2025年3月4日8:20
株式会社リンク・プロセシング(以下、LP)は、PCI-SPoC(PAX名:SealGuard Solution)」を採用し、Pax Japanと共同開発を進めてきました。そしてLPは、この決済技術を活用し、これまでコストやスペースの問題で導入の難しかった小型セルフ操作機器へのキャッシュレス機能の追加という新サービスを構築しました。開発に携わった技術面での裏話、今後のビジネス面の展望について伺いました。(決済・金融・流通サービスの強化書2025【PR】)
[対談参加者]
株式会社リンク・プロセシング 取締役 長迫亮氏
株式会社リンク・プロセシング プロダクト・プラニングG グループマネジャー 加藤康宏氏
Pax Japan 技術開発本部・営業マーケティング本部
加盟店とアクワイアラを繋ぐ
ワンストップのキャッシュレス
ソリューション「Anywhere」
長迫:LPは、インフキュリオンという親会社を中心に金融・決済を起点とした社会全体のDX化を目指しています。「Anywhere」事業は、「Anywhere A9(A920)」のような決済端末と、決済処理システムを提供することで加盟店側・アクワイアラ側の双方を簡便に繋げるシステムといえます。特長としては、加盟店契約はアクワイアラにお任せすることで手数料率が柔軟になり、また双方の関係性を維持したままキャッシュレス導入のお手伝いが可能になります。
加藤:大抵の案件がシステム間連携なので、お客様の業務システムの一部として「Anywhere」を提供する場合が多いです。
長迫:mPOSの導入で我々は先駆者と言え、またQRコード決済が世に出始めた時もいち早くPAX「A620」や「A920」といった端末を採用し、先陣を切って新たなプロダクトの開発に着手してきました。次なる挑戦がSPoC「Anywhere D135」といえます。
SPoC「Anywhere D135」が解決する
新たなマーケット領域
PAX(営業):私たちの日々の生活にタブレットやスマホが浸透し、それらをSPoCとして活用することでキャッシュレス決済の裾野はさらに広がっていくことが期待されます。
長迫:現在、飲食業界においてオーダリングはタブレットになったものの、お支払いは別のソリューションというようにUXとしてまだ洗練されていない領域がある。既存のタブレットを活用しながら、キャッシュレス決済ができるSPoCにはとても魅力を感じています。
PAX(営業):世の中の注文する仕組みとキャッシュレス決済、それぞれ別々に動いていたものを一緒にまとめることで、サービスがさらに深化していくイメージですね。
長迫:スーパーのスマートカートは、カートでPOS入力をセルフで行なった後、結局レジに並びます…。もしも決済も一緒に出来れば便利だし、そのまま帰ることが出来ます。
加藤:SPoC「AnywhereD135」の最大の魅力は、セミセルフの領域(店員のサポートがすぐに受けられるセルフ決済)でも使えることです。保険業界や引越し事業者といった大手エンタープライズ向けにmPOSを活用したソリューションは既に確立されています。今回、SPoCを開発したことで、それらの市場にも小型で安価なタブレットを活用したセミセルフ領域というソリューションの提供が実現します。ユーザー自身がタブレットの操作とキャッシュレス決済を行う場面は、まだまだホワイトスペースと言えるでしょう。
PAXの「SealGuard Solution(SPoC)」を
選定した背景と開発裏話
加藤: 当初はCPoC(専用の決済端末を不要とする汎用デバイスによるNFC決済ソリューション)も検討しましたが、決済金額の課題(*PCIの規定で取引金額に上限があること)やそもそも磁気リーダーに対応出来ない問題が存在し、それらの制約がなく、不要な機能を削ぎ落とし、セミセルフ領域に特化した仕組みこそがSPoCでした。
PAX(営業):SPoCによってPIN入力を実現し決済金額の上限問題が解決され、日本で今なお必要とされる磁気カードへの対応も「D135」によってクリアできます。
PAX(技術A):市場では、加盟店の多くはFeliCa(電子マネーへの)対応のために別リーダーを設置していますが、今回SCRPの日本仕様化によって、PAXのSDKでFeliCa機能も実装し、電子マネーへの対応も「D135」で実現しました。
加藤:端末選定の過程で、他社のSCRPでもFeliCaに対応可能という話でしたが、実際にFeliCa(Mクラス)を取得した実績はありませんでした。ハードウェアレベルで実装が出来ても、商用利用も見据えると、選択肢はPAXに絞られました。
長迫:日本独自の認定や要求もあるので、グローバルメーカーは沢山あるが、日本ローカライズが出来るベンダーは少ないですね。
PAX(営業):海外ベンダーで日本に法人を置いて、国内でコミュニケーションを図りながら、ソフトウェア開発のお手伝いをさせてもらえた点も、魅力だったと思います。
加藤: Pax Japanは、技術的に優れているだけでなく日本語でコミュニケーションが出来て、定例会で我々からタスクの整理をしなくても、毎回事前にアジェンダの準備をする運営に感謝しています。
PAX(技術B):我々にとっても、LPとのプロジェクトはとても有意義でした。例えば、Pax Japanは物理的なHSMを提案しましたが、地震の多い日本の特性、スペースの省力化、データベース管理の優位性からLPの知見も加味したクラウド型HSMの提供が実現しました。
加藤:PAXは、Pax Japan、Pax深圳(本社)さらにPax杭州(ソフトウェア開発拠点の1つ)が一体となって動いており、技術面での調整は心強く感じたし、とにかく動きが早く柔軟でした。
PAX(技術B):PAXには「深圳スピード」のDNAと、「まずは考えてみよう。良ければ行動してみよう」という思想が昔からあります。本プロジェクトで「D135」の仕様も相当にブラッシュアップされました。
タブレット機器とキャッシュレス決済の
融合を実現する「AnywhereD135」
加藤:従来は低価格なタブレットや産業機器に決済端末を連携することは技術的に可能でも、価格やサイズ感の問題で導入に至らない実態がありました。そのハードルを超えるためにSPoCは現時点で最適解といえます。
長迫:セミセルフ領域に対して、コスト優位性のあるソリューションとして「Anywhere D135」を投入していきます。ターゲットは、既存のオーダーリングタブレットにキャッシュレス決済機能を追加することで価値が生まれる市場。これまでレジ会計の要員確保が必要ながら、長期の人手不足に課題をもつ飲食・小売事業者をターゲットに、来店客の操作によってキャッシュレス決済を完了させることで課題解決に繋げたいと考えています。
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