決済インフラで料金引き下げの動き 背景に公取委の提言か

2021年7月8日8:00

QRコード決済などの新しい金融サービス事業者が活用する決済インフラについて、料金値下げの動きが出始めている。公正取引委員会が、フィンテックを活用した金融サービス向上に向けた競争政策上の課題を調査し、2020年4月に公表した実態調査報告書がインフラ提供側の対応を促した形だ。(ライター:小島清利)

銀行間の送金手数料が引き下げへ
CAFISも10月から料金を見直し

40年以上据え置かれていた銀行間で送金する際の手数料が2021年10月から、1回当たり62円(税別)に引き下げられる。全国の金融機関を結ぶ資金決済ネットワーク「全国銀行データ通信システム」の手数料で、現在、3万円未満の送金は1回117円(税別)、3万円以上は同162円(同)の送金手数料が相手先の銀行に支払われており、10月以降は一律62円に引き下げられる。送金手数料の水準は5年ごとに見直される方向で、今後はさらに低下する可能性も出てきた。

また、NTTデータは、同社が運営している日本最大級のキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」の料金見直しを2020年10月から実施した。キャッシュレス決済のチャージに利用されるCAFISの即時口座振替取引の料金は、処理1件あたり最大3.15円から1円に引き下げる。クレジットカード決済の料金は、処理1件あたり最大3.15円(決済金額にかかわらず同額)だったものが、1000円以下の少額決済は決済金額の0.3%という方式に変更する。

決済インフラの料金が相次いで見直される背景には、フィンテックを活用した金融サービスの向上に向けた競争政策上の課題を指摘した公正取引委員会の報告書がある。報告書は、クレジットカードやJ-Debitなどの決済インフラであるCAFISの利用料金が、長年改訂されていないことを課題として挙げた。全銀ネットについても、長年にわたって据え置かれている銀行間手数料の見直しなどについても指摘した。

銀行などを中心にサービスが提供されてきた金融分野において、フィンテックを活用する事業者が参入し、個人向けの家計簿サービスおよび中小企業や個人事業主向けの会計サービス、QRコードなどを用いたキャッシュレス決済サービスといった新しい金融サービスが登場する中で、フィンテックを活用する異業種を含む新規参入が、事業者間の競争を活性化し、新たなサービスの創出などのイノベーションの促進や利用者にとっての利便性の向上につながることが期待されている。

決済インフラのコストを巡る問題は今後もクローズアップ?
全銀システムや銀行の手数料ビジネスに変革も

公正取引委員会は、このような事業者の新規参入や参入後の事業活動を妨げるような要因があれば、期待されるこれらの効果が限定される恐れがあるとして、家計簿サービスやQRコードなどを用いたキャッシュレス決済について、競争政策上の課題を把握するため実態調査を実施するとともに、新規参入を促進し、公正かつ自由な競争を活発に行うことができる環境を整備する観点から、独占禁止法上及び競争政策上の論点整理を行った。

コード決済における独占禁止法上及び競争政策上の問題点(QR コード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書より)公正取引委員会

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