2021年1月6日10:26
賽銭(さいせん)、御札・お守りといった授与品をキャッシュレス決済で支払える神社や寺が徐々に増えているが、スマホ送金・決済サービス「J-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」は、賽銭を奉納時に使用可能な決済サービスだ。
J-Coin Payは、全国90以上の金融機関が参画するスマホ決済サービスで、『送る』、『送ってもらう』、 『支払う』という行為がスマホ上で完結できる。また、金融機関の預金口座との入出金も、スマホ上のアプリにより、『いつでも・どこでも・無料』でできるサービスを売りにしている。店舗では、QRをスマホに表示してかざしたり読み取ったりしてもらう「CPM(Consumer Presented Mode)」および、QRを顧客の端末で読み取る「MPM(Merchant Presented Mode)」のいずれにも対応している。QRコードによる賽銭の奉納では、MPMによる方式が用いられている。
富山では北陸銀行が導入を推進
京都の東本願寺では、10月12日から、J-CoinPayでの支払いを導入している。また、J-Coin Payに参画する北陸銀行では、J-Coin Payで「さい銭 QR」の運用を開始。政府が掲げる「新たな生活様式」に基づき安心して参拝できる環境の整備、および現金取扱量の低減による防犯面への配慮や利便性向上を目的として導入をすすめている。富山県内では、2020年12月から、富山市のたやの宮神明社と越中稲荷神社が導入。参拝者は、QRコード付きの看板をスマートフォンで読み取り、賽銭金額を入力して、お金を納めることができる。
例えば、たやの宮神明社では、毎年3,000~5,000人が初詣に訪れるというが、コロナ禍の中、お金に触れずに非接触で賽銭が可能だ。「従来の賽銭の方法は維持しつつ、お供えの1つの選択肢として、賽銭とお守りと祈祷料をお支払いいただきたきたい」と、たやの宮神明社 平尾賢宮司は説明する。また、昨年から金融機関が取引した硬貨枚数に応じた手数料を設けるようになったこともキャッシュレス決済導入の理由として挙げている。
たやの宮神明社では、北陸銀行が取次する「StarPay(スターペイ)」も同時に導入。主要なQRコード決済の中で賽銭を奉納時に使用できるのはJ-Coin Payのみだというが、御札・お守りといった授与品をPayPay等のQRコード決済で支払うことが可能だ。
神田明神の賽銭でも利用可能に
なお、2021年1月1日からは、みずほ銀行により、新たに東京都千代田区の神田神社での賽銭奉納時にJ-CoinPayが使用可能となっている。正月に多くの人が訪れる神田神社では、賽銭箱の前ではなく、境内入り口付近の隨神門の前にQRコード付きの看板を設置。賽銭奉納者が密にならない環境で賽銭ができるようにしている。
2021年の参拝において、ペイメントナビ編集部では、“日本のペイメント業界のさらなる発展”をお祈りした。現在もコロナウィルス感染拡大は予断を許さない状況だが、新たな生活様式の中でキャッシュレスが果たす役割はますます大きくなると思われる。ペイメントナビでは、2021年もペイメント業界の活性化・健全化にさらに貢献できるような情報配信に努めていきたい。