSに準拠し、仮想化に対応したサーバを加盟店・プロバイダに推進
コストやシステムの運用負荷を抑えてVersion2.0に完全準拠
エクシードはホスティング事業者として、2010年2月、PCI DSSにいち早く準拠した(関連記事)。Version2.0にも2011年2月に準拠したが、「基準自体はそれほど厳しくなった印象はありませんでしたが、ファイル文書の変更などが若干大変でした」とエクシード システム技術部 テクニカル・オペレーション マネジャー苙口裕介氏は説明する。PCI DSSの審査は、年末に集中数ケースがほとんどだが、同社では2010年末に審査を行ったため、2010年10月にPCI SSCからVersion2.0が発表後、すぐに要件対応に取り組まなければならなかった。
同社では2010年にPCI DSS Version1.2に準拠したが、「旧バージョンから、厳しい運用を行っていたため、Version 2.0になり手順は増えましたが、すでに実施している点がほとんどでした」とエクシード CISO PM/コンサルティング・グループ 羽鳥充保氏は自信を見せる。
同社では、解釈に迷う部分について、コンサルティングを依頼している企業と相談しながら対応に当たった。また、「2.0に変更になり、1.2よりも項目が細かくなっただけではなく、順番が前後した部分などもありましたので、コンサルティングの方の協力を得て、マッピングを行いました。この部分は人的な作業が大変でした」とPM/コンサルティング・グループ 杉森貴博氏は話す。
前回の審査では、暗号鍵の管理について代替コントロールを一箇所適用したが、2.0からはその変更方法が柔軟になったため、すべてオリジナルコントロールで準拠が達成できたそうだ。また、内容についても「1.2に比べて判断に迷う部分が明確化された印象はあります」と杉森氏は説明する。
業務については、日々の運用でなるべく負荷がかからないように心がけている。同社のサーバは、すでに仮想化にも対応しており、決済代行事業者などが利用しているが、「運用については、受託データの棲み分けをしっかりと行っており、お客様がカード会員情報を保管してはいけない部分については、線引きを決めています」と苙口氏は話す。
Version2.0からは、脆弱性診断において、対象環境に応じたリスクランク付けのアプローチが要求されるようになったが、「弊社では、脆弱性の管理自体を行わず、脆弱性に対応できないものを管理する方法をとっています。公式に出たパッチはランクが出ていますので、当てられないものをリストアップしてランク付けを行っています」と苙口氏は説明する。
エクシードは、PCI DSS準拠に向けて社員が一丸となって取り組み、ベンダーが提供する製品を見極めることにより、投資コストを抑えることに成功した企業でもある。2.0の審査についてもQSA(認定セキュリティ評価機関)やコンサルティングの費用以外は、それほどコストをかけていない。
「PCI DSSは、要件の内容が明確に決められており、審査員の方の技術スキルも高いです。そのため、きちんとシステムを構築したうえで準備することと現場の担当者に協力してもらうことが必要になります。ただし、要件に関しては解釈のしようがあるため、システムを作る際に練り込み、工夫することで準拠にかかるコストを削減することも可能です」(杉森氏)
エクシードではPCI DSSに準拠したホスティングサービスとして「PCI DSS準拠マネージド・サーバサービス(PCI DSS MS2)」を提供しており、加盟店やサービスプロバイダに対し、同サービスの利用をすすめている。
同社では2012年以降も継続してPCI DSSの審査を受診する方針だ。次回は今年同様に2.0の更新審査となり、運用のルールなどは特に変更点がないため、コンサルティングなどを依頼せずに自社で対応する予定となっている。