2015年1月26日8:11第三のペイメントカードとしてプリペイドカードに注目日本でも注目が集まるプリペイドカードの魅力とは?
日本のモバイルオペレータのKDDIがauのモバイルフォンユーザを対象に2014年5月から「au WALLET」というMasterCardブランドのプリペイドカードをリリースした。日本における本格的なオープンループのオンラインプリペイドカードの登場である。また、ココカラファインもクレディセゾンと協力し、Visaプリペイドカード「ココカラクラブカード」を発行している。こうしたオープンループのオンライン“プリペイドカード”が、今、クレジットカードやデビットカードに次ぐ第三のペイメントカードとして、欧米先進国のみならず新興国や経済発展途上国で注目されている。
オンラインプリペイドカードが盛んな国としては、北米のアメリカ、カナダ、南米のブラジル、ヨーロッパのイギリスやイタリア、ポーランド、アジアの中国、韓国、インド、インドネシア、オセアニアのオーストラリアやニュージーランドなどがある。
多様なプリペイドカードの用途
バリューをサーバーコンピュター上にもち、VisaやMasterCard、アメリカン・エキスプレス、ディスカバーカード、中国銀聯、JCBなどのカードネットワークや、MaestroやVisa Electronなどのデビットカードネットワーク、PlusやCirrusなど国内外のATMネットワークでの支払いや現金の引き出しが可能なオープンループタイプのオンラインプリペイドカードの用途には、「ギフトカード」のほか、「オンライン決済カード」や「送金カード」、「トラベルカード」、「ティーンエイジャーカード」、「キャンパスカード」、「ヘルスケアカード」、「インシュアランスカード」、「経費出費カード・購買カード・給油カード(Fleet Card)」、「給与支給カード」(Payroll Card)、「税還付金受給カード」、「各種給付金支給カード」、「緊急災害支援金支給カード」、「行政サービスカード」(Government Benefit Card)など多くのアプリケーションがある。また、多くの企業において、自社の店舗・サイトのみで使えるクローズドループのオンラインプリペイドカードの「ギフトカード」や「エアラインカード」も発行されている。
銀行口座を用いることなく与信チェックも不要なブランドプリペイドカードの特性を生かした活用事例として特に注目されているのが“Prepaid Emergency Assistant Card”や“Emergency Relief Prepaid Card”と呼ばれている「緊急災害支援金支給カード」や「給付金支給カード」、“Government Benefit Card”の「行政サービスカード」などの公共セクターにおけるオンラインプリペイドカードだ。また、航空会社のマイレージプログラムなどの特典カードや、イギリスのAAという日本のJAFのような自動車アシスタンスサービスの会員カードにオンラインプリペイドカード、年間入場券機能が付いたサッカークラブカードがある。
さらに、アメリカやイギリスでは中小企業や個人事業主においても“ビジネスカード”というビジネスユーズのクレジットカードが広く発行されているが、これまで企業の銀行口座に直接アクセスするビジネスユーズのデビットカードはリリースされているもののあまり普及していなかった。こうしたビジネスユーズのデビットカードの代替として、支出管理や従業員の不正対策などを目的に、銀行口座を用いないプリペイドバリューによるB2Bの“ビジネスプリペイドカード”の導入の動きも広がっている。
“モバイル財布”アプリを実装したスマホにも注目
また、インターネットやスマートフォンなどによる高度情報社会における市民生活においては、決済単価や決済シーンなどにより、後払いのクレジットカードやチャージカードと前払いあるいは同時払いのデビットカードやプリペイドカードの使い分けが求められている。現在、先進国における決済は、クレジットカードやデビットカードなどのICチップを搭載したプラスチック製のペイメントカードが担っているが、早晩クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードといったカードベースの多様な決済機能を併せ持った“モバイル財布”アプリを実装したスマートフォンが取って代わる可能性もある。
多くの“モバイル財布”アプリには買上票(レシート)や領収書などデータを用いた資金管理機能などを併せ持った“スマート財布”機能を有している。ギフトカードにおいても、従来のプラスチックのギフトカードから、パソコンやモバイルフォンの通信機能でプレゼントする電子ギフトカード(eギフト)が登場している。また、「au WALLET」も専用アプリをダウンロードしたスマートフォンによるチャージ機能が可能だ。
また、2014年9月に新たにリリースされたNFC(Near Field Communication)モバイルペイメントに対応するAppleの“モバイル財布”アプリ“Apple Pay”もクレジットカードやチャージカード、前払いあるいは同時払いのデビットカードやプリペイドカードアカウントによるモバイルペイメントを行う強力なツールとなる可能性もある。
「世界のプリペイドカード市場要覧」では、世界各国で普及が進むオンラインプリペイドカードの動向について紹介している。