2010年12月20日8:10
非接触IC決済事業者に聞く~NTTドコモ「iD」「DCMX」(2)
DCMXは直近1年間で175万人増加
入会直後に利用してもらう取り組みを実施
NTTドコモではブランド事業だけではなく、イシュアとして「DCMX」を展開している。DCMXにはクレジットカードが不要で、携帯電話料金と合算する「DCMX mini」(月額1万円まで)、クレジットカードとひも付ける「DCMXレギュラー」、「DCMXゴールド」の3種類がある。
会員数は11月末で約1.200万人。そのうちDCMXレギュラーとゴールドが約500万人、残りがDCMX miniとなっている。直近の1年間では175万人の会員が増加したそうだ。事業開始以来短期間で、会員数、取扱高ともに日本有数のクレジット会社に成長した。
現在、DCMX会員の獲得はドコモショップでの営業が中心だ。そのため、「入会初期の利用がそれほど高くないのが課題」であると同社 クレジット事業部 DCMX営業担当部長 布施俊彦氏は話す。
同社では会員を獲得した段階から稼働率の高いユーザーに育てるための施策を実施している。
「DCMX miniの場合、ドコモショップで会員の設定ができるため、例えばすぐにドコモショップ内の自動販売機で使って体験していただくなどの取り組みを進めています。一回でも決済を体験していただけば、メールなどでアプローチした際にかなりの確率で利用していただけます」(布施氏)
ケータイキャンペーンを積極展開
ポイントシステムを12月16日から改訂
また、ケータイキャリアである強みを活かし、見込み客に対しメールなどでアプローチを行っているという。今年の夏はセブン-イレブンやローソンで利用できる「おにぎり無料券」をドコモショップで会員に配布した。
「ローソンのLoppi(ロッピー)でクーポンを取得できるキャンペーンでは、約60万人の契約者に対して朝10時に3万枚のクーポンをメールで配信しましたが、数時間でケータイサイトからすべてのクーポンがダウンロードされました。メールでのアプローチはコストもそれほどかからないメリットもあります」(布施氏)
同社では12月16日にポイントの制度も変更した。これまで1%のポイントを一律で付与していたが、ベースを0.5%にする代わりに、入会した翌月から3カ月間と日曜日は付与率を3倍に設定した。また20万円以上利用するとボーナスポイントが付与されるなど、カード決済を利用すればするほど、ポイントがより多く貯まる方向に舵を切っている。
CRM展開に関しても同社では日本マクドナルドとJVを設立したように数多くのノウハウを蓄積している。すでに、会員の利用傾向などを分析し、個別にアプローチを行っているそうだ。
布施氏は今後のDCMXの施策として今のペースで利用者を継続して獲得することと、メールなどを通じて実利用者を確保することを挙げている。今後は飲食店などでもより多く利用してもらうための施策を考えているという。