2023年9月6日8:00
ネットプロテクションズ(NP)は、「海外後払い決済(BNPL=Buy Now, Pay Later)の最新動向と今後の展望」についての説明会を開催したが、アジアのBNPLとNPの海外戦略について、海外事業責任者の角元友樹氏が紹介した。
未払い率は0.59%に
20年のビッグデータにAI技術を合体
角元氏は2014年にNPに入社し、新規システムの立ち上げ、与信システムの改善などを担い、2017年に海外展開のチームを立ちあげ、2018年に台湾で事業を開始した。また、ベトナムでも昨年に現地法人を立ち上げている。
NPは2000年に創業し社員数は400名、東証プライム市場に上場している。日本のBNPLで中心的な存在として2022年には年間取扱高が5,000億円、取引件数が6,500万件に達している。未払い率は長年の改善の結果、0.59%まで下がったそうだ。また、与信通過率95%は業界トップクラスであると自負しており、20年間蓄積したビッグデータにAI技術を組み合わせている。
インドネシアのBNPLにメガバンクが出資
東南アジアは分割の手数料も有料で発生
アジアのBNPLの取り組みとして、NPと同様に専業でBNPLを展開するプレイヤーが多いが、大手マーケットプレイス、ライドシェア、電子マネー会社などが参入している。その背景として、アジアのECの爆発的な成長がある。例えば、東南アジア市場だけでも2030年に1兆ドルの市場規模に成長すると言われており、現在の日本の市場を大きく超えるとされる。こうしたアジアの新興国はクレジットカードの浸透率が10%と低く、銀行口座を持っていない人も多く、クレジットカードが普及するまで時間がかかる。一方で、スマートフォンは一人一台以上持っており、それを活用したBNPLが次世代型のクレジットカードの役割を果たす。最近では信販会社などがBNPLへの参入を検討しており、NPにも協業の相談がある。このようにアジアでのBNPLの展開は欧米や日本とは大きく異なる。日本のメガバンクもインドネシアの有力なBNPLに出資。三菱UFJ銀行では、三菱 UFJ 銀行は、インドネシアのフィンテック事業者Silvrr Technology Co., Ltd.(Akulaku )への 2 億米ドル(約 260 億円)の出資を行った。また、みずほ銀行もインドネシアを中心に「Kredivo」ブランドにてデジタル金融サービスを提供する「Kredivo Holdings Ltd」に1億2,500万ドル(約170億円)を出資している。
角元氏は、東南アジアと欧米豪の違いについても紹介。欧米豪は若年層の利用が多く、分割(2週間ごと、3~4回)が中心だ。東南アジアは、全般の利用で一括(14日~30日)や長期分割となる。日本のクレジットのように分割の手数料も有料で発生する。欧米豪はクレジットカード、銀行口座、デビットカードからの支払いが中心だが、東南アジアは口座がない人はウォレット、持っている人は銀行口座からの支払いとなる。また、分割の比率の人が多く、これを収入源としてビジネスをしているプレイヤーが多い。
台湾から日本旅行時に使用可能に
新規BNPLプレイヤーにノウハウ提供
NPでは長年の実績によるリスクコントロールを活かせる市場として、2018年以降アジア展開を進めている。同社では一カ国目に台湾市場に参入。ASEANでの展開をにらんでグローバル向け後払いサービス「AFTEE」をゼロから構築している。台湾はアジア市場の中でもECの利用が大きく、法規制的にもすぐにBNPLが利用可能だった。BNPLのニーズやリスクコントロールの難易度も日本と東南アジアの中間でアジア向けのプロダクトを構築するのに適していたそうだ。
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