2010年11月17 日8:00
FeliCaカードで自転車を貸出・返却できるエコサービス(上)
FeliCaカードで自転車を貸出・返却できるサービスがスタート
将来的にはcogicogiカードを表参道地域の共通カードとして展開
パリをはじめ、ヨーロッパでは「シェアサイクリング」が広まっている。それを東京でも実現しようとするのが「cogicogi」である。cogicogiのサービスエリアは表参道を中心に渋谷、青山、六本木など、半径3Km圏内をカバー。専用のICカードをソニーの「FeliCaポケット」端末にかざして貸し借りを行う。同事業を運営するデプトでは自転車を貸すという行為を通じて、街に溢れるさまざまな店舗、企業、人のサービスやコミュニケーションのインフラ作りを目指す。
まずは軸となる店舗にポートを設置
自転車をどこでも自由に貸出・返却できる
「表参道駅を利用する人は月間450万人、在住・在勤は40万人になりますが、そのうち約7%の6万人の会員獲得が目標です。ターゲットは、表参道・青山にお勤めの営業員、ショッピングに来られる方を中心に考えており、まずは来年3月に1万人の会員獲得を目指します」(デプト 伊地知 宣雄氏)
デプトは10月28日から、表参道を中心に半径3Km圏内で、シェアサイクル事業である「cogicogi(コギコギ)」サービスを展開している。
サービス開始時点のポート設置箇所は、青山ベルコモンズ、GYRE(ジャイル)、スターバックス コーヒー 神宮前6丁目店、ラ・ポルト青山、ヒップヒップシェイク、渋谷グランベルホテル、ダオルトの7箇所。11月末には6ポート増設し、最終的には185ポートまで増やす予定だ。
「GYREで買い物をし、スターバックスで飲み物を買って一休みし、青山ベルコモンズでショッピングを楽しむというような動線をつくりたいと考えました。そのため、まずは表参道・青山で軸となるような施設・店舗にポートを設置しました」(伊地知氏)
cogicogiサービスは、自転車をどこのポートでも借りられ、どこでも返却できる。シェアサイクルは日本でも複数の社会実験の試みが存在しているが、民間企業が主催するサービスはそれほど多くはない。
自転車は、ヤマハ発動機の電動アシスト自転車「PAS CITY-C リチウム」を使用する。
有人管理を行うことによりシェアサイクル
店舗と顧客とのコミュニケーションを深める
会員証は「cogicogi」カードとして「FeliCaポケット」機能搭載のICカードを採用。シェアサイクルのレンタル時間の管理も同会員証により行う。カードには電子マネー「Edy」が搭載されており、金額をチャージすれば決済に利用することも可能だ(cogocogiサービスには利用できない)。
会費は月額300円(初回登録料700円)。30分以内の利用であれば無料で、以降は1時間ごとに100円の従量課金制となる。この従量課金分の一部を社会貢献活動に寄付を行う。利用料の精算はクレジットカード決済で実施する。
有人の施設や店舗がベースとなるためcogicogiサービスの利用時間は10時から20時までとなっているが、「ポートが設置されたテナント店舗の従業員の方は無料で通勤に利用していただくことを考えています。例えば、美容室にお勤めの方は朝早く出勤して、夜遅くに帰宅される方が多くいらっしゃいますので、少しでも役立ていただければと思います」と伊地知氏は説明する。
また、これまでのシェアサイクル事業やレンタサイクル事業と異なり、単なる自転車の共同利用ではなく、サービスエリア内の多くの企業・店舗が同事業に積極的に参加・協力することも大きな特徴だ。ポート設置場所の提供だけでなく、シェアサイクルの「駅」のような役割を担うという。 ポートの設置箇所の店舗の受付やレジには三和ニューテック製のFeliCaポケット端末を設置。
最近では無人のシェアサイクルの事業が行われている例もあるが、「街を盛り上げる意味では有人対応が大切です。例えば、スターバックスでカードをかざす行為が生まれれば、そこでコーヒーを召し上がる可能性も高まり、店舗の売上アップにもつながります」とデプト 佐藤慶一氏は語る。
ポート設置場所の拡大に向けては、例えば、表参道・青山のエリアにはスターバックスが44店舗あるが、そのうち複数の店舗で導入する方向で進んでいる。