定額制ビジネスの成功に必要なノウハウ、情報の共有を目的に日本サブスクリプションビジネス振興会が発足

2019年1月24日7:00

顧客との長期的なつながりを維持し、企業に安定的な収益をもたらすサブスクリプションビジネスの日本国内での振興を目指し、一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が発足。これを記念して、1月23日に、グランドハイアット東京にて、発足記者会見および設立記念パーティが催された。

理事全員で、サブスクリプションビジネスの右肩上がりの成長を表現。右から、代表理事 佐川隼人氏(テモナ 代表取締役社長)、理事 西野伸一郎氏(富士山マガジンサービス 代表取締役社長)、理事 渡邊敦彦氏(ファインドスター 代表取締役社長)、理事 天沼聰氏(エアークローゼット 代表取締役社長兼CEO)、理事 小嵜秀信氏(東海大学 総合社会科学研究所 Eコマースユニット客員准教授)、理事 西澤亮一氏(ネオキャリア 代表取締役)

フロー型ビジネスを脱却し、ストック型ビジネスへ――
各方面の専門家が集い、サブスクリプションビジネス成功の道筋を探る社団法人を設立

定額制で商品販売・サービス提供を行うサブスクリプションビジネスが、企業に安定的な収益をもたらすビジネスモデルとして世界的に注目され、伸長している。この日本国内での浸透を目指して、2018年12月、一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が立ち上がった。発足メンバーとして名を連ねたのは、自らサブスクリプションビジネスを展開する企業や、これを支援する企業、および、サブスクリプションビジネスの研究者。ノウハウ・事例提供などを通じて、サブスクリプションビジネスの導入促進を図っていく。

1月23日に行われた発足記者会見で、代表理事の佐川隼人氏(テモナ 代表取締役社長)は、自らがフロー型ビジネスで苦しんだ体験から、ストック型ビジネスに転換してきた経緯を語り、「サブスクリプションビジネスでは売上の見込みが立てやすく、投資計画を進めやすい。経営者を日々の不安から解放するためにも、サブスクリプションビジネスを成功させるために必要な事例、データ、情報をひとつでも多く提供したいと考えています」と抱負を表明した。

続く理事紹介・あいさつでは、「人々の生活に密着したビジネスを行うには、サブスクリプションモデルが最適。ともに学び、情報を共有して、サブスクリプションビジネスを一層盛り上げていきたい」(天沼聰氏:エアークローゼット 代表取締役社長兼CEO)、「学術的な領域からサブスクリプションビジネスにアプローチし、より深い可能性を追求していきたい」(小嵜秀信氏:東海大学 総合社会科学研究所 Eコマースユニット客員准教授)、「この振興会が、サブスクリプションビジネスという言葉がなかった時代からリピート販売を追求していた世代と、今、サブスクリプションビジネスをけん引しているデジタル世代をつなぐ架け橋になれたら嬉しい」(渡邊敦彦氏:ファインドスター 代表取締役社長)、「個々の事業者の売上拡大にとどまらず、経済全体のサブスクリプション化を標榜しながら情報共有・勉強を進めていきたい」(西野伸一郎氏:富士山マガジンサービス 代表取締役社長)、「私もこれからサブスク化を進めていく立場。いっしょに勉強して、ビジネスを進化させていきたい」(西澤亮一氏:ネオキャリア 代表取締役)という声が聞かれた。

長いつながりの中で蓄積されたデータに基づき
より良いユーザーエクスペリエンスの提供が可能に

発足記念パーティでは、続いて、オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMTであり、株式会社シンクロ 代表取締役の西井敏恭氏が、「サブスクの未来」と題した基調講演を行った。西井氏は、サブスクリプションビジネスの設計に当たって念頭に置くべきことは、消費者のモノを「買う」から「利用する」へのシフト、データ活用によるUX(ユーザー・エクスペリエンス)のアップデート、ソーシャルによるユーザーとのサクセスの共創だと言及。サブスクリプションビジネスがサポートするのは、顧客の購買だけではなく、顧客の“暮らし方の選択”なのだと指摘した。

プログラムの最後には、「サブスクの最前線」と題したパネルディスカッションを開催。ゲストスピーカーとして、株式会社MEJ 代表取締役社長の古賀徹氏が登場、振興会理事の天沼氏、西野氏がパネラーとして、渡邊氏がモデレーターとして、代表理事の佐川氏がコメンテーターとして参加した。
パネルディスカッションの中で、西野氏は、「データをもとに適切なレコメンデーションを行うことで、2桁のレスポンスを獲得することも可能になる。そのデータを蓄積するには、サブスクリプションビジネスの運用が必須」と明言。天沼氏は「ユーザーの生活に、まるで空気のように溶け込むサービスを提供しようとすれば、サブスクリプションビジネスしかない。顧客が得た体験、気持ちがどんなものであったかということを、最重視している」と言い、古賀氏は「従業員に対しては、われわれは製造業・小売業を超えたサービス業であるという意識を持ってほしいと常に言い続けている。サブスクリプションビジネスでは、顧客といかに親密なつながりを持てるかが勝負です」と語った。

3月15日に第1回月例会を実施
1月中に申込手続きを完了すれば入会金が無料に

(一社)日本サブスクリプションビジネス振興会の現在の会員数は100人。業種の内訳は、EC事業者、SaaSなどを取り扱うBsB事業者、実店舗を持つ小売業・サービス業がそれぞれ3分の1ずつ。同振興会では、より幅広い業種を対象に、3月までに300人の会員獲得を目標としている。

活動の当面の核となるのは、毎月1回行われる月例会。ここではサブスクリプションビジネスを成功させているトップランナーを招いての講演、会員同士が各々の活動を発表し合い、学び合うワークショップ、ともにサブスクリプションビジネスを推進する仲間との出会いの場となる懇親会などが行われる。

入会資格は、サブスクリプションビジネスに関心を持つ個人・法人。自らビジネスを立ち上げた、あるいは立ち上げようとしている人や、支援先にこのビジネスを提案したいと考えている人が対象だ。入会金、年会費ともに、1人当たり5万円(税別)。会員期間は1月~12月の1年間。現在2019年の会員を募集中。1月中に所定の入会申込手続きを完了した人には、入会金を無料とするキャンペーンを実施中だ。

第1回の月例会は、3月15日に東京・渋谷区のテモナセミナールームにて開催され、代表理事の佐川隼人氏が登壇することが決まっている。これには非会員も、ゲストとして参加することが可能だ。第2回は4月26日に開催される。

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