2012年3月26日8:00
ソーシャルコマースに未来はあるか?
基本はユーザーとのコミュニケーションの起点となる情報提供
ソーシャルメディア上で商品・サービスの紹介を行い、同一メディア上、もしくはリンクされたWebサイトで注文を受け付けるソーシャルコマース。ソーシャルメディアのマーケティングへの最も直接的な活用方法であるこの取り組みは、日本ではまだ端緒に付いたばかりだ。今回の特集ではソーシャルコマースの現状と今後の可能性を探った。
米国で先行したソーシャルコマースは
日本市場に定着するのか
一部で“ソーシャルメディア疲れ”がささやかれる ようになるなど、一時の勢いはなくなったようにも見 えるソーシャルメディア。しかしそのユーザー数は、 今もなお増加を続けている。
ソーシャルメディアをマーケティングに活用する企 業も増加の一途をたどっている。その多くは試行錯誤 を続けている段階とはいうものの、中には効果的な活 用手法を見出した企業も現れ始めている。弊社では 2011 年9 月に『ソーシャルメディア・マーケティン グ成功事例集』を発行し、その一端を紹介したが、そ の後も多くの企業がさまざまな取り組みをスタートし ており、今後、さらに斬新な活用手法が登場することも期待できる。
ソーシャルメディアのマーケティング活用の中で も、最近特に注目を集めているのが、“ ソーシャルコ マース”だ。ソーシャルメディア上で商品・サービス を紹介し、同一メディア上、もしくはリンクされた Web サイトで注文を受け付けるソーシャルコマース は、いわばソーシャルメディアとe コマースが融合し た姿であり、ソーシャルメディアの最も直接的なビジ ネスへの活用方法と言える。
この取り組みも、ほかのソーシャルメディア活用 方法と同様、米国で先行して進められている。弊誌 2011年5月号においてルス・スティーブンス氏が連 載「米国におけるソーシャルメディア・マーケティン グ最新事情」の中でその成功例をいくつか紹介してい るが、例えば、整理整頓関連の生活用品を販売する オーガナイズ社では、FacebookやTwitter上で毎月、 整理整頓をテーマとする“パーティー”を開催。ユー ザー間で家の整理計画や上手な整理のコツなどについ て情報交換してもらうことで、ユーザーの関与度を高 め、販売促進につなげている。また、多くのミュージ シャンもソーシャルメディアをアルバム、グッズ、コ ンサートのチケットを販売する場として活用。例えば、 カントリー・ミュージックのリーバ・マッキンタイア のFacebook上の“ストア”には170万人以上の“友人” が集い、コミュニケーションを楽しむとともに、実際 に購買行動を行っているという。
一方、日本ではソーシャルコマースへの取り組みは端 緒に付いたばかりであり、成功法則の確立はこれからと いう段階だ。そこで今回の特集では、ソーシャルコマー スに積極的に取り組む企業のケーススタディを中心に、 ソーシャルコマースの現状と今後の可能性を探った。