技術に舞い技術に沈んだ仮想通貨とウォレット(Deja-vu of eMoney)

2014年10月6日8:00NCB25年の軌跡からみえたカード・ペイメントの未来-2技術に舞い技術に沈んだ仮想通貨とウォレットDeja-vu of eMoney

日本カードビジネス研究会 代表 佐藤元則

■ビットコインやモバイルのデジャヴncb2

「デジタル化のビッグウェーブは、経済社会の血液ともいうべき金融決済システムをも変えようとしている。それが、電子マネーだ。サイバーマネー、デジタルキャッシュ、バーチャルカレンシーなど、呼び方はさまざま。この電子マネーを巡って世界中の大企業やベンチャーが虎視眈々とビジネスチャンスを狙っている。」いまから20年前の1995年12月、NCB初代代表岩崎和雄と共著で出版した『電子マネーウォーズ』紹介文の出だしである。

そう、あのとき、1995年前後から20世紀末にかけての5年間は、電子マネーで世界中が熱くなっていた。

米国からはインターネットを活用した電子マネーが登場。欧州ではスマートカードを活用した電子マネーが誕生した。これをみた世界中のチャレンジャーが、一旗揚げようといっせいに参戦した。

地理的にみると、マップにプロットしたように、世界中の国々が相次いで電子マネープロジェクトをスタートした。いま世界中でチャレンジがつづいているモバイル決済の比ではない。先進国はもちろん、開発途上国や経済規模の小さい国や地域も、我れ先にと電子マネーという金脈探しにラッシュした。

ncb3それに参加した企業は、ベンチャー企業、通信会社、放送会社、航空会社、自動車メーカー、コンピュータベンダー、セキュリティ会社、銀行、カードブランドなど。数えればきりのないくらい、多くの企業が名乗りをあげた。

しかし残念ながら、当時のプロジェクトで生き残っているものはほとんどない。成功を夢見たパイオニアたちは、なぜ失敗していったのだろう。燃えるような情熱をそそいでも、はかなく消え去った多くの電子マネープロジェクト。その教訓はいま、活かされているだろうか。

「電子マネー勃興期」のトピックスを思い出しながら、いま話題になっているビットコインやモバイルNFC非接触決済について考えてみたい。結論をいうと、おなじような仮想通貨やウォレットが20年前にあらわれ、そして消えていったということである。

■続きはNCBレポート2014年10月号で
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