ビックカメラが「ビットコイン」決済を導入した理由とは?

2017年4月7日16:40

訪日外国人に加え、将来的な国内利用者の増加に期待

大手家電量販店のビックカメラは、ビットフライヤーと提携し、仮想通貨「ビットコイン」による決済サービスの提供を2017年4月7日より開始した。まずは、ビックカメラ有楽町店、 ビックロ ビックカメラ新宿東口店で導入し、有効性を検証する。同日には、ビックカメラ有楽町店で記者の囲み取材とデモを実施した。

新たな支払い手段にいち早く対応
改正資金決済法施行がトリガーに

ビックカメラは、 新しい決済手段の導入を他社に先駆けて行ってきたという自負があるという。クレジットカードはもちろん、Suica等の交通系、楽天Edy、WAON、nanaco、iD、QUICPayといった非接触決済(国内のAndroid PayとApple Pay含む)、銀聯等を導入している。また、インバウンド向けモバイル支払い手段として、リクルートライフスタイルの「モバイル決済for Airレジ」による「Alipay(アリペイ)」、ビリングシステムと提携し「WeChat Pay(微信支付)」への対応を行っている。たとえば、WeChat Payでは、店舗のタブレット端末に利用者のスマートフォンをかざすことで支払いが可能だが、ビットコイン決済も同タブレット端末を使用して行われるそうだ。

店舗での会計では、店員がタブレット端末の決済アプリに商品の金額を入力すると、日本円からビットコイン(BTC)に換算し、決済用のQRコードが作成される。顧客は、決済アプリでQRコードを読み取ると、送金が行われる仕組みだ。決済にかかる時間も早くて10秒ほどとなる。

ビックカメラでは、顧客の利便性向上に向け、かねてからビットコイン決済の導入を検討してきた。導入のトリガーとなったのは、2017年4月1日の「資金決済に関する法律」(仮想通貨法)により、ビットコインの法的位置づけが明確化されたことが大きい。また、中国をはじめとする海外からの観光客によるビットコイン決済の利用など、インバウンド対応を強化する狙いもあった。ビックカメラ 執行役員 有楽町店店長 佐藤壮史氏は、「海外で使用されている決済方法がそのままお使いいただけるのがメリットです。現在、ビットコインの利用者は大半が外国人ですが、飲食店を中心に国内でも利用者が増えていると聞いています。海外からのお客様はもちろん、日本人のお客様にもご利用いただければと思います」と語った。

右からビックカメラ 執行役員 有楽町店店長 佐藤壮史氏、ビットフライヤー 代表取締役 加納裕三氏

決済上限は1会計につき10万円
試験運用の成果を踏まえ、他店舗への導入も検討

まずは、ビックカメラ有楽町店、 ビックロ ビックカメラ新宿東口店の2店舗で導入。決済上限は1会計につき10万円相当のビットコインとなる。また、ビックカメラのポイントサービス「ビックポイント」付与率は現金と同率の付与を行う。

今後は試験運用の成果を検証し、他店舗への展開も検討する。たとえば、ビジネスマンから支持されている新宿西口店、赤坂見附店、名古屋JRゲートタワー店、訪日外国人観光客の来店が多い難波店、札幌店などへの導入も考えられるという。

2017年は仮想通貨元年に?
「モバイル決済 for Airレジ」では全ウォレットアプリへの対応を表明

ビットフライヤー 代表取締役 加納裕三氏によると、改正資金決済法施行、ビックカメラのような大手店舗の導入により、ビットコインの普及に弾みが付いているそうだ。また、2017年は「仮想通貨元年」になるとした。

現在、世界ではビットコインユーザーが約1,300万以上、日本では70万ほどの利用者がいると言われる。「今後は法施行により、100万、1,000万ユーザーになればいいですね」と加納氏は期待を寄せた。

なお、ビットフライヤーは、シードプランニングの調査において、取引量、利用者数、資本金で国内№1となっている。国内においては、リクルートライフスタイルが提供する「モバイル決済 for Airレジ」において、2017年夏ごろに新たに仮想通貨「ビットコイン」の決済に対応すると発表しており、まずは「ビットコイン」取引所を運営するコインチェックと、デジタルガレージの子会社で決済事業を手がけるベリトランスおよびイーコンテクストと連携してサービスを提供する予定だ。リクルートライフスタイルではエクスクルーシブな契約ではなく、すべての「ビットコイン」ウォレットアプリへの対応が可能としているが、ビットフライヤーも対応を予定しているという。

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