住信SBIネット銀行のBaaS事業が好調 実績やノウハウ、アプリ開発力を生かしさらなる成長を目指す

2023年11月9日9:00

住信SBIネット銀行は、2023年11月7日に2024年3月期 第2四半期決算説明会を開催した。経常利益は前年同期比+14.0%の163億円、純利益は前年同期比+28.2%の122億円、デジタルバンクは預金残高が前年同期比+15.4%の8.6兆円、貸出金残高が前年同期比+22.9%の 7.3兆円となった。BaaS(Banking as a Service)事業は口座数が前年同期比+103.3% の108.7万口座、経常利益が前年同期比+375.7% の16億円となった。住信SBIネット銀行 代表取締役社長 円山 法昭氏は「今後BaaS事業の利益がかなり貢献してくる」と話す。BaaS事業は他の金融機関とのコンペティションになるというが、その状況で実績を積み重ねている理由も語った。

住信SBIネット銀行 代表取締役社長 円山 法昭氏

経常利益、純利益ともに伸びる
手数料等収益は順調に伸張

住信SBIネット銀行の2024年3月期 第2四半期決算(連結)の損益の状況として、資金利益、役務利益も順調に伸びており、経費は抑制されている。総資産は住宅ローンの増加を主因として同年3月末比+10.2%の9兆5,613億円となっている。前期比の経常利益は資金利益、住宅ローン関連やBaaSアカウント手数料等の役務取引等利益が増加した。また、純利益は経常利益、保証事業売却益等の特別損益が15億円あるなど増加している。過去3年間の経常利益はCAGR(年平均成長率) 18.3%、純利益はCAGR 21.9%の増加となった。

株主還元に関する基本方針は従来通り、ROE(自己資本利益率)20%達成を目標に、企業価値を向上させることで株主に還元する。金利上昇の中で収益に与える状況として、貸出金の大部分を占める住宅ローンの92%超は短期プライムレートに連動する変動金利だ。固定金利が上がっても同社の収益には直接的には影響はほとんどでていないが、ゼロ金利解除により政策金利が0.25%となれば、一定の仮定の下 EPS(Earnings Per Share、一株当たり純利益)は30%上昇と試算している。例えば、政策金利が0.1%上がった場合+20%、0.25%上がった場合+45%となる。EPSに関しても政策金利が0.25%上がった場合+30%となりポジティブに働くとした。

個別事業として、デジタルバンクは口座数、預金残高、貸出金残高ともに堅調に推移している。預金残高は前年同期比+15.4%の8兆6,390億円、口座数は同+14.6%の657万口座、 貸出金残高は同+20.1%の6兆3,815億円となった。口座の伸びに合わせて、決済件数、手数料収益も20%以上の高い成長を続けている。なお、決済件数は同社全体(デジタルバンク事業とBaaS事業の合計)で取り扱う決済(総合振込/即時決済/口振、外貨送金/受取/外貨即時決済、即時口座振替、内国為替(仕向/被仕向)、デビットカード、ミラ イノカード)、その他の合計件数となる。

同社が重要視している顧客満足度は、2023年 オリコン顧客満足度調査 「ネット銀行」 第1位、NTTコムオンラインNPSベンチ マーク調査2023銀行部門 第1位、2023年度JCSI(日本版顧客満足度指数)「銀行業種」調査第1位を獲得している。

BCP・セキュリティ対策として、2023年8月に邦銀初となるアマゾンウェブサービス(AWS) マルチリージョン化を実現し、バックアップ機能を強化した。また、さらなる業務継続性および安全性を確保している。

さらに、「ゼロトラスト」を踏まえた最新のサイバーセキュリティ強化策を採用。不正送金や不正引出への対策・口座売買の抑止や口座不正利用の防止策を行っている。本人認証強化では、FIDO準拠の生体認証システム「スマート認証NEO」を提供している。こうしたセキュリティ対策も他社に比べ優位性となっているそうだ。

法人口座は、2023年4月に法人口座10万口座突破。2023年9月の東京商工リサーチ「企業のメインバンク調査」でメインバンク取引者数の増加率No.1を獲得した。同10月より他行宛て振込手数料を業界最安値に改定している。

住宅ローン実行額は、2023年10月に累計10兆円突破。チャネル別では、銀行代理に加えてNEOBANKチャネルからの実行額が伸びに貢献した。また、フラット35がここ1年̠3%と大幅に鈍化したが、プロパー商品の順調な拡大により続伸した。同トピックスとして、銀行代理業者が店舗を展開する「代理店モデル」が支えており、現在148拠点を有する。2023年9月にはARUHIと提携を発表し、136拠点が追加となる。

取扱商品として、2023年上期はネット銀行初の50年ローンを投入し、地方や若年層の借入ニーズに対応する。また、投資用にワンルームマンションを購入する資産形成ローンを投入した。

BaaS事業は高収益化が実現、20社で導入決定
松井証券の同時口座開設率60%、JALアプリ開発で会員数10倍視野に

BaaS事業は、アカウント手数料、トランザクション手数料ともに提携企業増加により、飛躍的に増加した。特にトランザクションフィーは各NEOBANKで大きく伸びた。BaaS口座数は2023年3月末比26.8万口座増の108.7万口座となったが、「一方で口座獲得単価は適切にコントロールできており、高収益化が実現できてきた」と円山氏は成果を述べる。

提携先も上場大手企業を中心に拡大し、すでにローンチ済み15社に加え、提携合意済み5社が確定している。もともと来年度20社を目標としていたが、すでにその数字は達成できており、25~30が次のターゲットとなる。

具体的な事例として、2023年10月にスタートしたネット証券の松井証券では約150万口座と連携している。 松井証券口座開設とMATSUI Bank口座の同時口座開設率は約60%と高いコンバージョン率を誇る。同社のアプリ開発力が向上したことで、シームレスな連動が可能となった。

同社がBaaS事業で最初に提携したJAL(日本航空)では、2023年11月7日に「JALマイレージバンクアプリ」を同社が開発し、ローンチした。これまではプリペイドカード「JAL Global WALLET」の数10万会員を中心に展開していたが、今回のアプリ開発によりJALマイレージバンク会員3,000万人にリーチが可能となる。円山氏は「最低でも10倍は実現できると考えています」と意気込む。

そのほか、林業DX・林政DX・カーボンクレジット事業を通じカーボンニュートラルを実現。 国内のマーケットシェア10%を目指すという。同社では、林政、林業DXからカーボンクレジット市場創出をワンストップで行う、 世界初のプラットフォームを構築するそうだ。地方自治体・銀行との連携を進め、年度内には10団体との提携を目指すという。

BaaS事業の将来的な成長は? コンペや勝率の状況
大規模なアプリ開発の実績で今後の拡大も期待

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