2010年12月20日8:00
非接触IC決済事業者に聞く~NTTドコモ「iD」「DCMX」(1)
着実に利用箇所を伸ばすクレジットブランド「iD」
1,200万人の会員を擁する「DCMX」の利用者も順調に増加
大手キャリアのNTTドコモは2005年に金融事業に進出し、クレジットブランドの「iD」を立ち上げた。すでに69社がイシュアやアクワイアラとしてiDのサービスを提供。会員数は1,500万人を超えている。またNTTドコモ自らもイシュアとして「DCMX」を展開。2010年11月に1,200万契約を突破するなど、順調に会員数を伸ばしている。
JCBのアクワイアリングでセブン-イレブンに導入
主要なコンビニを制覇し飲食店を開拓へ
NTTドコモが2005年12月からサービスを開始したケータイクレジットのブランド「iD」。大手キャリアである同社が自ら金融業に参入したこともあり、当時は大きな話題となった。
iDのサービスにはクレジットカードの仔カードとして提供するサービスとNTTドコモの携帯電話料金と合算して提供するサービスの2種類がある。サービス開始から約5年、会員数は順調に増加し1,531万人となっている。また会員の月間利用件数は1,865万件、リーダライタの設置台数は50万台弱だ。
「会員数に関しては、1年前から比較すると伸びは緩やかになっていますが、順調に増えています。加盟店数も開始当時と比較すれば急激には伸びていませんが、大型チェーンを中心に利用箇所は増加しています」(NTTドコモ クレジット事業部 iD担当部長 小師隆氏)
現在、69のイシュアやアクワイアラがiDのサービスを提供しているが、「今年はジェーシービー様がアクワイアラとして名を連ね、セブン-イレブン様でiDを導入することができました。またセイコーマート様やミニストップ様での導入が決定したことにより、主要なコンビニへの導入は完了することができました」と小師氏は成果を語る。
また11月からは楽天と提携し、「楽天市場」でのiD決済がスタート。今後、楽天市場の加盟店はiDの決済を選択できるようになる。
加盟店数に関しては当初の目論見どおりに増えているわけではないが、2011年はチムニーなど、複数の飲食店での導入が決定しているという。なお、最近ではiD単独ではなく、他の電子マネーやポストペイもあわせて導入する加盟店が多いそうだ。
高い成果を生んだマクドナルドでのキャンペーン
タイアップキャンペーンで店舗に誘導
同社ではiDの利用促進にも力を入れている。まずマクドナルド店舗でiDで決済を行うと「iDプレミアムかざすクーポン」を後日配布する取り組みを行っている。
「日本マクドナルド様とは2009年10月からキャンペーンを定期的に行っていますが、非常に反応率が高いです。お客様にとっても、店舗でケータイをかざすだけでインスタントくじが引け、当たるとクーポンが配信されるというのは魅力的だと思います。同キャンペーンの成果をもとに2010年7月からはローソン様とToruCa(トルカ)を活用したキャンペーンも実施しました」(小師氏)
ローソンでは、店舗でiD決済を行うとその場でデジタルコンテンツ(踊る大捜査線のオリジナル待ち受け画像)をプレゼントする取り組みを実施。また、ドコモプレミアムクラブとの総額2億円キャンペーンでは、iD加盟店で決済するとインスタントくじを一口ひくことができドコモポイントをプレゼントするタイアップ企画も実施した。
同様のキャンペーンについては多くの企業が関心を示しているという。7月には携帯ブラウザからFeliCaチップへのアクセスを実現する「おサイフケータイWebプラグイン」のサービスをフェリカネットワークスがリリースした。加盟店は専用のアプリを作ることなくブラウザ経由でのサービス提供が可能となったため、キャンペーンを実施しやすくなったという。
iDの会員数も倍増が可能?
他のキャリアでの導入は将来的に検討
今後のiDの展開としては、会員数のさらなる拡大を挙げている。現在、NTTドコモには5,400万人の会員数がいるため、iDの会員数も倍近くまでは伸ばすことが可能であると同社では考えている。他のキャリアでのiDサービス展開については「iDはオープンなプラットフォームを目指しているため、ご要望をいただければ将来的には検討していきたい」と小師氏は話す。
また、現在の月間利用件数についてもまだまだ目標の数字には到達していないそうだ。
「弊社のアンケート調査の結果によるとiDの認知度は決して高くはありません。また、iDがどこで利用できるのかを知らない方も多いので、まずは一回、利用していただくことが重要であると考えています」(小師氏)
小師氏は現状の利用件数に関して課題を口にしつつも、iDの利用単価や金額については一定の成果も口にしている。iDの会員には繰り返し何度も利用するヘビーユーザーが多く、数万円単位の決済で利用されることも珍しくないそうだ。
「取扱金額に関しては非公表ですが、iDの取扱高は国内の電子マネーのなかでも比較的上位にランクされるのではないかと思います。来年以降も現状の会員数や加盟店数の伸びを維持していきたいと考えています」(小師氏)