2020年7月16日8:30
東急線各駅券売機で、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」への現金による残高チャージサービスが2020年7月15日よりスタートした。駅券売機を利用するスマートフォン決済サービスへのチャージは、日本初となる。東急では、券売機の有効活用による利用者へのサービスの向上、沿線でのキャッシュレス化につなげていきたいとした。
東急は日500件の利用を想定
LINE Payによる残高チャージサービスの利用時間は、平日・土日祝日ともに5時30分~23時までとなり、手数料は無料だ。1回あたりのチャージ可能金額は1,000円以上4万9,000円以下となる。
利用者は、券売機のトップ画面から「QRコード・バーコードを使う」を選択し、新たに取り入れた「スマートフォン決済サービスへのチャージはこちら」のボタンを押すと、QRコードが表示される。そのQRコードを「LINE」アプリで券売機に表示されるスマートフォンのバーコードリーダーで読み取り、現金を券売機に投入すると、「LINE Pay」への現金による残高チャージが可能だ。
東急では、券売機を有効活用し、駅で新サービスを提供することで、付加価値を高めていきたいとしている。東急 フューチャー・デザイン・ラボ 事業創造担当 券売機活用新決済事業 プロジェクトリーダー 八巻善行氏は「現金でチャージできる事業者でないと連携できませんでしたので、(LINE Payと)うまく調整ができました」と話す。まずは、全線の券売機で日に500件の利用を想定している。
今回のサービスは、券売機にたまったお金がお釣りとして利用されるため、利用者が増えれば増えるほど、現金の運用コスト削減に貢献できると見込んでいる。東急では各駅に2台以上の券売機を設置している。券売機ではPASMOのチャージなどに利用する人も多く、お釣りの紙幣を確保する必要がある。今回のLINE Payの現金チャージでは、1,000円札と5.000円札がたまるが、そのお金をPASMOチャージ時のお釣りとして運用可能だ。
LINE Pay現金ユーザーの利便性向上
今回のサービスは鉄道乗車以外の人も利用できるが、「沿線のキャッシュレス化の貢献につながるように、LINE Pay様と連携して利用につなげていきたいです」と八巻氏は意気込みをみせる。すでに東急グループでは、東急ストア、グランベリーモールなどでLINE Payが利用できる環境が整っている。
LINE Pay 東急券売機チャージ プロジェクトマネージャー 藤平賢人氏は「現金チャージされているLINE Payのユーザーは多いので、生活に密着した拠点である駅でチャージできることで、幅広い方のニーズにお応えしていきたいです」と語った。
なお、東急でのLINE Payの現金チャージサービスは、東急とGMO-PGが共同開発した「駅券売機スマートフォン決済チャージシステム」を利用している。同システムでは、他の決済サービスが追加されることを想定して開発している。八巻氏は「券売機のハード面の改修はなく、ソフトの改修にとどめた範囲の中でサービス設計をしました」と説明する。東急にとってはLINE Payチャージによる新たな手数料収益も期待している。
GMO-PGは現金でチャージできるインフラ構築を支援
GMO-PGでは、「GMOどこでもキャッシュポイント」を提供しており、東急のサービスで初めて、現金によるチャージができるインフラ構築支援を行った。今回の取り組みは、サービスの主体者でもあるため、規模が大きくなればなるほど収益にもつながるという。
GMOペイメントゲートウェイ イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部 決済商品企画部 室長 入口慎平氏は「キャッシュレス化が進んでいく中で、どこでも現金を出し入れできる安心感を与えるようなサービスにしたいと思っていましたので、ペイメント事業者と券売機・ATM・自動精算機などをつなげるようなインフラ構築支援を目指して展開していきたいです」と意気込みを見せる。今回は、券売機の改修がソフト面で済むQRコードを利用したが、NFCなどのインフラにも対応可能だ。
キャッシュアウトは各駅で利用が進む
なお、東急では2019年5月より、駅の券売機から現金を引き出すことのできるキャッシュアウトサービスを行っている。銀行口座と連動したスマホ決済サービス「銀行Pay」の仕組みを活用し、横浜銀行の「はまPay」、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」でサービスを提供している。現在は郊外の駅も含め、各駅において利用されているとした。