2023年2月27日19:53
日立製作所(日立)とパナソニック コネクトは、生体認証のグローバルな展開・加速に向けた協業を開始すると発表した。
具体的には、生体情報を暗号化する日立の特許技術を活用した公開型生体認証基盤PBI(Public Biometric Infrastructure)とパナソニック コネクトの世界1位の顔認証技術を融合し、安心・安全かつ快適な生体認証をさらに追求した新サービスの創出に向け、取り組みを推進していくそうだ。
今後、両社は、連携のための技術検討と検証を進めていくほか、暮らしやビジネスといったさまざまな分野での社会実装に向け、ユースケースの開発と実証に協働で取り組むという。その第一弾として、トラベルを例とした実証を、今春より実施予定。全国規模で展開する小売店舗において、顔認証を用いた「手ぶらスタンプラリー」の実証を行い、来店時の顔認証でポイントが貯まるキャンペーンをスタートする。
生体認証市場での協業の背景として、非接触・ハンズフリーでスムーズな運用が可能である顔認証は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況も受けて、さまざまな産業分野で、需要の急拡大が予測されている。2030年には、全世界での市場規模が2.2兆円に上ると見込まれている。一方で、生体情報の管理がボトルネックとなり、その導入・活用・普及には、高い信頼性の確保が必要不可欠という課題がある。
日立は、生体情報を復元不可能な形に暗号化する独自技術PBIによる厳格な本人認証を核とし、さまざまな利用シーンや運用形態に応じて、指静脈や顔、虹彩などの認証モーダルや認証端末を問わず、一括管理・運用の可能な「生体認証統合基盤サービス」を提供している。これまで飲食店での決済やゴルフ場の受付・ポイント連携、ワクチン接種証明の本人確認、デジタル地域商品券の利用・決済などで適用されてきた。
また、パナソニック コネクトは、顔認証技術において2つの顔画像が同一人物か否かを判定する1:1認証方式で世界1位の評価結果を得ており、これまで空港での本人確認や、イベントでのチケットレス入退場、店舗でのキャッシュレス決済、施設・オフィスでのカードレス入退室などで多角的に活用されてきた。
今回の協業により、日立とパナソニック コネクトでは、高信頼で快適な顔認証の実現を目指すという。また、日立とパナソニック コネクトは、よりよい社会や持続可能な未来の実現に向け、さまざまなステークホルダーと協働して新たな価値の創出に取り組むオープン・イノベーションに注力していく。両社が長年培った強みをかけあわせ、急成長の生体認証市場をグローバルにリードする新サービスの創出に取り組むそうだ。
日立のPBIは、ICカードや暗証番号、二次元バーコードなどに比べ、紛失や不正授受など第三者による不正利用を低減できる安全な認証・暗号化技術だという。また、パナソニック コネクトの顔認証は顔画像の登録が簡易で、ハンズフリーで利用できる。これらを融合し、より安心・安全かつ快適な顔認証を実現するための技術検討と検証を行い、システムを開発・実装していく。
具体的には、パナソニック コネクトの顔認証によって得られた顔の特徴を抽出し、日立の持つPBIをもとに顔情報を復元できない形に変換、保管・照合するという一連の流れを開発・実装する。
また、買い物、エンタメや医療といった暮らしやビジネスを想定したさまざまな分野でのユースケースの開発と実証に協働で取り組むことで、利用者のさらなる快適さを追求し、サービスの改善と強化を図っていくそうだ。
日立は、協業を通じて「生体認証統合基盤サービス」の認証モーダルの1つとしてパナソニック コネクトの顔認証をサポートし、スマートフォンなどのwebブラウザからのアクセスによる、より容易な登録、快適な顔認証を提供していく。また、今後も、パートナー企業とともに、指静脈・顔・虹彩など市場ニーズに即した生体認証に関するサービスの開発・提供を進めるほか、独自技術PBIをはじめデジタルソリューションを加速するLumadaのソリューション・ノウハウを中核に、さまざまな業界において生体認証の活用領域を拡げ、新たな価値の創出に取り組んでいくという。
パナソニック コネクトは、協業を通じて顧客やパートナー企業において展開する「顔認証ソリューション」の1つとして、日立の「生体認証統合基盤サービス」上で実施する、復元不可能な暗号化方式での顔情報の管理をサポートし、ICカードなどの紛失や他人への受け渡しなど第三者による不正利用対策、機密情報を扱うスペースや情報そのものの管理対策といった場面で、これまで生体認証を検討していた業界や組織への導入を進められるようになるという。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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