2012年9月21日8:30

オンラインとリアルのサービスを結ぶ「O2O(オンライン・トゥ・オフライン)」が注目を集めているが、国内では、リクルートライフスタイル(9月末までリクルート)やぐるなび、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本マクドナルドをはじめ、古くからオンラインクーポンサービスを継続して展開している企業は数多い。また、ソーシャルメディアを活用した取り組みやスマートフォンの位置情報技術と連携したサービスを展開する企業もある。書籍「O2Oビジネスガイド」では、数多くの国内事例を紹介しているが、O2Oを意識せずに取り組んでいる企業は数多い。ここでは、3日にわけて、国内O2Oに取り組む企業について簡単に紹介する。

高級ホテル・高級旅館に特化した専門予約サイト「一休.com」等を運営する一休では、“お気に入りの施設とつながる” 一休会員限定のコミュニケーションサービス「一休コミュニケーション」を展開している。掲載施設は、旬な情報を会員に向けてダイレクトに配信することが可能となり、顧客とより深い関係を築くことが可能となった。

エコ計画は、同社が運営する宿泊施設の「川場温泉かやぶきの源泉湯宿悠湯里庵」と「かやぶきの郷薬師温泉旅籠」、飲食施設の「伊香保時代屋」と「六本木時代屋」において、AndroidタブレットとSuica/PASMOなどのFeliCa機能を使用した新サービス「旅こころ」を展開している。AndroidタブレットとFeliCaを連動させたサービスは、国内初の商用化となった。

NECビッグローブでは、Android搭載スマートフォンで今後本格的な普及が見込まれるNFCに対応した3つのサービスを提供開始した。すでに、7月に台湾で開催されたペット関連展示会「Pets TAIPEI 2012」でNFCタグを配布する取り組みを行うなど、国内のみならず海外を含めたサービス展開を行っている。

カーシェアリング・ジャパンは、「カレコ・カーシェアリングクラブ」において、スマートフォン向けカーシェアリング機能を提供している。同サービスは、主要なカーシェア会社の中では唯一、ユーザーが保有する従来の携帯電話、スマートフォン、およびおサイフケータイを含むICカードの4デバイスで利用できる。

インターネットから予約を行える「食べログヨヤク」

カカクコムは、ランキングとクチコミのグルメサイト「食べログ」を運営している。ユーザーから寄せられたクチコミと点数評価から、独自のアルゴリズムでレストランランキングを算出し、提供している。同社では、インターネットから予約を行える「食べログヨヤク」を立ち上げるなど、外食産業における事前予約の浸透に力を入れる。

NHN Japanが展開するスマートフォンアプリ「LINE」は、世界6,000万人・国内2,800万人のユーザーを有している。LINEでは、電話やメールでやり取りするユーザー同士がシームレスにつながるサービスを提供しているが、企業の公式アカウントや「スポンサードスタンプ」、「LINEクーポン」などのプラットフォームコンテンツ提供により、外部パートナーとの連携を強化しており、一定の成果を上げている。

共通ポイントサービス「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、2012年6月19日、Yahoo! JAPANを運営するヤフ(Yahoo! JAPAN)と戦略的資本・業務提携について基本合意したと発表した。ヤフーでは、「Yahoo!ポイント」を「Tポイント」へ切り替え、CCCは「T-ID」を「Yahoo! JAPAN ID」へ統一する。また、CCCは、Tポイントの運営事業を新設分割し新会社を設立する予定だ。同社では、Tカード連動型街づくりゲーム「Tの世界」をオープンするなど、オンラインを活用した取り組みにも力を入れる。

一方、共通ポイント「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティング(LM)も順調に会員数を拡大している。同社では、ミクシィやリクルートと連携するなど、O2Oの取り組みも強化している。

通信キャリアのKDDIは、「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバイス」の3つの頭文字からなる「3M戦略」を推し進めている。その中で、同社が持つ強みをO2Oで立体的に広げていけると考えており、「au ID」をベースに決済、クーポン、ポイントなどを横断した取り組みを検討している。

ギャップが行った「ハイタッチでいいね!Gapフラッグシップ銀座vs原宿コーデ投票イベント」

ギャップ ジャパン(GAP)は、日本初となるリアルとバーチャルを融合したFacebook連動型リアルタイム投票イベント、「ハイタッチでいいね!Gapフラッグシップ銀座vs原宿コーデ投票イベント」を実施。ストアスタッフとハイタッチするとFacebookで「いいね!」が投稿される取り組みを行った。

国内最大級の飲食店情報検索サイト「ぐるなび」では、飲食店への送客を実現するサービスを提供している。同社では、ユーザーの新規の送客に加え、FeliCa/NFCリーダ搭載の「ぐるなびタッチ」を活用した固定客の育成・維持にも取り組んでいる。

グルーポン・ジャパンは、購入者が50%以上の割引クーポンを取得できる「共同購入」型のクーポンサイト「GROUPON(グルーポン)」を運営している。2012年3月には、1年9カ月というスピードで、クーポン販売総数1,000万枚を達成。同社では、世界のグルーポン各社と連携し、6月から「インターナショナル・ディール」を日本で本格的に展開するなど、クーポンの質とユーザー満足度を高めることに重点を置いてサービスを展開している。

クレディセゾンは、ヤフー(Yahoo! JAPAN)と連携し、2012年8月17日~9月30日まで、池袋エリアの消費拡大を目的として、クレディセゾンが主催・展開する地域活性キャンペーン「池袋フェスタ」と連動し、O2Oビジネスの可能性を検証する実証実験を行っている。同社では将来的に、オンラインで実施しているアフィリエイトモール「永久不滅.com」のような取り組みをリアル店舗でも展開したいと考えており、同実験の成果に期待している。

コロプラは、携帯電話の位置情報機能を活用した位置情報ゲーム「コロニーな生活」でさまざまなO2O施策を展開している。同社では、おでかけをきっかけに人々を動かして、地域を活性化し、日本全体を元気にすることを目指している。すでに、物産展の開催、東北応援スタンプラリー、地域店舗や宿泊施設との連携などを通し、オンラインからオフラインへの送客を実現させ、消費を生み出している。

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)では、創業時代からインターネットを通じたゴルフ場のオンライン予約およびゴルフ用品の販売を行ってきた。同社では、2012年5月から、米国最大のゴルフレッスンチェーン「GolfTEC」と提携し、リアルのレッスン施設を東京・六本木にオープンした。また、共通ポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングと提携し、全国のゴルフ場に向けて「Golfers Ponta(ゴルファーズポンタ)」を展開している。

書籍「O2Oビジネスガイド」では、国内事例を数多く紹介している。

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