2015年11月11日8:00
ジェーシービー(JCB)は、2015年11月10日に記者会見を行い、「EXILE」などが所属するLDHと提携し、オリジナルデザインのQUICPay「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」の申し込み受付を開始すると発表した。
「EXILE TRIBE JCBカード」に紐づけて「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」を発行
JCBでは、LDHと提携し、「EXILE TRIBE JCBカード」を2013年8月から発行している。同カードは、LDHに所属するEXILEを中心としたアーティストのファン向けにさらなるサービス拡充を図りたいLDHと、カードのラインアップを強化したいJCBの思いが合致して発行が実現した。2015年10月現在、3万人を超える会員を有しており、「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」は同カードに紐づけて発行される。
「QUICPay(クイックペイ)」は、ポストペイ(後払い)型非接触IC決済サービスとなり、JCBでは2005年から発行を開始した。クレジットカードに紐づく仔カードとして主に発行されており、かざすだけで即座に支払いが完了する。また、紐づくクレジットカードのポイントやマイルが付与され、クレジットカードと合算した請求が行われる。さらに、クレジットカード同様に紛失・盗難時の保険が適用される。
現在、QUICPayは12社のイシュア(クレジット発行会社)からカードが発行されている。会員数は440万人を超えており、端末台数は45万台となっている。ジェーシービー QUICPay事業推進室長 山田浩之氏は、「この9月にはイトーヨーカドーも加盟されまして、他の電子マネーと引けを取らないような状況まで拡大してきています」と成果を口にする。
富士キメラ総研の調査によると、ポストペイ型電子マネーの市場規模は年々増加し、5年後には2015年の4,450億円の約2倍となる9,100億円に達する予測となっている。
提携企業と連携したQUICPayを発行を強化
JCBでは、流通、エアラインなどの提携企業と連携してQUICPayを発行することにより、提携企業の会員の利用促進や固定化につなげる取り組みを行っている。最近では、カード形状にとらわれないユニークな形状のQUICPayを発行することで、会員の携帯率は高まっているそうだ。
たとえば、EMGマーケティングとは、キーホルダー型のQUICPay「Speedpass+(スピードパスプラス)」を開発。事前のチャージが不要で利用できるため、一回当たりの給油額は現金よりも高い数字となっている。また、ANAおよびセブン・カードサービスとは、尾翼型のキーホルダー「ANA QUICPay+nanaco(エイエヌエイ クイックペイプラスナナコ)」を共同開発。空港内の店舗や旅先での利用はもちろん、空港で搭乗手続きをせずに直接保安検査場に進むことができる「ANAのスキップサ-ビス(国内線)」としても利用可能だ。さらに、雑誌「ランナーズ」を発行するアールビズとの協業により、ランニング中でも手ぶらで走れるランナーのための電子マネー「QUICPayコイン」を開発した。そのほか、提携先や地域ごとの特色に合わせたQUICPayを発行。また、カード以外にもフィギアやシール型など、さまざまな形状が選択可能となっている。
「オリジナルアタッチメント」をプレゼントするキャンペーンを実施
同発表会では、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の関口メンディーさん、白濱亜嵐さん、片寄涼太さんが登場し、EXILE TRIBE JCBカードのオリジナルQUICPay「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」がお披露目された。JCBでは、「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」の発行を記念し、「オリジナルアタッチメント」をプレゼントするキャンペーンを実施する。同アタッチメントに「EXILE TRIBE QUICPay(コイン型)」を装填することで、アクセサリ型となり、持ち運びが便利になる。白浜さんは、「1つあればおサイフも持ち歩かなくて便利」と気に入った様子だった。
10周年を迎えたQUICPay、現在の成果は?
QUICPayは、今年発行10周年を迎えたが、提携企業と連携した取り組みにより、会員の利用件数や稼働率は順調に推移しているそうだ。ジェーシービー QUICPay事業推進室長 山田浩之氏に現在のQUICPayの利用状況について話を聞いた。
――一時期、QUICPayの積極的な発行を見送っていた時期もあったと思いますが、2011年下期から発行を再強化(関連記事)されています。まずは、現在の成果についてお聞かせください。
山田:QUICPayを再強化して約4年経ちましたが、会員残高、売り上げ、利用件数は着実に伸びています。有効会員数については、クレジットカードと紐づけて発行されるため、利用されなかった方の数は減っていますが、その一方で利用件数や稼働会員数などは想定の2倍程度伸びを示しています。
――イシュアはジェーシービー様とトヨタファイナンス様から発行される割合が高いのでしょうか?また、利用件数が伸びている加盟店についてお聞かせ下さい。
山田:全体の発行枚数は両社の割合が高いですが、クレディセゾン様やセディナ様、オリコ様がQUICPayの発行を強化していこうという姿勢になっていただいています。
加盟店舗については、コンビニエンスストアは主要なコンビニチェーンがほぼ加盟していただきました。また、ガソリンスタンドに加え、スーパーマーケットとドラッグストアでの利用が伸びています。
――モバイル決済については、iPhoneでFeliCa機能が利用できないなどの課題もあります。
山田:QUICPayはマルチキャリアに対応できるのが強みとなりますが、iPhoneにはFeliCa機能が載っていないため、苦戦を強いられているのは事実です。その対応として、異形状のQUICPayで携帯率を高め、モバイルと同様に常に肌身離さず持っていただく戦略に舵を切っています。
――実際、異形状のQUICPayの利用率は高いのでしょうか?また、セブン・カードサービス様の「nanaco」との連携についてお聞かせ下さい。
山田:異形状はカード型よりも利用率は高いです。その理由として、携帯率の高さに加え、エクソンモービル様などの提携先と協力して、そのお客様を送客できるメリットがあります。
また、nanacoとの連携については、エクソンモービル様の「Speedpass+」、ANA様の「ANA QUICPay+nanaco」に加え、中国銀行様の「晴れの国カード」にもnanacoの機能が搭載されているように、順調に協業を進めています。ただ、nanacoだけと協力するというわけではありません。
――EMVに準拠したNFC決済の「J/Speedy」の検証も表参道で行われましたが、QUICPayとのすみ分けについてお聞かせください。
山田:グローバル目線で見るとTypeA/Bの利用が高まっており、我々も「J/Speedy」の検証を進めています。また、QUICPayとのすみ分けについても検討していますが、QUICPayをTypeA/Bに対応させる予定はございません。